真夏のティーパーティー!その2
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【恋に落ちる日】
好きで好きで仕方がない。
そんな風に誰かのことを想う日が私にもやってくるのだろうか?
今ペーターさんのアリス話をひたすら聞いている私。
彼はいかに自分がアリスを好きか、アリスを好きでいることがどんなに幸せかを情熱的に語った。
話がひと段落して、私が述べた感想はこうだった。
「ペーターさんて乙女だねぇ」
思わず出た本音。
あれだけ聞いておいてその一言か!と怒られるかしら、と思いつつペーターさんを見る。
すると、彼は大真面目な顔でこう言った。
「なにを言っているんですか。僕は男ですよ」
彼の言葉に私は脱力した。
あまりに彼らしいまっすぐさと、あまりに彼らしいトンチンカンさに笑いがこみあげてくる。
「うん、知ってます。っていうかそうじゃなくて……」
首を傾げるペーターさんに、私は結局言葉が見つからなかった。
アリスのことが好きで好きで仕方ないペーターさん。
彼と会ったが最後、どんなに自分がアリスを好きか、アリスがどんなに素敵な女性かを聞かされる。
うん、いいんです。
全然構わないのです。話をどれだけ聞かされたって。
アリスのこともペーターさんのことも大好きだし、彼らがうまくいくといいなと思う。
でも、素朴な疑問が湧き上がってくるのだ。
人はそんなに誰かを好きになれるものなのかなぁって。
っていうかペーターさんみたいに誰かを好きになれるってすごいよなぁ。
もちろん彼が特殊なのかもしれない。
異常愛というか、アリス曰く「ストーカー」だし、ちょっと乙女すぎるし、病的と言えばそうかもしれない。
でも、ペーターさんみたいに誰かを好きになれるのはすごく幸せなことなのかもしれないとも思う。
私には今、特に好きな人もいない。
エースのことを「ちょっとかっこいいな」と思うくらいだ。
しかも彼はいつも旅だか迷子だかでいないので、たまに見かけて「顔だけはいいよなー」と思う程度。
こんなの好きとか、愛とかには程遠い。
「そのうち名無しさんにもきっとわかります。愛がどんなものなのかが!!」
「そうかなぁ。私ペーターさんみたいな愛がわかる自信なんて全然ないけど」
熱く語るペーターさんにちょっと引きつつそう答えると、後ろから声がした。
「……まったく鬱陶しい男じゃ。ホワイト、お前の愛とやらはただ迷惑なだけだと思うが?」
「ははは! やだな、陛下。そんなにはっきり言ったらペーターさんが傷ついちゃいますよ」
いつの間にかビバルディとエースが私達の後ろに立っているのだった。
「僕のように崇高な愛を知らないあなた方2人にはわからないでしょうね」
冷たい声でそう言い放つペーターさんに、ビバルディとエースは動じる様子もない。
「その崇高な愛とやらも、アリスに届かなければ意味がないのではないか?」
「僕は見返りを求めているわけではないんですよ。いわば無償の愛!! 崇高な愛なんです!」
「へぇ、すごいや。俺だったら好きな子は自分のものにしたいけどな」
そう言いながらエースはなぜか私の肩に手を回してきた。
がしりと抱き寄せられて一瞬どきりとする。
エースのことは「ちょっとかっこいいな」くらいにしか思っていないけれど、この距離はさすがにドキッとする。
「えーと……なんですか?」
「名無しさん、ペーターさんと俺じゃあ愛の形が違うみたいなんだ」
「うん。人それぞれだからね」
振り回されたくない私はあえて明るい口調でそう言うと、エースの手を振り払った。
「名無しさんはつれないよなぁ」とエースは笑う。
「エース。名無しさんに触るな。その子はわらわのものじゃ」
今度はビバルディに引き寄せられた。彼女の香水がふわりと香る。
「えー、ずるいですよ。俺だって名無しさんが欲しい」
「うるさい黙れ。お前なんかに名無しさんをやったらこの子が不幸になるだけじゃ。そうだろう、名無しさん?」
私の顔を覗きこんできたビバルディはやたらと妖艶で、同性とはいえものすごくドッキリする。
何も言えずにいる私を見て、彼女は唇の端をゆっくりとあげて笑った。
「愛い子じゃ。こんな男どもよりもわらわの方が好きだろう?」
「え、えぇと……」
「やめてくださいよ。名無しさんをあなた達みたいな人に汚されたくありません」
動揺してしまった私の手をペーターさんが引っ張ってくれた。
そしてまっすぐに私を見て囁く。
「名無しさん。あなたはそのうち崇高な愛を知るんです。その時まで陛下やエース君から僕が守ってあげますよ」
「は、はぁ……」
ペーターさんはそう言ったけれど、そんな大層なものをわかる日がいつかくるのだろうか?
そんなことを考えていたら、エースが私の顔を覗きこんできた。
「どうしたの?名無しさん」
私はそのままエースを見つめた。
……この人の顔だけはいいなと思っているけど、それは好きってことにはならないもんねぇ?
