短編2
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【恋人ごっこ】
「恋人ごっこしない?」
「は?」
私の突然の発言に、文字通りグレイは固まった。
「なんだ、その恋人ごっこというのは?」
アリスと散々やってたあれだよ、あれ。
なんて説明できるわけもなく、私は言葉を選ぶ。
「日々仕事に明け暮れる寂しい独り者同士が、忘れかけた恋する気持ちを取り戻すためにする遊びだよ」
「……なんのことだかさっぱりわからないが……」
ものすごく困った顔のグレイ。見ていて楽しい。
「つまり、恋人の真似事をして互いに寂しい心を埋めあう、というゲームだよ」
ということにした。
すると、彼は呆れたようにため息をつく。
「……名無しさん、君は遊びに貪欲だな」
「だってつまらないんだもん」
仕事漬けの私とグレイ。
彼はそんな毎日に慣れているのかもしれないが、私には無理だ。
「いまから次の時間帯に変わるまで、私とあなたは恋人ね!」
「……それは楽しい遊びなのか?」
「わかんない。でもやってみよう」
「………」
複雑そうな表情をするグレイ。
「そんな顔したってダメだよ、始めるからね。よーいドン!」
押し切った私。
しかし。
「………」
「………」
「………」
「………」
なにこの沈黙。
思わずグレイを見ると、彼も困ったように私を見ていた。
「なにか話してよ」
「君こそ、何かないのか?」
「え~? うーん……」
しばらく考え込む私だったが、
「ないなぁ」
急に話題がなくなってしまうというのはどういうことか。
「だいたい、恋人の真似事とは一体どこまでを指すんだ?」
大真面目に聞いてくるグレイ。
「どこまで、と申しますと?」
「……そんな真面目に聞き返されても言いにくいのだが」
グレイは視線を宙に泳がせる。
……?
…………!
あぁ、そういうことか。
「グレイ。あなたも男子なのね」
「……」
私の言葉に彼は気まずそうに咳払いをする。
「そうだなぁ。仲良くおしゃべりくらいまで?」
「それでは今の俺たちと変わらない関係じゃないか?」
「え、そっか。それじゃあ手をつなぐ、とか?」
「仕事ができないが……?」
「それじゃあ甘い言葉を言い合ったり?」
「それも仕事ができないが……?」
「……抱き合ってみたり?」
「……それもちょっと仕事が……」
仕事・仕事・仕事……!
あーもう!
ほんっと仕事ばっかりだなこの人。
そう思ったのでグレイを困らせてやろうという、危険かつ迷惑な思考回路が全開になったらしい。
私は「えい!」とグレイに抱きついた。
「な!? 名無しさん?」
「もういいよ、グレイは仕事してて。 私はね、仕事ばっかりしてる彼氏に駄々をこねる恋人役をするから!」
そう言って私はぎゅうぎゅうとグレイに抱きついてやった。
「おい、名無しさん。やめなさい」
「やめなさいじゃないのー! 仕事ばっかりでそのうち倒れても知らないからね」
これはちょっと本音だ。
普段からそう思っている私の本音。
「たまにはナイトメアじゃなくて私にも構ってみろってんだー!」
面白くなってそう叫んだ私に、グレイがなんとも微妙な顔している。
「……名無しさん」
「な、なに?」
「恋人ごっこというのは、精神的にダメージが大きいな」
「え? そう?」
「恋人にそう言われたら、俺にはそうとう堪えるよ」
「あ、ほんと?」
「しかも、名無しさんにズバリと言われると余計だ」
「……悪かったわね」
どうせ恋人じゃなくて、ただの同僚ですよーだ。
「さっさと本当の恋人でも作ったら?」
そう言った瞬間、ぎゅっと抱きしめられた。
「!? ぐ、グレイ?」
思わぬ行動に戸惑う私。
グレイはそんな私をさらにぎゅっと抱きすくめる。
「そうだな。……ではそろそろ本当の恋人になってくれないか、名無しさん?」
