真夏のティーパーティー!
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【おまけ1 エース】
帰り支度を終え、ロッジから出た私たち。
「あっという間の5時間帯だったわね」
「うん、なんだか色々あったけど」
ボリスやら双子が押しかけてくるし、ついさっきまで遭難してしまっていたし……。
振りかえっても中身の濃すぎる5時間帯だった。私はただアリスとのんびり旅行したかっただけなのに。
アリスは良い気分転換になったようでにこにこしているが、私はというとなんだかぐったりだ。
ふぅ、とため息をつくとすぐ隣で爽やかにエースがうなずいた。
「俺も旅行に参加してたような気分だぜ」
本当にまるで参加していたかのように私とアリスの隣りを歩いているエース。
彼は私が遭難した時にばったり出会った。
彼のおかげでこうして無事でいられるけれど、内心私は困っている。
精神的に弱っていたとはいえ、遭難中にキスをされたのだ。
エースのことは好きだけど、あれはちょっとまずい。
「元気だしなよ」ちゅっ。とかそんな可愛いものじゃないのだ。
まるで抵抗もしなかったし、嫌だとも思わなかったけど私たちはそんな関係じゃない。(やっぱり吊り橋効果が発動していたのかなぁ?)
気まずいなと思っているのだけれど、エースはいつも通りだった。いつも通り爽やかで胡散臭い。
しばらく3人でわいわいと話ながら歩いてきていたが、やがて大通りに出た。
ここから先はアリスと私で方向が違う。
「名無しさんはこのまままっすぐ行くのよね?」
「うん。私は帽子屋屋敷だから」
「そうよね。じゃあエース、帰りましょう」
ハートの城に滞在しているアリスはエースを見た。
すると彼は爽やかにこう言った。
「いや、俺時計塔に行くんだよ」
「あ、そうなの? じゃあ名無しさんと同じ方向ね」
「げ。」
思わず出た声にエースが笑う。
「うわぁ、なんでそんな嫌そうな顔するんだよ。ひどいなー、名無しさん」
「名無しさんは素直ねぇ」と笑うアリスに、「ははは! 素直って残酷だぜ」と笑うエース。
……とりあえず私も笑っておこう。
その後アリスと別れた私とエースは帰り道を2人で歩いている。
「……はぁ」
「なんか疲れてるね、名無しさん。まぁ仕方ないか。遭難してすぐに帰り道だもんな」
爽やかに言うエース。
確かに遭難してキスされてなんとか無事に戻ってすぐに帰る、という盛沢山な展開に身も心も疲れているけれど。
でも疲れている一番の原因は隣りを歩くあなたです。
そう思いながらエースにあまり近づきすぎないようにしつつ、普通を装っている私。(疲れるわ)
しかし、私が普通ではないことにエースはしっかりと気づいていたらしい。
「名無しさん、そんなに警戒しなくてもいいじゃないか」
彼は突然そう言って私を見る。爽やかな笑顔。
くっ、騙されるまい……!
この人の爽やか笑顔と穏やかな口調に、さっきはうっかりと騙されたのだ。
心が弱っていたとはいえ、私はどうかしていた。気をしっかりもたなければ!
「……警戒するにきまってるでしょう」
「えー、俺別に何もしないよ」
「信用できないもん」
そう言うと、彼は楽しそうに笑った。
「まぁそうか。さっきのアレがやっぱりまずかったのかな」
さっきのアレ。
それはやっぱりアレのことしかないよね。
「……わかってるなら近寄らないでね」
「ひどいなぁ。そんなに嫌だった?」
私の顔を覗きこみながら純粋に質問してくるエースは「嫌じゃなかったよね?」と付け加えてくる。
そういう聞き方ってないと思う。
どう答えたものかと考える私に、エースはさらりとこう言った。
「名無しさんとのキス、俺はよかったけど」
なに言ってんだこの人!
