マッドハッターズ!
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【22、女王様はお姉さま】
「こ、これが噂のバラ風呂ですか!!」
かぽーんと平和な音が響くあたたかな湯気の中で、私は目を丸くした。
ピンク色のお湯が張られたバスタブ一面に、真っ赤なバラの花びらがこれでもか!これでもか!!というほど浮かんでいる。
もうすごいバラの香り。
バスタオルを巻いて湯船の前で立ち尽くす私に、ビバルディが上機嫌で笑う。
「ふふふ。いいだろう? お前のために今日はいつにもましてバラを浮かべてみたのじゃ」
「ありがとう……」
お礼を言いつつも、掃除する人が大変だなぁなんて思ってしまう私。
以前、ディーとダムがお風呂に浮かべた花びらは、ものすごく掃除が大変だったのだ。
なんだかもうバラの香りでくらくらする。
「さ、名無しさん。一緒に入ろう」
ビバルディはゆったりとほほ笑んで、私の肩に手を置いた。
「すごいね。なんだかお風呂から上がってもしばらくはバラの香りが残っていそう」
バラの花びらに囲まれて、私はお湯をすくいあげながら香りを楽しむ。
隣には絶世の美女・ビバルディ。
なんかもうゴージャスという言葉がぴったり。
そういえば、ブラッドはバラ風呂に入るのかなぁ?
バラ好きだし、お風呂も好きそうだけど……こういうのは女の人しかしないかなぁ?
……ブラッド達、大丈夫かなぁ? 何事もなく仕事が終わればいいけど。
いつのまにか私の思考はブラッドの方へと流れていった。
すると、それを感じたらしい。
ビバルディがちらりと私を見た。
「名無しさん、いま何を考えておった?」
「え?」
突然の質問に驚く私。
ビバルディは淡々とした表情で私を見ている。
「わらわといるというのに、別の人間のことを考えていただろう?」
「な、なんで?」。
「ふふふ。わかるよ。おおかた好きな男のことでも考えていたんだろうな?」
「は!? え、ち、違うよ!!」
思わず否定をしてしまったけれど、明らかに嘘だとわかる言葉。
そんな私を見て、ビバルディはふふんと笑う。
「それじゃあ誰のことを考えていたの?」
たまにビバルディはすごく優しい口調になる。
いつもは好きなその口調が、今日はなんだか怖く感じた。
「……別に誰かというほどのことでもないよ」
「嘘。わらわにはすぐわかるのだぞ? さぁさぁ、白状おし」
……これは逃げられない。
「あのね、バラつながりで……ブラッドとか……」
仕方なくそう言った私に、ビバルディは一瞬目を丸くした後、盛大なため息をついた。
「はぁ……名無しさん。まさかお前、帽子屋が好きだというでも言うんじゃないだろうね?」
「え、えーと……」
好きだというか、恋人になってしまったんです。(でも言い出せない空気!)
言葉に詰まる私を、ビバルディがじぃっと見つめた。
私の目からすべてを見通そうとでも言うようなまなざし。
落ち着かない。
「……あのようにふざけた男、わらわは好かん。名無しさんも近づかない方がよいぞ」
「いや、そう言われてもあの人、私の家主なもんで……(というか恋人なもんで)」
「引っ越してくればいいだろう? わらわと一緒に城で暮らそう。それとも……」
そこで言葉を切ると、ビバルディは意味深に声を低めた。
「帽子屋にそのまま嫁ぐとでもいうのではあるまいな?」
「と、嫁ぐ!?」
思い切り反応してしまった私にビバルディはつまらなそうに目を細めた。
「名無しさんがわらわの可愛い義妹になるのは良いが、あの男の嫁になるというのは癪じゃな。どうしたものか」
ものすごくさらりと言ったけど……まさか身内なの??
言葉には出さなかった私の疑問に、彼女はにこりと笑うだけだった。(でも「絶対言うなよ」というオーラがすごい)
「いっそのことすぐ未亡人になってしまえばよい。うん、それがいい。わらわがすぐにあの男を片づけてやろう」
「はい?(未亡人て……!)」
「そうすれば、義姉としてわらわが可愛い名無しさんの面倒をみてやるぞ」
……どうしよう。全く会話についていけない。
私がブラッドの元へ嫁ぐことになってるし、すぐに未亡人にさせられるみたいだし……(絶対に嫌だ)
困り果てる私に、ビバルディは楽しそうに笑いかけた。
「ふふふ、まぁよい。飽きたらわらわの元へおいで。わらわは可愛い名無しさんのことを悲しませたり、危険に晒したりはしないからね」
「ありがとう」
「愛い子じゃ。ほんにあの男にはもったいない。お前を放っておいて、今頃どこかの連中と揉めておるなど大馬鹿者じゃな」
「……なんで知っているの? ブラッドたちが今仕事に行っていること」
私の質問にビバルディはただ笑って私の頭をなでた。
そうされると何も言えなくなる。
「次に会ったら、とびきりのわがままを言って困らせておやり。従順な女など、男をつけあがらせるだけだからね」
綺麗に笑うビバルディの言葉が、湯船とバラの香りにのぼせてきた私の頭にぼんやりと響いた。
「こ、これが噂のバラ風呂ですか!!」
かぽーんと平和な音が響くあたたかな湯気の中で、私は目を丸くした。
ピンク色のお湯が張られたバスタブ一面に、真っ赤なバラの花びらがこれでもか!これでもか!!というほど浮かんでいる。
もうすごいバラの香り。
バスタオルを巻いて湯船の前で立ち尽くす私に、ビバルディが上機嫌で笑う。
「ふふふ。いいだろう? お前のために今日はいつにもましてバラを浮かべてみたのじゃ」
「ありがとう……」
お礼を言いつつも、掃除する人が大変だなぁなんて思ってしまう私。
以前、ディーとダムがお風呂に浮かべた花びらは、ものすごく掃除が大変だったのだ。
なんだかもうバラの香りでくらくらする。
「さ、名無しさん。一緒に入ろう」
ビバルディはゆったりとほほ笑んで、私の肩に手を置いた。
「すごいね。なんだかお風呂から上がってもしばらくはバラの香りが残っていそう」
バラの花びらに囲まれて、私はお湯をすくいあげながら香りを楽しむ。
隣には絶世の美女・ビバルディ。
なんかもうゴージャスという言葉がぴったり。
そういえば、ブラッドはバラ風呂に入るのかなぁ?
