真夏のティーパーティー!
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【冗談】
ハートの城に滞在してだいぶ経ったある日。
私は自分の部屋のベッドで目が覚めた。
お城のベッドは恐ろしいほどにふかふかで気持ちがいい。
いくらでも寝られると思うけど、そろそろ起きないと。
「ん~……」
ごろりと身体の向きを変えようとした。
しかし。
「……?」
毛布が巻き付いているのか、うまく動けなかった。
もう一度寝返りを試みようと、腰に巻き付いた毛布に手を伸ばした時だった。
そのふとんがぎゅっと私に巻き付いた。
「……え!?」
一瞬にして目が覚めた。
そして、すぐ背後に誰かの気配。
おそるおそる顔だけ振り向くと、そこにはすやすやと穏やかに眠るエースがいた。
もちろん、次の瞬間には『すぱこーん!』という音が室内に響き渡ったのである。
「……ひどいよなー。いきなり殴るなんて」
「ひどいのはそっちでしょ。人のベッドに潜り込んでくるなんて信じられない! 最低! 迷子!!」
エースは頭をさすりながら言うが、私の言い分は正しいと思う。
「俺も眠かったんだよ。でも自室になかなか戻れなくてさ。ここかな?ってドアを開けたら名無しさんが眠っていたから、2人で眠るなら楽しいかなって思って」
ご丁寧にこの迷子騎士様は、赤いコートと大剣、手袋をきちんと外して寝ていたのだ。勝手に入ってきて、勝手に隣で眠る体制に入るとか普通じゃないよね?
「これだけたくさん部屋があるんだから、せめて隣の部屋で眠りなさいよ」
「えー、さみしいじゃないか。せっかく名無しさんがいるんだから、一緒に眠りたかったんだよ。君の寝顔かわいかったしね」
なんだか問題発言ぶちかましてきたよ、この人。
ごくごく普通に言うエースに呆れる私だったけれど、さらに追い打ちをかけるのがエースという人だ。
「あんまり可愛いから、我慢するのも一苦労だったぜ。我ながらすごい偉業を成し遂げた気がするよ」
「……偉業を達成してくれてありがとう」
発言はともかく、さらりと爽やか100%のエースに思わず距離を置く私。
彼が「偉業」を達成してくれたおかげで、私は無事に朝を迎えることができたのだろう。
すると、彼はにこりと私を見て微笑んだ。
「うん。やっぱりそういうことは、同意がないといけないもんな」
そんなことを言って、彼は私との距離を詰めて肩に手をかける。
「いやいや、待って! 同意してない!」
大体、なんの同意なのかすらよくわからない。(ただ身の危険だけを感じるのですが!)
「え? 同意してくれるだろ? せっかく一晩耐えたんだからさ、俺の努力をここで無駄にしないでくれよ」
「何の話よ!?」
「同意なしになっちゃうよってこと」
そう言いながら、私をベッドに押し倒すエース。最低だこいつ。
「一晩耐えたなら、耐え切りなさいよ!!」
「ははは! そんなの無理に決まってるじゃないか」
「そんな爽やかに言わないでくれますかね」
エースに見下ろされた格好の私は、なんとかこの体勢から逃れようとぐいぐいと彼を押し返す。
しかし、逆に抑え込まれ、どうにも逃げられなくなってしまった。
「エース、冗談はよしてね?」
「冗談?まさか!本気だよ。こんな悪い冗談なんていくらなんでもするわけないじゃないか」
そんなに堂々と否定することじゃないということを、この人はわかっているのだろうか?
