真夏のティーパーティー!
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【第三夜】
「会うと思ったぜ」
「……毎度毎度すみません」
くらい森の中で、私とエリオットが3度目の遭遇。
にこやかに笑うエリオットと、申し訳なさから平謝りの私。
「別に謝ることねぇよ。俺でよかったな、名無しさん」
他の奴らだったらどんな目にあうかわからないぜ、というエリオット。
彼はいつもそう言うけれど、実際他の人に会っても危険な目には合わないと思う。
でも送ってもらっているし、特に反論する必要もないから言わないけど。
「エリオット、いつもありがとね。今度お礼をさせてよ」
「礼なんていらねえって。名無しさんが心配で俺が勝手に送ってるだけなんだからさ」
……なんていい人(ウサギ?)なんだろう。
これって男としてはかなりモテると思うんだけど。
「エリオットってモテるでしょう?」
「は?」
「だって優しいんだもん。いい人だよね」
「俺がいい人!? それ、本気で言ってんのか?」
「うん。いい人。男としてカッコいいと思います」
驚くエリオットに強くうなずいた私。
前回エリオットに送ってもらった時に、「一緒にいてやりたくなる」と言われ、さらに素敵な笑顔までもらった私。
あれで、かなり彼を意識してしまったらしい。
色々と考えた結果「エリオットは絶対にモテる」ということに思い当たった。
たぶん私じゃなくても、彼は森でばったり会った知り合いの女の子を送り届けてあげるんじゃないかな。
そう思うと、ちょっぴり胸が痛くなる。
そんな嫉妬心に駆られていたら、隣のエリオットは黙り込んでしまっていた。
あ、もしかしてマフィアとしては『いい人』という評価はよくなかったかしら。
「エリオット?」
彼の顔を覗きこむと、うーむ、と何かを考え込んでいるような表情のエリオット。
「まぁ、いい……のか?一応」
エリオットのつぶやきに首を傾げると、彼はちらりと私を見た。
「名無しさんに安心されるならそれでもいいような気がするんだけどさ」
「うん?」
「こうやって安心されてずっと一緒にいるのと、1度でも名無しさんを俺のものして気まずくなるのって、どっちがいいんだろうな?」
「……はい?」
どういう意味、それ。
言葉の意味を考えるよりも前に、エリオットが私の前にずんと立つ。
「どっちがいい?」
「な、なにがっ!?」
静かな声でいきなり問われるが、全く意味がわからない。今までなかったパターンにただただ動揺する。
「ずっと仲良く友達でいるのと、1回俺のものになるの。どっちがいいか聞いてんの」
私を見下ろす彼の目はまっすぐだったけれど、声がやたらと色っぽい。気のせいではないと思う。
動揺しまくる私が一歩下がった瞬間に、彼は私の腕をがしりと掴んだ。
「答えろよ」
「……え、えぇと……何もしないって言ってたよね??」
「あぁ、言ったかもしれないな。でもそんなの忘れた」
あっさりと言うエリオットに言葉を失う。
「名無しさんに何かあったら嫌だけど、それは誰かに何かされたら嫌だって話。俺があんたに手を出す分にはいい」
「それって私にしてみれば、めちゃくちゃな話だよ」
「だな。でも、それが俺の本心」
エリオットはそう言いながら、私の耳元に顔を寄せる。
思わず息を詰める私に、彼は小声でささやいた。
「で? どうすんの?」
「な、仲良く友達が……」
「なるほどね」
私が言い終わらないうちに、彼はそうつぶやいてにやりと笑った。
「却下」
「はい!?」
「こんな話した後で、友達になんて戻れる訳ねぇもんな。どうせ気まずくなるなら、一回俺のものになってくれよ」
「言ってることがほんとにめちゃくちゃだよ、エリオット」
「そうか? 俺としちゃあ筋が通ってるんだけどな」
悪びれずに言うエリオットは、私の首筋に唇を寄せる。
ぞわりとする。
「こ、こういうの送り狼っていうんだよ!? よくないことだよ!」
なんとか言葉を紡ぐ私にエリオットが耳元でくくっと笑った。
「狼か。……そりゃいいな」
「よくない!!」
ウサギのくせに!