顔じゃなくて人間中身だもんね。中身は結構アレだからなぁ、この人。
やっぱり好きってわけじゃないよね。
アリスを想って眠れないというペーターさんみたいに、エースのことを考えて夜も眠れないなんてこと全然ないし。
そんなことをぼんやりと考えながら、ほぼ無意識にエースを見つめる。
見つめあうこと数秒、エースが口を開いた。
「名無しさん。もしかして……キスしてって催促?」
「……」
その言葉が耳に入って5秒後くらいに意味を理解した私。
「……っ!?」
私はばっと彼から距離を取る。
「な、何言ってんの!?」
慌てる私にエースはきょとんと首を傾げる。
「え、だってあんなに見つめられたらそう思っちゃうだろ?」
「見つめてなんかないけどっ!」
「見つめてたよ」
爽やかに笑って彼は私の腕をがしりと掴んだ。
ドクンと鼓動が跳ねる。
「なにを考えてたのか知らないけど、そうやって期待を持たせるのってずるいんじゃない?」
エースは静かにそう言うと、意味深に笑った。そしてどぎまぎする私の肩に手を置く。
その時だった。
「だから名無しさんに触れるなと言っておろうに!」
「あなたの頭を撃ちぬいていいですよね、エース君」
左右から引っ張られて、私はエースから引き離される。
「名無しさん、こやつだけはやめておけ。ロクなことにならんぞ」
「そうですよ、エース君だけは絶対に許しません!」
「えぇー? 誰を選ぶかなんて名無しさんの自由じゃないか」
目を吊り上げる2人に、エースは口を尖らせる。
わいわい騒ぐ3人を見ながら、私は自分の鼓動が異常に早いことに気づいた。
好きで好きで仕方ないというくらいに誰かを想うって、もしかしたら意外と簡単なのかもしれない。
まだわからないけど、もしかしたら……。
そう思った時、不意にエースと目が合って私の鼓動はさらに早まった。
慌てて視線を逸らす。かーっと熱くなる顔を手で押さえる。
さっきのやりとりでエースのことを変に意識してるのかもしれない。
「そういう反応ってやっぱりずるいな、名無しさんは」
エースがそう言ってくすくす笑うので、私は恥ずかしくてどうしようもなかった。
誰かを好きになる理由なんて意外と単純だったり、そんなものはなかったりするのかもしれない。
ただ、胸がドキドキする。
好きで好きで仕方がない。
そんな風に誰かのことを想う日が私にもやってくるのだろうか?
今ペーターさんのアリス話をひたすら聞いている私。
彼はいかに自分がアリスを好きか、アリスを好きでいることがどんなに幸せかを情熱的に語った。
話がひと段落して、私が述べた感想はこうだった。
「ペーターさんて乙女だねぇ」
思わず出た本音。
あれだけ聞いておいてその一言か!と怒られるかしら、と思いつつペーターさんを見る。
すると、彼は大真面目な顔でこう言った。
「なにを言っているんですか。僕は男ですよ」
彼の言葉に私は脱力した。
あまりに彼らしいまっすぐさと、あまりに彼らしいトンチンカンさに笑いがこみあげてくる。
「うん、知ってます。っていうかそうじゃなくて……」
首を傾げるペーターさんに、私は結局言葉が見つからなかった。
アリスのことが好きで好きで仕方ないペーターさん。
彼と会ったが最後、どんなに自分がアリスを好きか、アリスがどんなに素敵な女性かを聞かされる。
うん、いいんです。
全然構わないのです。話をどれだけ聞かされたって。
アリスのこともペーターさんのことも大好きだし、彼らがうまくいくといいなと思う。
でも、素朴な疑問が湧き上がってくるのだ。
人はそんなに誰かを好きになれるものなのかなぁって。
っていうかペーターさんみたいに誰かを好きになれるってすごいよなぁ。
もちろん彼が特殊なのかもしれない。
異常愛というか、アリス曰く「ストーカー」だし、ちょっと乙女すぎるし、病的と言えばそうかもしれない。
でも、ペーターさんみたいに誰かを好きになれるのはすごく幸せなことなのかもしれないとも思う。
私には今、特に好きな人もいない。
エースのことを「ちょっとかっこいいな」と思うくらいだ。
しかも彼はいつも旅だか迷子だかでいないので、たまに見かけて「顔だけはいいよなー」と思う程度。
こんなの好きとか、愛とかには程遠い。
「そのうち名無しさんにもきっとわかります。愛がどんなものなのかが!!」
「そうかなぁ。私ペーターさんみたいな愛がわかる自信なんて全然ないけど」
熱く語るペーターさんにちょっと引きつつそう答えると、後ろから声がした。
「……まったく鬱陶しい男じゃ。ホワイト、お前の愛とやらはただ迷惑なだけだと思うが?」
「ははは! やだな、陛下。そんなにはっきり言ったらペーターさんが傷ついちゃいますよ」
