真夏のティーパーティー!
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【作戦B】
クローバーの塔の廊下の隅でこそこそと話し合う2つの影。
「いいか、名無しさん。グレイが来たらこの箱の中身を思いっきりぶちまけるんだ」
「いいけど、これ一体何が入ってるの?」
ナイトメアから渡された小さな箱。
見た目の割にずっしりしているその箱を思わず受け取ってしまった私は、質問をする。
「なに、別に危険なものではない。安全にグレイを足止めできるビー玉だ」
ふふふ、とミステリアスに笑うナイトメアだけれど、正直言って子どもの遊びにしか思えない。
まさかこのビー玉に足を取られてグレイが転ぶとでも……?
「ねぇ、こんなことして本当に大丈夫なんでしょうね?」
「大丈夫さ。大丈夫に決まっているだろう。名無しさんは私を信用しないのか?」
「うん」
きっぱりうなずくと、ナイトメアは胸に手をあて「グッサ~」と自分で効果音をつけると、傷ついた表情を見せる。
「ひどいな、名無しさん。この作戦Bには思い切りが大事なんだ。君が私を信用して思い切った行動を取ってくれなければ成功しない」
「だって、どう考えたってグレイに怒られると思うよ?(作戦B?ってなにそれ?)」
歩いている途中でわざとビー玉なんてばらまかれたら、普通は文句の一つも言うはずだ。
っていうか作戦Bってまさかビー玉のBなんじゃ……。
「名無しさん、君だってグレイが心配なんだろう? あいつは仕事ばっかりでここ最近ろくに寝ていない。少しは休ませることも必要じゃないか! 上司として、そして同僚として!!」
「うん、それはそうだけどね。その前にナイトメアが上司としてきちんと仕事をすればいいんだと思うよ」
そうすればグレイだってあれほど仕事で苦労はしないだろう。
すると、ナイトメアはまたもや大袈裟に傷ついた表情を見せて、よろける演技まで入れる。(ホントにこの人偉いのかしら?)
「……君はいちいち正論を言う子だな」
「わかってるなら仕事してきたら?」
「いいや! 今はまずグレイを休ませることが第一だ! ほら、名無しさん! グレイが来たぞ!しっかりやってくれよ!」
ナイトメアはそう言ってすすすすっと私から離れる。
「ちょっとどこ行くのよ!? 私に罪をかぶせる気!?」
「いや、私は上司として囮になるんだ。私がグレイを引きつけている間に、君はしっかりと任務を遂行してくれ!私がここを通り過ぎたら、その箱の中身をばらまくんだ。そうすればグレイがそのビー玉に足止めされる。
あいつの性格上君と一緒にビー玉の片づけをしてくれるだろうから、そこでうまいこと奴を言いくるめてくれ。3時間帯休んだ方がいい、とね」
ナイトメアはかっこよくそう言って、グレイの前に出て行った。
突然の上司の登場に、廊下を歩いていたグレイの驚いた声がする。
「! ナイトメア様?」
「グレイ、話があるんだ。一緒に来てくれ」
そう言いながら、ナイトメアはグレイが近づいてくるのを待つ。
「話? わかりました。聞きましょう。俺の方も言いたいことがたくさんあるので、少々時間をいただきますよ。ナイトメア様」
「う……わ、わかった。私の話が終わったらお前の話を聞いてやろう」
あぁ、たぶんお説教をしたいんだな、グレイは。
ナイトメアもそれを察したらしく、顔をしかめてうなずいた。
どんどん近づいてくるグレイを、廊下の影から私はそっと見つめながら葛藤する。
ナイトメアの作戦に乗るか、グレイの信頼を取るか……。
ナイトメアの言うようにグレイには休んでほしい。
でもグレイを困らせて無理やり休ませるようなまねはしたくない。
うーむ……。
カツカツと靴音を響かせて早足で迫ってくるグレイを見ながら私は悩んだ。
ナイトメアが私に目で「あと少しだ」と合図を送ってくる。
あぁ、どうしよう。
もうあと少しで『作戦B』の一番重要な山場、私の出番がやってくる。
あと少し……グレイはもうすぐそこまで来ている。
ナイトメアがニヤリと笑うのが見えた。
悩んだ結果。
私は思いっきり箱の中身をばらまいた。
「わっ!?」
ものすごい音を立てて転がり散らばる無数のビー玉。
ころころ、きらきらとちらばって行くビー玉が綺麗だった。
そして、そのビー玉に足を取られたのは他でもない、ナイトメアだった。
グレイが驚いたようにそれを見つめている。
「な、なんだ名無しさん!?違うだろう!?私にビー玉をばらまいてどうする」
「だって、どう考えたってあなたが働くべきなんだもの」
座り込んで私に文句を言うナイトメアに、私はしれっと答えた。
「くっ!裏切ったな!!」
「元から私はグレイ派なのよ」
「うぅ……ひどい!ひどいぞ!私が上司で偉いのに」
「だったら部下を困らせないように仕事をしてちょうだい」
冷たく言い放つ私にナイトメアが口を尖らせた。
「……一体何の遊びなんですか、これは」
グレイが唖然とした表情で私たちを見ていた。
結局ナイトメアはグレイにつかまり、お説教をされ、仕事へと連れ戻されていった。
作戦Bはある意味成功だといえよう。
クローバーの塔の廊下の隅でこそこそと話し合う2つの影。
「いいか、名無しさん。グレイが来たらこの箱の中身を思いっきりぶちまけるんだ」
「いいけど、これ一体何が入ってるの?」
ナイトメアから渡された小さな箱。
見た目の割にずっしりしているその箱を思わず受け取ってしまった私は、質問をする。
「なに、別に危険なものではない。安全にグレイを足止めできるビー玉だ」
ふふふ、とミステリアスに笑うナイトメアだけれど、正直言って子どもの遊びにしか思えない。
まさかこのビー玉に足を取られてグレイが転ぶとでも……?