そう付け加えてやろうとしたら、ぎゅっと抱きしめられた。
「俺、名無しさんが好きなんだ。一緒にいられる方が俺だって嬉しいけど、こんなに近くにいるのに何もできないのはそろそろ限界だ」
思わぬ告白に私は驚くと同時にこんな言葉が出た。
「……好きなの? 私のことが?」
「あぁ。好きだ。じゃなかったら、仕事後にわざわざ家まで送らねぇよ」
その言葉に私は、何とも言えない気持ちがこみ上げてきた。
思わず彼の背中に手を回すと、エリオットは驚いたらしい。
私を抱きしめる腕をゆるめると、私の顔を覗きこんだ。
「名無しさん?」
「……エリオットに狼は似合わない」
そう言って、私は彼の胸に顔をうずめた。
「ずっと仲良く一緒にいてよ。友達よりも近い距離で」
恥ずかしいので、そんな回りくどい言い方をしてしまったけれど、意味は通じたらしい。
エリオットは再び私を抱きしめる。
「嫌だって言っても離さないからな」
「うん」
顔をあげると、エリオットと目が合った。
ものすごく優しい目で私を見る彼に泣きそうになる。
「泣くなよ」
「泣いてない」
そんなことを言って短いキスをする。
「帰る?屋敷に来る?」
「今日は帰る」
「あっそ」
…………。
「ぷっ!」
「ふふっ!」
一瞬の沈黙。
そして、その後お互い同じタイミングで笑い出した。なんだかおかしかったのだ。
2人そろって舞い上がっているんだろう。
夜の森だろうとなんだろうと、気分は上がっていく一方だ。
エリオットは狼なんて似合わない。
可愛いくて優しい私だけのうさぎさん。
「会うと思ったぜ」
「……毎度毎度すみません」
くらい森の中で、私とエリオットが3度目の遭遇。
にこやかに笑うエリオットと、申し訳なさから平謝りの私。
「別に謝ることねぇよ。俺でよかったな、名無しさん」
他の奴らだったらどんな目にあうかわからないぜ、というエリオット。
彼はいつもそう言うけれど、実際他の人に会っても危険な目には合わないと思う。
でも送ってもらっているし、特に反論する必要もないから言わないけど。
「エリオット、いつもありがとね。今度お礼をさせてよ」
「礼なんていらねえって。名無しさんが心配で俺が勝手に送ってるだけなんだからさ」
……なんていい人(ウサギ?)なんだろう。
これって男としてはかなりモテると思うんだけど。
「エリオットってモテるでしょう?」
「は?」
「だって優しいんだもん。いい人だよね」
「俺がいい人!? それ、本気で言ってんのか?」
「うん。いい人。男としてカッコいいと思います」
驚くエリオットに強くうなずいた私。
前回エリオットに送ってもらった時に、「一緒にいてやりたくなる」と言われ、さらに素敵な笑顔までもらった私。
あれで、かなり彼を意識してしまったらしい。
色々と考えた結果「エリオットは絶対にモテる」ということに思い当たった。
たぶん私じゃなくても、彼は森でばったり会った知り合いの女の子を送り届けてあげるんじゃないかな。
そう思うと、ちょっぴり胸が痛くなる。
そんな嫉妬心に駆られていたら、隣のエリオットは黙り込んでしまっていた。
あ、もしかしてマフィアとしては『いい人』という評価はよくなかったかしら。
「エリオット?」
彼の顔を覗きこむと、うーむ、と何かを考え込んでいるような表情のエリオット。
「まぁ、いい……のか?一応」
エリオットのつぶやきに首を傾げると、彼はちらりと私を見た。
「名無しさんに安心されるならそれでもいいような気がするんだけどさ」
「うん?」
