真夏のティーパーティー!
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【休憩時間】
仕事の合間に休憩所で珈琲を飲んでいたら、グレイがやってきた。
「あ、グレイ。おつかれさま」
「あぁ、名無しさん。君も休憩か」
彼は私から離れたテーブルへ行くと、胸ポケットから煙草を取り出した。
その様子をなんとなく見ていると、彼が目で煙草を吸っていいか、と合図した。
私はそれにうなずくと、また一口珈琲をすする。
彼は私といるとき、毎回必ず煙草を吸う許可を求める。
もう付き合ってだいぶ経つにも関わらず。別に気にしなくていいのにな。
カチっとライターの音がして、しばらくすると煙草の煙の匂い。
グレイは気を使って私から離れて煙草を吸うけれど、そもそもこの休憩室は喫煙してよいのだ。
彼がこそこそする必要はない。
「ごめんね、グレイ。別に気を遣わなくていいんだよ」
この休憩室に来ればグレイに会える。だから私はここにきているのだ。
煙草が嫌ならちゃんと禁煙の休憩室へ行くべきなのはわかっている。
「いや、煙草をやめられない俺も悪い」
そう言いながら彼は煙草を吸い、煙をゆっくりと吐き出す。
グレイが煙草を吸っている姿を見るのは好きだ。
彼の休憩時間を邪魔しないようにしばらく黙っていた私。
タイミングを見て声をかける。
「仕事はどう? 進んでる?」
「……ナイトメア様を椅子に縛り付けたからな。これまでよりはいいペースだ」
「縛り付けたんだ」
思わず笑ってしまう。グレイもふっと表情を緩めた。
「本当に子どものような方だ。折を見て逃げ出そうとするよ」
「大丈夫なの? グレイがここにいて。今がチャンスだとばかりに逃げ出しそうじゃない?」
「見張りを5人つけた。俺からもナイトメア様にきつく言ってある。ここで逃げたらどうなるかくらい、あの方もわかっているだろう」
「……ははは」
珍しく実力行使にでたなぁ、グレイ。
かなり切羽詰った状況なのだろう。
「私に手伝えることがあれば言ってね。大したことはできないけど」
私の仕事は別に後回しにしても平気なものばかりだ。
重要度から言えば、彼らの手伝いをした方がいいだろう。
そう思ったのだけれど、グレイは首を振った。
「いや、大丈夫だ。自分の始末は自分でつけてもらわなければ」
「スパルタだね」
「あの方を甘やかすのはもうやめたんだ」
確かにグレイはなんだかんだと面倒見がいいので、ナイトメアはそこに甘えている節がある。
「じゃあグレイの仕事で手伝えることがあればやるけど。ナイトメアのせいで遅れが出てるんじゃないの?」
「そうだな……」
私の申し出に煙草をふかして考え込むグレイ。
煙を吐き出してから、彼は穏やかに言った。
「大丈夫だ。なんとかなる」
「えー、本当?」
彼の激務ぶりは傍から見ていてもかなりのものだということがわかるのに。
私からの疑いの眼差しを受け止めたまま、グレイは煙草を消すと私の元へとやってくる。
そして斜め向かいに座った。なんだかどきどきする。
「あんまり無理しない方がいいよ」
気持ちをなんとか落ち着けようと珈琲を飲みながら言うと、彼はそうだな、と小さく笑った。
そしてしばらく何かを考えていたようだったが、ふと私を見てこう言った。
「それじゃあ名無しさんにちょっとだけ手伝ってもらおう」
「うん、いいよ。わた……」
私で良ければ。
そう答えようと思ったらキスをされた。
一瞬だったけれど、煙草の味。
不意打ちに驚いてグレイを見つめると、彼は穏やかに笑った。
「これで十分だ」
目をぱちくりさせる私を面白そうに見て、彼はもう一度短いキスを落とす。
「じゃあ、またな。名無しさん」
「う、うん、またね」
頭をぽんとひとなでして、彼はつかつかと休憩所を出て行った。