恥ずかしいことを普通に言わないでほしい。
思わず彼の腕をバシリと叩くと、「ははは!」と笑う。
「今の君にキスしたら、あんな風に大人しくはしてくれなそうだね」
「当たり前でしょう! 大暴れしてやるんだから!」
「ははっ、大暴れかー」
それはすごそうだなぁ、とのんきに言うエースは更にこう言った。
「でもさ、抵抗されると燃えるよね」
その言葉に私は彼から距離を取る。10歩分くらい。
そんな私をにこにこと見ているエース。
「大丈夫だよ。いくらなんでもこんな道の真ん中で名無しさんを襲う訳ないじゃないか」
彼はそう言いながら私の隣りにすすすっと寄ると、にこっと笑った。
「なにもしないよ」
悪意のなさそうな笑顔を向けられたら、心も揺れる。
騙されるまいとする気持ちがあっというまに崩れる。
そして彼はそんな私の心のスキを見逃さないのだ。
「そのかわり、手をつないでもいいよね?」
私が答える前にエースは手を握った。
そして、にこりと私を見て微笑む。
う……。
その微笑み方は反則だわ。(うっかりズギュンときてしまったよ?)
思わず固まる私に気づいているのかいないのか。
キスされたり何かされるよりも、手をつなぐだけという方がそわそわする。微笑まれる方がドキドキする。
特にエースの場合は、こっちが警戒していた分拍子抜けと言うか……(別に期待してたわけじゃないけど!!)
そんな私をよそに、エースは「こっちの道に行った方が近いんじゃないか?」などと山道を指さしている。
「そっちに行ったらまた遭難しちゃうでしょ!」と答えながらエースの大きな手を引くけれど、いっそのことまた遭難してしまいたい、と危険な思考が浮かんだ。
私の思考を読んだかのようにエースが笑う。
「ねぇ名無しさん。2人で迷子になっちゃおうか?」
「……ばか」
たぶん、この人は賢いから全部計算ずく。
まんまと意識させられている私は、彼の思うツボ。
帰り支度を終え、ロッジから出た私たち。
「あっという間の5時間帯だったわね」
「うん、なんだか色々あったけど」
ボリスやら双子が押しかけてくるし、ついさっきまで遭難してしまっていたし……。
振りかえっても中身の濃すぎる5時間帯だった。私はただアリスとのんびり旅行したかっただけなのに。
アリスは良い気分転換になったようでにこにこしているが、私はというとなんだかぐったりだ。
ふぅ、とため息をつくとすぐ隣で爽やかにエースがうなずいた。
「俺も旅行に参加してたような気分だぜ」
本当にまるで参加していたかのように私とアリスの隣りを歩いているエース。
彼は私が遭難した時にばったり出会った。
彼のおかげでこうして無事でいられるけれど、内心私は困っている。
精神的に弱っていたとはいえ、遭難中にキスをされたのだ。
エースのことは好きだけど、あれはちょっとまずい。
「元気だしなよ」ちゅっ。とかそんな可愛いものじゃないのだ。
まるで抵抗もしなかったし、嫌だとも思わなかったけど私たちはそんな関係じゃない。(やっぱり吊り橋効果が発動していたのかなぁ?)