「……本気なら、なおさらやめてよね」
「えぇ~? ダメなの?」
「当り前でしょ!叩くよ!?ペーターさんを呼ぶよ!?」
必死にそう言った私にエースの動きが止まった。
そしてきょとんとした表情で私を見る。
「え?でもペーターさんだって似たようなことやってると思うよ」
アリス相手にさ、とごくごく普通に暴露するエース。
「そ、そうなの?」
「うん。ペーターさんが手を出さないわけないじゃないか」
「……そ、それはすごく聞きたい話だから、また今度じっくり聞かせてもらうけどもねっ!」
今はそれどころじゃなかった。
「とにかく放して!ビバルディに言いつけるよ!?」
女王様の名前を出した途端、彼は眉をしかめた。
「うーん、それはやだなぁ。ただでさえ俺には当たりがキツいんだぜ?言いつけられたら首を刎ねられちゃうぜ」
「じゃあどいて。はい、放して」
「ちぇ~。残念」
彼は口を尖らせて私から離れる。
……どこまで本気だったんだかわかりゃしない。
「名無しさんはひどいよなぁ。意地悪だぜ」
そう言って口を尖らせるエース。
寝込みの女子を襲うなど、騎士にあるまじき行為だとわかっているのでしょうか、この人。
「あのね、本来なら責められるべきはエースのほうだからね!」
「えー? それはそれで嬉しいけど、俺はどっちかというと攻める方が……」
「……本気で殴っていいですか?」
「あはは! やだな、冗談だよ」
反省の色が全く見えないエースに私は深くため息をついた。
すると、彼は私の肩をぽんぽんと叩く。
「怒らないでよ、名無しさん」
「冗談がすぎるのよ、エースは」
じろりと睨みつけると、彼はまっすぐに私を見てからすっと微笑んだ。
その顔に思わずどきりとした時、
「うん、ごめん。だって慌ててる名無しさんが面白くってさ」
「……ほんっとに最低」
私が本気でむっとしたのがわかったらしい。
エースはこれまでとは違う表情で静かに言った。
「ごめん。でも、名無しさんが好きなのは本気だよ」
突然の言葉に、私はまじまじと彼を見つめてしまう。
すると、彼は意味深な笑みを浮かべながら私の頬に唇をよせる。
「俺、騎士だからね。ちゃんと偉業を成し遂げるよ」
耳元でそう囁かれて、びくりとなる私。
「今回はね」
エースはそのまま耳元にキスを落としたかと思うと、さっさと私から離れた。
そして唖然としている私に微笑むと、彼はそのまま部屋から出て行ってしまった。
どこまでが本気なのか全然わからない。
振り回されっぱなしの朝。
ハートの城に滞在してだいぶ経ったある日。
私は自分の部屋のベッドで目が覚めた。
お城のベッドは恐ろしいほどにふかふかで気持ちがいい。
いくらでも寝られると思うけど、そろそろ起きないと。
「ん~……」
ごろりと身体の向きを変えようとした。
しかし。
「……?」
毛布が巻き付いているのか、うまく動けなかった。
もう一度寝返りを試みようと、腰に巻き付いた毛布に手を伸ばした時だった。
そのふとんがぎゅっと私に巻き付いた。
「……え!?」
一瞬にして目が覚めた。
そして、すぐ背後に誰かの気配。
おそるおそる顔だけ振り向くと、そこにはすやすやと穏やかに眠るエースがいた。
もちろん、次の瞬間には『すぱこーん!』という音が室内に響き渡ったのである。
「……ひどいよなー。いきなり殴るなんて」
「ひどいのはそっちでしょ。人のベッドに潜り込んでくるなんて信じられない! 最低! 迷子!!」
エースは頭をさすりながら言うが、私の言い分は正しいと思う。
「俺も眠かったんだよ。でも自室になかなか戻れなくてさ。ここかな?ってドアを開けたら名無しさんが眠っていたから、2人で眠るなら楽しいかなって思って」
ご丁寧にこの迷子騎士様は、赤いコートと大剣、手袋をきちんと外して寝ていたのだ。勝手に入ってきて、勝手に隣で眠る体制に入るとか普通じゃないよね?
