短編
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【移り香】
「おにーさん、おにーさん。煙草の本数が最近増えてますよー」
休憩室で1人煙草を吸うグレイを見かけた私は、思わずそう声をかけた。
ソファに座ってぼんやりしていたらしいグレイは、私の姿を認めるとくわえていた煙草を口から離した。
「名無しさん」
そのまま煙草の火を消し、彼は私をもう一度見た。
入り口に立っていた私は、グレイの元まで歩いていくと、彼の隣りに腰を下ろす。
灰皿を見ると、すでに3本の吸い殻。
短い休憩時間でこのペースは、彼にしては珍しい。
「名無しさんの言う通りだな。最近つい吸い過ぎてしまうんだ」
私の視線に気づいたらしい彼は、灰皿を私から遠ざけて言った。
「俺に近づかない方がいいぞ。煙草の匂いが移るからな」
彼はそう言って苦笑する。
「別にいいよ」
私は彼を見つめた。
匂いが移るくらいそばにいられるなら、全然かまわない。
しばらくお互いに見つめあう私達。
すると、グレイはふぅっと小さく息を吐いてから笑った。
「名無しさんに煙草の匂いは似合わないぞ」
そう言いながら、彼は私の頭に手を伸ばす。
頭を抱くように引き寄せられて、私は彼の肩口にこつんと頭を乗せた。
いつもよりも強く煙草の匂いがする。
「煙草の匂いも悪くないって最近思うようになったの」
「だから別にいい」と言って笑うと、グレイは私の髪の毛を梳きながら「そうか」と答えた。
しばらくそのままぼんやりとしていた私達だったけれど、私の髪を梳くグレイの手が不意に止まった。
「……それならいいか」
そう言って私にキスをする彼はやっぱり煙草の匂いがした。
「おにーさん、おにーさん。煙草の本数が最近増えてますよー」
休憩室で1人煙草を吸うグレイを見かけた私は、思わずそう声をかけた。
ソファに座ってぼんやりしていたらしいグレイは、私の姿を認めるとくわえていた煙草を口から離した。
「名無しさん」
そのまま煙草の火を消し、彼は私をもう一度見た。
入り口に立っていた私は、グレイの元まで歩いていくと、彼の隣りに腰を下ろす。
灰皿を見ると、すでに3本の吸い殻。
短い休憩時間でこのペースは、彼にしては珍しい。
「名無しさんの言う通りだな。最近つい吸い過ぎてしまうんだ」
私の視線に気づいたらしい彼は、灰皿を私から遠ざけて言った。
「俺に近づかない方がいいぞ。煙草の匂いが移るからな」
彼はそう言って苦笑する。
「別にいいよ」
私は彼を見つめた。
匂いが移るくらいそばにいられるなら、全然かまわない。
しばらくお互いに見つめあう私達。
すると、グレイはふぅっと小さく息を吐いてから笑った。
「名無しさんに煙草の匂いは似合わないぞ」
そう言いながら、彼は私の頭に手を伸ばす。
頭を抱くように引き寄せられて、私は彼の肩口にこつんと頭を乗せた。
いつもよりも強く煙草の匂いがする。
「煙草の匂いも悪くないって最近思うようになったの」
「だから別にいい」と言って笑うと、グレイは私の髪の毛を梳きながら「そうか」と答えた。
しばらくそのままぼんやりとしていた私達だったけれど、私の髪を梳くグレイの手が不意に止まった。
「……それならいいか」
そう言って私にキスをする彼はやっぱり煙草の匂いがした。