気まずいなと思っているのだけれど、エースはいつも通りだった。いつも通り爽やかで胡散臭い。
しばらく3人でわいわいと話ながら歩いてきていたが、やがて大通りに出た。
ここから先はアリスと私で方向が違う。
「名無しさんはこのまままっすぐ行くのよね?」
「うん。私は帽子屋屋敷だから」
「そうよね。じゃあエース、帰りましょう」
ハートの城に滞在しているアリスはエースを見た。
すると彼は爽やかにこう言った。
「いや、俺時計塔に行くんだよ」
「あ、そうなの? じゃあ名無しさんと同じ方向ね」
「げ。」
思わず出た声にエースが笑う。
「うわぁ、なんでそんな嫌そうな顔するんだよ。ひどいなー、名無しさん」
「名無しさんは素直ねぇ」と笑うアリスに、「ははは! 素直って残酷だぜ」と笑うエース。
……とりあえず私も笑っておこう。
その後アリスと別れた私とエースは帰り道を2人で歩いている。
「……はぁ」
「なんか疲れてるね、名無しさん。まぁ仕方ないか。遭難してすぐに帰り道だもんな」
爽やかに言うエース。
確かに遭難してキスされてなんとか無事に戻ってすぐに帰る、という盛沢山な展開に身も心も疲れているけれど。
でも疲れている一番の原因は隣りを歩くあなたです。
そう思いながらエースにあまり近づきすぎないようにしつつ、普通を装っている私。(疲れるわ)
しかし、私が普通ではないことにエースはしっかりと気づいていたらしい。
「名無しさん、そんなに警戒しなくてもいいじゃないか」
彼は突然そう言って私を見る。爽やかな笑顔。
くっ、騙されるまい……!
この人の爽やか笑顔と穏やかな口調に、さっきはうっかりと騙されたのだ。
心が弱っていたとはいえ、私はどうかしていた。気をしっかりもたなければ!
「……警戒するにきまってるでしょう」
「えー、俺別に何もしないよ」
「信用できないもん」
そう言うと、彼は楽しそうに笑った。
「まぁそうか。さっきのアレがやっぱりまずかったのかな」
さっきのアレ。
それはやっぱりアレのことしかないよね。
「……わかってるなら近寄らないでね」
「ひどいなぁ。そんなに嫌だった?」
私の顔を覗きこみながら純粋に質問してくるエースは「嫌じゃなかったよね?」と付け加えてくる。
そういう聞き方ってないと思う。
どう答えたものかと考える私に、エースはさらりとこう言った。
「名無しさんとのキス、俺はよかったけど」
なに言ってんだこの人!
恥ずかしいことを普通に言わないでほしい。
思わず彼の腕をバシリと叩くと、「ははは!」と笑う。
「今の君にキスしたら、あんな風に大人しくはしてくれなそうだね」
「当たり前でしょう! 大暴れしてやるんだから!」
「ははっ、大暴れかー」
それはすごそうだなぁ、とのんきに言うエースは更にこう言った。
「でもさ、抵抗されると燃えるよね」
その言葉に私は彼から距離を取る。10歩分くらい。
そんな私をにこにこと見ているエース。
「大丈夫だよ。いくらなんでもこんな道の真ん中で名無しさんを襲う訳ないじゃないか」
彼はそう言いながら私の隣りにすすすっと寄ると、にこっと笑った。
「なにもしないよ」
悪意のなさそうな笑顔を向けられたら、心も揺れる。
騙されるまいとする気持ちがあっというまに崩れる。
そして彼はそんな私の心のスキを見逃さないのだ。
「そのかわり、手をつないでもいいよね?」
私が答える前にエースは手を握った。
そして、にこりと私を見て微笑む。
う……。
その微笑み方は反則だわ。(うっかりズギュンときてしまったよ?)
思わず固まる私に気づいているのかいないのか。
キスされたり何かされるよりも、手をつなぐだけという方がそわそわする。微笑まれる方がドキドキする。
特にエースの場合は、こっちが警戒していた分拍子抜けと言うか……(別に期待してたわけじゃないけど!!)
そんな私をよそに、エースは「こっちの道に行った方が近いんじゃないか?」などと山道を指さしている。
「そっちに行ったらまた遭難しちゃうでしょ!」と答えながらエースの大きな手を引くけれど、いっそのことまた遭難してしまいたい、と危険な思考が浮かんだ。
私の思考を読んだかのようにエースが笑う。
「ねぇ名無しさん。2人で迷子になっちゃおうか?」
「……ばか」
たぶん、この人は賢いから全部計算ずく。
まんまと意識させられている私は、彼の思うツボ。