遊びの結末は意外な方向に落ち着きそうです。
「恋人ごっこしない?」
「は?」
私の突然の発言に、文字通りグレイは固まった。
「なんだ、その恋人ごっこというのは?」
アリスと散々やってたあれだよ、あれ。
なんて説明できるわけもなく、私は言葉を選ぶ。
「日々仕事に明け暮れる寂しい独り者同士が、忘れかけた恋する気持ちを取り戻すためにする遊びだよ」
「……なんのことだかさっぱりわからないが……」
ものすごく困った顔のグレイ。見ていて楽しい。
「つまり、恋人の真似事をして互いに寂しい心を埋めあう、というゲームだよ」
ということにした。
すると、彼は呆れたようにため息をつく。
「……名無しさん、君は遊びに貪欲だな」
「だってつまらないんだもん」
仕事漬けの私とグレイ。
彼はそんな毎日に慣れているのかもしれないが、私には無理だ。
「いまから次の時間帯に変わるまで、私とあなたは恋人ね!」
「……それは楽しい遊びなのか?」
「わかんない。でもやってみよう」
「………」
複雑そうな表情をするグレイ。
「そんな顔したってダメだよ、始めるからね。よーいドン!」
押し切った私。
しかし。
「………」
「………」
「………」
「………」
なにこの沈黙。
思わずグレイを見ると、彼も困ったように私を見ていた。
「なにか話してよ」
「君こそ、何かないのか?」
「え~? うーん……」
しばらく考え込む私だったが、
「ないなぁ」
急に話題がなくなってしまうというのはどういうことか。
「だいたい、恋人の真似事とは一体どこまでを指すんだ?」
大真面目に聞いてくるグレイ。
「どこまで、と申しますと?」
「……そんな真面目に聞き返されても言いにくいのだが」
グレイは視線を宙に泳がせる。
……?
…………!
あぁ、そういうことか。
「グレイ。あなたも男子なのね」
「……」
私の言葉に彼は気まずそうに咳払いをする。
「そうだなぁ。仲良くおしゃべりくらいまで?」
「それでは今の俺たちと変わらない関係じゃないか?」
「え、そっか。それじゃあ手をつなぐ、とか?」
「仕事ができないが……?」
「それじゃあ甘い言葉を言い合ったり?」
「それも仕事ができないが……?」
「……抱き合ってみたり?」
「……それもちょっと仕事が……」
仕事・仕事・仕事……!
あーもう!
ほんっと仕事ばっかりだなこの人。
そう思ったのでグレイを困らせてやろうという、危険かつ迷惑な思考回路が全開になったらしい。
私は「えい!」とグレイに抱きついた。
「な!? 名無しさん?」
「もういいよ、グレイは仕事してて。 私はね、仕事ばっかりしてる彼氏に駄々をこねる恋人役をするから!」
そう言って私はぎゅうぎゅうとグレイに抱きついてやった。
「おい、名無しさん。やめなさい」
「やめなさいじゃないのー! 仕事ばっかりでそのうち倒れても知らないからね」
これはちょっと本音だ。
普段からそう思っている私の本音。
「たまにはナイトメアじゃなくて私にも構ってみろってんだー!」
面白くなってそう叫んだ私に、グレイがなんとも微妙な顔している。
「……名無しさん」
「な、なに?」
「恋人ごっこというのは、精神的にダメージが大きいな」
「え? そう?」
「恋人にそう言われたら、俺にはそうとう堪えるよ」
「あ、ほんと?」
「しかも、名無しさんにズバリと言われると余計だ」
「……悪かったわね」
どうせ恋人じゃなくて、ただの同僚ですよーだ。
「さっさと本当の恋人でも作ったら?」
そう言った瞬間、ぎゅっと抱きしめられた。
「!? ぐ、グレイ?」
思わぬ行動に戸惑う私。
グレイはそんな私をさらにぎゅっと抱きすくめる。
「そうだな。……ではそろそろ本当の恋人になってくれないか、名無しさん?」
遊びの結末は意外な方向に落ち着きそうです。