バラ好きだし、お風呂も好きそうだけど……こういうのは女の人しかしないかなぁ?
……ブラッド達、大丈夫かなぁ? 何事もなく仕事が終わればいいけど。
いつのまにか私の思考はブラッドの方へと流れていった。
すると、それを感じたらしい。
ビバルディがちらりと私を見た。
「名無しさん、いま何を考えておった?」
「え?」
突然の質問に驚く私。
ビバルディは淡々とした表情で私を見ている。
「わらわといるというのに、別の人間のことを考えていただろう?」
「な、なんで?」。
「ふふふ。わかるよ。おおかた好きな男のことでも考えていたんだろうな?」
「は!? え、ち、違うよ!!」
思わず否定をしてしまったけれど、明らかに嘘だとわかる言葉。
そんな私を見て、ビバルディはふふんと笑う。
「それじゃあ誰のことを考えていたの?」
たまにビバルディはすごく優しい口調になる。
いつもは好きなその口調が、今日はなんだか怖く感じた。
「……別に誰かというほどのことでもないよ」
「嘘。わらわにはすぐわかるのだぞ? さぁさぁ、白状おし」
……これは逃げられない。
「あのね、バラつながりで……ブラッドとか……」
仕方なくそう言った私に、ビバルディは一瞬目を丸くした後、盛大なため息をついた。
「はぁ……名無しさん。まさかお前、帽子屋が好きだというでも言うんじゃないだろうね?」
「え、えーと……」
好きだというか、恋人になってしまったんです。(でも言い出せない空気!)
言葉に詰まる私を、ビバルディがじぃっと見つめた。
私の目からすべてを見通そうとでも言うようなまなざし。
落ち着かない。
「……あのようにふざけた男、わらわは好かん。名無しさんも近づかない方がよいぞ」
「いや、そう言われてもあの人、私の家主なもんで……(というか恋人なもんで)」
「引っ越してくればいいだろう? わらわと一緒に城で暮らそう。それとも……」
そこで言葉を切ると、ビバルディは意味深に声を低めた。
「帽子屋にそのまま嫁ぐとでもいうのではあるまいな?」
「と、嫁ぐ!?」
思い切り反応してしまった私にビバルディはつまらなそうに目を細めた。
「名無しさんがわらわの可愛い義妹になるのは良いが、あの男の嫁になるというのは癪じゃな。どうしたものか」
ものすごくさらりと言ったけど……まさか身内なの??
言葉には出さなかった私の疑問に、彼女はにこりと笑うだけだった。(でも「絶対言うなよ」というオーラがすごい)
「いっそのことすぐ未亡人になってしまえばよい。うん、それがいい。わらわがすぐにあの男を片づけてやろう」
「はい?(未亡人て……!)」
「そうすれば、義姉としてわらわが可愛い名無しさんの面倒をみてやるぞ」
……どうしよう。全く会話についていけない。
私がブラッドの元へ嫁ぐことになってるし、すぐに未亡人にさせられるみたいだし……(絶対に嫌だ)
困り果てる私に、ビバルディは楽しそうに笑いかけた。
「ふふふ、まぁよい。飽きたらわらわの元へおいで。わらわは可愛い名無しさんのことを悲しませたり、危険に晒したりはしないからね」
「ありがとう」
「愛い子じゃ。ほんにあの男にはもったいない。お前を放っておいて、今頃どこかの連中と揉めておるなど大馬鹿者じゃな」
「……なんで知っているの? ブラッドたちが今仕事に行っていること」
私の質問にビバルディはただ笑って私の頭をなでた。
そうされると何も言えなくなる。
「次に会ったら、とびきりのわがままを言って困らせておやり。従順な女など、男をつけあがらせるだけだからね」
綺麗に笑うビバルディの言葉が、湯船とバラの香りにのぼせてきた私の頭にぼんやりと響いた。