いつの間にかビバルディとエースが私達の後ろに立っているのだった。
「僕のように崇高な愛を知らないあなた方2人にはわからないでしょうね」
冷たい声でそう言い放つペーターさんに、ビバルディとエースは動じる様子もない。
「その崇高な愛とやらも、アリスに届かなければ意味がないのではないか?」
「僕は見返りを求めているわけではないんですよ。いわば無償の愛!! 崇高な愛なんです!」
「へぇ、すごいや。俺だったら好きな子は自分のものにしたいけどな」
そう言いながらエースはなぜか私の肩に手を回してきた。
がしりと抱き寄せられて一瞬どきりとする。
エースのことは「ちょっとかっこいいな」くらいにしか思っていないけれど、この距離はさすがにドキッとする。
「えーと……なんですか?」
「名無しさん、ペーターさんと俺じゃあ愛の形が違うみたいなんだ」
「うん。人それぞれだからね」
振り回されたくない私はあえて明るい口調でそう言うと、エースの手を振り払った。
「名無しさんはつれないよなぁ」とエースは笑う。
「エース。名無しさんに触るな。その子はわらわのものじゃ」
今度はビバルディに引き寄せられた。彼女の香水がふわりと香る。
「えー、ずるいですよ。俺だって名無しさんが欲しい」
「うるさい黙れ。お前なんかに名無しさんをやったらこの子が不幸になるだけじゃ。そうだろう、名無しさん?」
私の顔を覗きこんできたビバルディはやたらと妖艶で、同性とはいえものすごくドッキリする。
何も言えずにいる私を見て、彼女は唇の端をゆっくりとあげて笑った。
「愛い子じゃ。こんな男どもよりもわらわの方が好きだろう?」
「え、えぇと……」
「やめてくださいよ。名無しさんをあなた達みたいな人に汚されたくありません」
動揺してしまった私の手をペーターさんが引っ張ってくれた。
そしてまっすぐに私を見て囁く。
「名無しさん。あなたはそのうち崇高な愛を知るんです。その時まで陛下やエース君から僕が守ってあげますよ」
「は、はぁ……」
ペーターさんはそう言ったけれど、そんな大層なものをわかる日がいつかくるのだろうか?
そんなことを考えていたら、エースが私の顔を覗きこんできた。
「どうしたの?名無しさん」
私はそのままエースを見つめた。
……この人の顔だけはいいなと思っているけど、それは好きってことにはならないもんねぇ?
顔じゃなくて人間中身だもんね。中身は結構アレだからなぁ、この人。
やっぱり好きってわけじゃないよね。
アリスを想って眠れないというペーターさんみたいに、エースのことを考えて夜も眠れないなんてこと全然ないし。
そんなことをぼんやりと考えながら、ほぼ無意識にエースを見つめる。
見つめあうこと数秒、エースが口を開いた。
「名無しさん。もしかして……キスしてって催促?」
「……」
その言葉が耳に入って5秒後くらいに意味を理解した私。
「……っ!?」
私はばっと彼から距離を取る。
「な、何言ってんの!?」
慌てる私にエースはきょとんと首を傾げる。
「え、だってあんなに見つめられたらそう思っちゃうだろ?」
「見つめてなんかないけどっ!」
「見つめてたよ」
爽やかに笑って彼は私の腕をがしりと掴んだ。
ドクンと鼓動が跳ねる。
「なにを考えてたのか知らないけど、そうやって期待を持たせるのってずるいんじゃない?」
エースは静かにそう言うと、意味深に笑った。そしてどぎまぎする私の肩に手を置く。
その時だった。
「だから名無しさんに触れるなと言っておろうに!」
「あなたの頭を撃ちぬいていいですよね、エース君」
左右から引っ張られて、私はエースから引き離される。
「名無しさん、こやつだけはやめておけ。ロクなことにならんぞ」
「そうですよ、エース君だけは絶対に許しません!」
「えぇー? 誰を選ぶかなんて名無しさんの自由じゃないか」
目を吊り上げる2人に、エースは口を尖らせる。
わいわい騒ぐ3人を見ながら、私は自分の鼓動が異常に早いことに気づいた。
好きで好きで仕方ないというくらいに誰かを想うって、もしかしたら意外と簡単なのかもしれない。
まだわからないけど、もしかしたら……。
そう思った時、不意にエースと目が合って私の鼓動はさらに早まった。
慌てて視線を逸らす。かーっと熱くなる顔を手で押さえる。
さっきのやりとりでエースのことを変に意識してるのかもしれない。
「そういう反応ってやっぱりずるいな、名無しさんは」
エースがそう言ってくすくす笑うので、私は恥ずかしくてどうしようもなかった。
誰かを好きになる理由なんて意外と単純だったり、そんなものはなかったりするのかもしれない。
ただ、胸がドキドキする。