「これだけたくさん部屋があるんだから、せめて隣の部屋で眠りなさいよ」
「えー、さみしいじゃないか。せっかく名無しさんがいるんだから、一緒に眠りたかったんだよ。君の寝顔かわいかったしね」
なんだか問題発言ぶちかましてきたよ、この人。
ごくごく普通に言うエースに呆れる私だったけれど、さらに追い打ちをかけるのがエースという人だ。
「あんまり可愛いから、我慢するのも一苦労だったぜ。我ながらすごい偉業を成し遂げた気がするよ」
「……偉業を達成してくれてありがとう」
発言はともかく、さらりと爽やか100%のエースに思わず距離を置く私。
彼が「偉業」を達成してくれたおかげで、私は無事に朝を迎えることができたのだろう。
すると、彼はにこりと私を見て微笑んだ。
「うん。やっぱりそういうことは、同意がないといけないもんな」
そんなことを言って、彼は私との距離を詰めて肩に手をかける。
「いやいや、待って! 同意してない!」
大体、なんの同意なのかすらよくわからない。(ただ身の危険だけを感じるのですが!)
「え? 同意してくれるだろ? せっかく一晩耐えたんだからさ、俺の努力をここで無駄にしないでくれよ」
「何の話よ!?」
「同意なしになっちゃうよってこと」
そう言いながら、私をベッドに押し倒すエース。最低だこいつ。
「一晩耐えたなら、耐え切りなさいよ!!」
「ははは! そんなの無理に決まってるじゃないか」
「そんな爽やかに言わないでくれますかね」
エースに見下ろされた格好の私は、なんとかこの体勢から逃れようとぐいぐいと彼を押し返す。
しかし、逆に抑え込まれ、どうにも逃げられなくなってしまった。
「エース、冗談はよしてね?」
「冗談?まさか!本気だよ。こんな悪い冗談なんていくらなんでもするわけないじゃないか」
そんなに堂々と否定することじゃないということを、この人はわかっているのだろうか?
「……本気なら、なおさらやめてよね」
「えぇ~? ダメなの?」
「当り前でしょ!叩くよ!?ペーターさんを呼ぶよ!?」
必死にそう言った私にエースの動きが止まった。
そしてきょとんとした表情で私を見る。
「え?でもペーターさんだって似たようなことやってると思うよ」
アリス相手にさ、とごくごく普通に暴露するエース。
「そ、そうなの?」
「うん。ペーターさんが手を出さないわけないじゃないか」
「……そ、それはすごく聞きたい話だから、また今度じっくり聞かせてもらうけどもねっ!」
今はそれどころじゃなかった。
「とにかく放して!ビバルディに言いつけるよ!?」
女王様の名前を出した途端、彼は眉をしかめた。
「うーん、それはやだなぁ。ただでさえ俺には当たりがキツいんだぜ?言いつけられたら首を刎ねられちゃうぜ」
「じゃあどいて。はい、放して」
「ちぇ~。残念」
彼は口を尖らせて私から離れる。
……どこまで本気だったんだかわかりゃしない。
「名無しさんはひどいよなぁ。意地悪だぜ」
そう言って口を尖らせるエース。
寝込みの女子を襲うなど、騎士にあるまじき行為だとわかっているのでしょうか、この人。
「あのね、本来なら責められるべきはエースのほうだからね!」
「えー? それはそれで嬉しいけど、俺はどっちかというと攻める方が……」
「……本気で殴っていいですか?」
「あはは! やだな、冗談だよ」
反省の色が全く見えないエースに私は深くため息をついた。
すると、彼は私の肩をぽんぽんと叩く。
「怒らないでよ、名無しさん」
「冗談がすぎるのよ、エースは」
じろりと睨みつけると、彼はまっすぐに私を見てからすっと微笑んだ。
その顔に思わずどきりとした時、
「うん、ごめん。だって慌ててる名無しさんが面白くってさ」
「……ほんっとに最低」
私が本気でむっとしたのがわかったらしい。
エースはこれまでとは違う表情で静かに言った。
「ごめん。でも、名無しさんが好きなのは本気だよ」
突然の言葉に、私はまじまじと彼を見つめてしまう。
すると、彼は意味深な笑みを浮かべながら私の頬に唇をよせる。
「俺、騎士だからね。ちゃんと偉業を成し遂げるよ」
耳元でそう囁かれて、びくりとなる私。
「今回はね」
エースはそのまま耳元にキスを落としたかと思うと、さっさと私から離れた。
そして唖然としている私に微笑むと、彼はそのまま部屋から出て行ってしまった。
どこまでが本気なのか全然わからない。
振り回されっぱなしの朝。