短編2
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【お手伝い】
「重そうだね、名無しさん。運ぼうか?」
荷物を運んでいたら、意外な人物が手伝ってくれた。
私は段ボール箱を持って歩く彼をちらりと見る。
小さいけれど重量のあるその段ボールは、私が両手でやっと持てるほどの重さだった。
それなのに彼は重そうなそぶりなど全く見せず、あろうことか小脇にひょいっと抱えて、にこにこと私の横を歩いている。
おかしいな、身長はほとんど変わらないはずなのに。
これが性差というものなのかしら、と思っていたらどうやら相手も同じことを考えていたらしい。
「名無しさんって力がないんだね」
楽しそうな響きでそう言ったダムはおっとりと私を見ていた。
「ダムは結構力があるんだね」
「そう? 普通だと思うけど」
「ふぅん」
普通なのか。
正直言って、こういう力仕事というか荷物運びにダムは連想できない。
この領域は完全にエリオットだ。
すらりとした細身だけれど、ダムは重い段ボールを軽々と抱えて歩いて行く。
ほんと、どこにそんな力があるんだろう? このおっとりした少年に。
不思議だなぁと思っていたら、不意に彼が口を開いた。
「ねぇ、名無しさん。僕、お金にならないことはしない主義なんだよ?」
「え、うん。そうだよね」
知ってる知ってる。
突然の言葉にうなずく私。そして彼がじっと私をみていることに気づいた。
「え……もしかして私、お手伝いのお礼を要求されてる?」
あり得る……あり得るよダムの場合。
なんで気づかなかったんだろう私。
するとダムは首を振った。
「違うよー。名無しさんの手伝いならタダでもやるよ、僕」
彼は笑ってそう言った。
「でも、お礼の用意があるならもらってもいいよ」
ダムはそう言って段ボールを小脇に抱えたまま、私の腕を掴んで立ち止まった。
じっと私を見つめる赤の目は、大人っぽい色をしていた。
「……な、ないよ?」
思わずお礼の用意を否定する。
しかし、彼は相変わらず私を見つめている。
なんだかいたずらするときと同じ表情をしているように見えた。
何かを企んでいるような、楽しさをなんとかこらえようとするような表情。
「えー、ないの?」
私の顔を覗きこんでわざとらしくそう言ったダムは、ぐいっと私の腕をひっぱった。
「でも欲しいなぁ、名無しさんのこと」
そう言って私のほっぺにキスをした。
文句を言おうと思ったら、「えへへ」とにっこり微笑まれてしまった。
これはもう反則だわ。
「重そうだね、名無しさん。運ぼうか?」
荷物を運んでいたら、意外な人物が手伝ってくれた。
私は段ボール箱を持って歩く彼をちらりと見る。
小さいけれど重量のあるその段ボールは、私が両手でやっと持てるほどの重さだった。
それなのに彼は重そうなそぶりなど全く見せず、あろうことか小脇にひょいっと抱えて、にこにこと私の横を歩いている。
おかしいな、身長はほとんど変わらないはずなのに。
これが性差というものなのかしら、と思っていたらどうやら相手も同じことを考えていたらしい。
「名無しさんって力がないんだね」
楽しそうな響きでそう言ったダムはおっとりと私を見ていた。
「ダムは結構力があるんだね」
「そう? 普通だと思うけど」
「ふぅん」
普通なのか。
正直言って、こういう力仕事というか荷物運びにダムは連想できない。
この領域は完全にエリオットだ。
すらりとした細身だけれど、ダムは重い段ボールを軽々と抱えて歩いて行く。
ほんと、どこにそんな力があるんだろう? このおっとりした少年に。
不思議だなぁと思っていたら、不意に彼が口を開いた。
「ねぇ、名無しさん。僕、お金にならないことはしない主義なんだよ?」
「え、うん。そうだよね」
知ってる知ってる。
突然の言葉にうなずく私。そして彼がじっと私をみていることに気づいた。
「え……もしかして私、お手伝いのお礼を要求されてる?」
あり得る……あり得るよダムの場合。
なんで気づかなかったんだろう私。
するとダムは首を振った。
「違うよー。名無しさんの手伝いならタダでもやるよ、僕」
彼は笑ってそう言った。
「でも、お礼の用意があるならもらってもいいよ」
ダムはそう言って段ボールを小脇に抱えたまま、私の腕を掴んで立ち止まった。
じっと私を見つめる赤の目は、大人っぽい色をしていた。
「……な、ないよ?」
思わずお礼の用意を否定する。
しかし、彼は相変わらず私を見つめている。
なんだかいたずらするときと同じ表情をしているように見えた。
何かを企んでいるような、楽しさをなんとかこらえようとするような表情。
「えー、ないの?」
私の顔を覗きこんでわざとらしくそう言ったダムは、ぐいっと私の腕をひっぱった。
「でも欲しいなぁ、名無しさんのこと」
そう言って私のほっぺにキスをした。
文句を言おうと思ったら、「えへへ」とにっこり微笑まれてしまった。
これはもう反則だわ。