「こうやって安心されてずっと一緒にいるのと、1度でも名無しさんを俺のものして気まずくなるのって、どっちがいいんだろうな?」
「……はい?」
どういう意味、それ。
言葉の意味を考えるよりも前に、エリオットが私の前にずんと立つ。
「どっちがいい?」
「な、なにがっ!?」
静かな声でいきなり問われるが、全く意味がわからない。今までなかったパターンにただただ動揺する。
「ずっと仲良く友達でいるのと、1回俺のものになるの。どっちがいいか聞いてんの」
私を見下ろす彼の目はまっすぐだったけれど、声がやたらと色っぽい。気のせいではないと思う。
動揺しまくる私が一歩下がった瞬間に、彼は私の腕をがしりと掴んだ。
「答えろよ」
「……え、えぇと……何もしないって言ってたよね??」
「あぁ、言ったかもしれないな。でもそんなの忘れた」
あっさりと言うエリオットに言葉を失う。
「名無しさんに何かあったら嫌だけど、それは誰かに何かされたら嫌だって話。俺があんたに手を出す分にはいい」
「それって私にしてみれば、めちゃくちゃな話だよ」
「だな。でも、それが俺の本心」
エリオットはそう言いながら、私の耳元に顔を寄せる。
思わず息を詰める私に、彼は小声でささやいた。
「で? どうすんの?」
「な、仲良く友達が……」
「なるほどね」
私が言い終わらないうちに、彼はそうつぶやいてにやりと笑った。
「却下」
「はい!?」
「こんな話した後で、友達になんて戻れる訳ねぇもんな。どうせ気まずくなるなら、一回俺のものになってくれよ」
「言ってることがほんとにめちゃくちゃだよ、エリオット」
「そうか? 俺としちゃあ筋が通ってるんだけどな」
悪びれずに言うエリオットは、私の首筋に唇を寄せる。
ぞわりとする。
「こ、こういうの送り狼っていうんだよ!? よくないことだよ!」
なんとか言葉を紡ぐ私にエリオットが耳元でくくっと笑った。
「狼か。……そりゃいいな」
「よくない!!」
ウサギのくせに!
そう付け加えてやろうとしたら、ぎゅっと抱きしめられた。
「俺、名無しさんが好きなんだ。一緒にいられる方が俺だって嬉しいけど、こんなに近くにいるのに何もできないのはそろそろ限界だ」
思わぬ告白に私は驚くと同時にこんな言葉が出た。
「……好きなの? 私のことが?」
「あぁ。好きだ。じゃなかったら、仕事後にわざわざ家まで送らねぇよ」
その言葉に私は、何とも言えない気持ちがこみ上げてきた。
思わず彼の背中に手を回すと、エリオットは驚いたらしい。
私を抱きしめる腕をゆるめると、私の顔を覗きこんだ。
「名無しさん?」
「……エリオットに狼は似合わない」
そう言って、私は彼の胸に顔をうずめた。
「ずっと仲良く一緒にいてよ。友達よりも近い距離で」
恥ずかしいので、そんな回りくどい言い方をしてしまったけれど、意味は通じたらしい。
エリオットは再び私を抱きしめる。
「嫌だって言っても離さないからな」
「うん」
顔をあげると、エリオットと目が合った。
ものすごく優しい目で私を見る彼に泣きそうになる。
「泣くなよ」
「泣いてない」
そんなことを言って短いキスをする。
「帰る?屋敷に来る?」
「今日は帰る」
「あっそ」
…………。
「ぷっ!」
「ふふっ!」
一瞬の沈黙。
そして、その後お互い同じタイミングで笑い出した。なんだかおかしかったのだ。
2人そろって舞い上がっているんだろう。
夜の森だろうとなんだろうと、気分は上がっていく一方だ。
エリオットは狼なんて似合わない。
可愛いくて優しい私だけのうさぎさん。