「ねぇ、こんなことして本当に大丈夫なんでしょうね?」
「大丈夫さ。大丈夫に決まっているだろう。名無しさんは私を信用しないのか?」
「うん」
きっぱりうなずくと、ナイトメアは胸に手をあて「グッサ~」と自分で効果音をつけると、傷ついた表情を見せる。
「ひどいな、名無しさん。この作戦Bには思い切りが大事なんだ。君が私を信用して思い切った行動を取ってくれなければ成功しない」
「だって、どう考えたってグレイに怒られると思うよ?(作戦B?ってなにそれ?)」
歩いている途中でわざとビー玉なんてばらまかれたら、普通は文句の一つも言うはずだ。
っていうか作戦Bってまさかビー玉のBなんじゃ……。
「名無しさん、君だってグレイが心配なんだろう? あいつは仕事ばっかりでここ最近ろくに寝ていない。少しは休ませることも必要じゃないか! 上司として、そして同僚として!!」
「うん、それはそうだけどね。その前にナイトメアが上司としてきちんと仕事をすればいいんだと思うよ」
そうすればグレイだってあれほど仕事で苦労はしないだろう。
すると、ナイトメアはまたもや大袈裟に傷ついた表情を見せて、よろける演技まで入れる。(ホントにこの人偉いのかしら?)
「……君はいちいち正論を言う子だな」
「わかってるなら仕事してきたら?」
「いいや! 今はまずグレイを休ませることが第一だ! ほら、名無しさん! グレイが来たぞ!しっかりやってくれよ!」
ナイトメアはそう言ってすすすすっと私から離れる。
「ちょっとどこ行くのよ!? 私に罪をかぶせる気!?」
「いや、私は上司として囮になるんだ。私がグレイを引きつけている間に、君はしっかりと任務を遂行してくれ!私がここを通り過ぎたら、その箱の中身をばらまくんだ。そうすればグレイがそのビー玉に足止めされる。
あいつの性格上君と一緒にビー玉の片づけをしてくれるだろうから、そこでうまいこと奴を言いくるめてくれ。3時間帯休んだ方がいい、とね」
ナイトメアはかっこよくそう言って、グレイの前に出て行った。
突然の上司の登場に、廊下を歩いていたグレイの驚いた声がする。
「! ナイトメア様?」
「グレイ、話があるんだ。一緒に来てくれ」
そう言いながら、ナイトメアはグレイが近づいてくるのを待つ。
「話? わかりました。聞きましょう。俺の方も言いたいことがたくさんあるので、少々時間をいただきますよ。ナイトメア様」
「う……わ、わかった。私の話が終わったらお前の話を聞いてやろう」
あぁ、たぶんお説教をしたいんだな、グレイは。
ナイトメアもそれを察したらしく、顔をしかめてうなずいた。
どんどん近づいてくるグレイを、廊下の影から私はそっと見つめながら葛藤する。
ナイトメアの作戦に乗るか、グレイの信頼を取るか……。
ナイトメアの言うようにグレイには休んでほしい。
でもグレイを困らせて無理やり休ませるようなまねはしたくない。
うーむ……。
カツカツと靴音を響かせて早足で迫ってくるグレイを見ながら私は悩んだ。
ナイトメアが私に目で「あと少しだ」と合図を送ってくる。
あぁ、どうしよう。
もうあと少しで『作戦B』の一番重要な山場、私の出番がやってくる。
あと少し……グレイはもうすぐそこまで来ている。
ナイトメアがニヤリと笑うのが見えた。
悩んだ結果。
私は思いっきり箱の中身をばらまいた。
「わっ!?」
ものすごい音を立てて転がり散らばる無数のビー玉。
ころころ、きらきらとちらばって行くビー玉が綺麗だった。
そして、そのビー玉に足を取られたのは他でもない、ナイトメアだった。
グレイが驚いたようにそれを見つめている。
「な、なんだ名無しさん!?違うだろう!?私にビー玉をばらまいてどうする」
「だって、どう考えたってあなたが働くべきなんだもの」
座り込んで私に文句を言うナイトメアに、私はしれっと答えた。
「くっ!裏切ったな!!」
「元から私はグレイ派なのよ」
「うぅ……ひどい!ひどいぞ!私が上司で偉いのに」
「だったら部下を困らせないように仕事をしてちょうだい」
冷たく言い放つ私にナイトメアが口を尖らせた。
「……一体何の遊びなんですか、これは」
グレイが唖然とした表情で私たちを見ていた。
結局ナイトメアはグレイにつかまり、お説教をされ、仕事へと連れ戻されていった。
作戦Bはある意味成功だといえよう。