その後姿をぼんやりと見送りつつ、自分の恋人に惚れ直してしまった私だった。
仕事の合間に休憩所で珈琲を飲んでいたら、グレイがやってきた。
「あ、グレイ。おつかれさま」
「あぁ、名無しさん。君も休憩か」
彼は私から離れたテーブルへ行くと、胸ポケットから煙草を取り出した。
その様子をなんとなく見ていると、彼が目で煙草を吸っていいか、と合図した。
私はそれにうなずくと、また一口珈琲をすする。
彼は私といるとき、毎回必ず煙草を吸う許可を求める。
もう付き合ってだいぶ経つにも関わらず。別に気にしなくていいのにな。
カチっとライターの音がして、しばらくすると煙草の煙の匂い。
グレイは気を使って私から離れて煙草を吸うけれど、そもそもこの休憩室は喫煙してよいのだ。
彼がこそこそする必要はない。
「ごめんね、グレイ。別に気を遣わなくていいんだよ」
この休憩室に来ればグレイに会える。だから私はここにきているのだ。
煙草が嫌ならちゃんと禁煙の休憩室へ行くべきなのはわかっている。
「いや、煙草をやめられない俺も悪い」
そう言いながら彼は煙草を吸い、煙をゆっくりと吐き出す。
グレイが煙草を吸っている姿を見るのは好きだ。
彼の休憩時間を邪魔しないようにしばらく黙っていた私。
タイミングを見て声をかける。
「仕事はどう? 進んでる?」
「……ナイトメア様を椅子に縛り付けたからな。これまでよりはいいペースだ」
「縛り付けたんだ」
思わず笑ってしまう。グレイもふっと表情を緩めた。
「本当に子どものような方だ。折を見て逃げ出そうとするよ」
「大丈夫なの? グレイがここにいて。今がチャンスだとばかりに逃げ出しそうじゃない?」
「見張りを5人つけた。俺からもナイトメア様にきつく言ってある。ここで逃げたらどうなるかくらい、あの方もわかっているだろう」
「……ははは」
珍しく実力行使にでたなぁ、グレイ。
かなり切羽詰った状況なのだろう。
「私に手伝えることがあれば言ってね。大したことはできないけど」
私の仕事は別に後回しにしても平気なものばかりだ。
重要度から言えば、彼らの手伝いをした方がいいだろう。
そう思ったのだけれど、グレイは首を振った。
「いや、大丈夫だ。自分の始末は自分でつけてもらわなければ」
「スパルタだね」
「あの方を甘やかすのはもうやめたんだ」
確かにグレイはなんだかんだと面倒見がいいので、ナイトメアはそこに甘えている節がある。
「じゃあグレイの仕事で手伝えることがあればやるけど。ナイトメアのせいで遅れが出てるんじゃないの?」
「そうだな……」
私の申し出に煙草をふかして考え込むグレイ。
煙を吐き出してから、彼は穏やかに言った。
「大丈夫だ。なんとかなる」
「えー、本当?」
彼の激務ぶりは傍から見ていてもかなりのものだということがわかるのに。
私からの疑いの眼差しを受け止めたまま、グレイは煙草を消すと私の元へとやってくる。
そして斜め向かいに座った。なんだかどきどきする。
「あんまり無理しない方がいいよ」
気持ちをなんとか落ち着けようと珈琲を飲みながら言うと、彼はそうだな、と小さく笑った。
そしてしばらく何かを考えていたようだったが、ふと私を見てこう言った。
「それじゃあ名無しさんにちょっとだけ手伝ってもらおう」
「うん、いいよ。わた……」
私で良ければ。
そう答えようと思ったらキスをされた。
一瞬だったけれど、煙草の味。
不意打ちに驚いてグレイを見つめると、彼は穏やかに笑った。
「これで十分だ」
目をぱちくりさせる私を面白そうに見て、彼はもう一度短いキスを落とす。
「じゃあ、またな。名無しさん」
「う、うん、またね」
頭をぽんとひとなでして、彼はつかつかと休憩所を出て行った。
その後姿をぼんやりと見送りつつ、自分の恋人に惚れ直してしまった私だった。