マッドハッターズ!
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【9.雇い主には逆らえない】
なんだかんだと色々ある帽子屋屋敷での生活。
この間双子に迫られた私だけれど、彼らとは相変わらず仲良くしている。
あの日からこれまで以上にスキンシップが増えたように思うけど、決定的な何かを仕掛けてくるようなことはない。
エリオットがディーとダムをたしなめてくれたおかげだと思っている。
「半殺しにする」と爽やかに宣言していたエリオット。
どうやら、本当に半殺しに行ったらしい(怖いよ!)
目撃したメイドさんから聞いたところによると、その時の現場はそれはそれは恐ろしいものだったらしい。
いつもなら怒鳴り散らすエリオットが静かに怒り狂い、双子も相当機嫌が悪かったようで無言。
武器の音だけが響き渡る静かな乱闘をしていた、と聞いた。
なんにしても、私は以前と変わらない帽子屋屋敷生活を送っていた。
そして現在、馴染みのメイドさんと一緒に私は楽しく仕事中。
廊下の掃除を終え、後片付けをしていると時間帯が変わった。
「もうすぐ~ボスがお戻りになるはずですよ~」
明るくなった窓の外を見てメイドさんがのんびりと言った。
昼間が苦手だというブラッドは外出中に明るくなると、それはもうだるそうに帰ってくる。
「だるそうなのはいいけど、機嫌が悪くなるのはちょっと嫌だよね」
「こわいですよねぇ~」
そう言いあって、思わず笑う私たち。
確かに夜の似合う人だとは思うけれど、昼間の不機嫌っぷりは大人としてどうかと思う。(態度に出過ぎです!)
その時、メイドさんが「あ」と小さく声を上げた。
「お戻りですよ~」
彼女がそうささやいたので、私は視線をそっと廊下の先へやる。
すると、外から戻ってきたブラッドが歩いてきた。
最近は外へ出ることが多い彼。
久しぶりにブラッドとあのへんてこな帽子を見た気がする。
だいぶ遠いので私には彼の表情まではよくわからないのだが、メイドさんは眉根を寄せた。
「なんだか~いつもの昼よりも~ご機嫌斜めのようです~」
「え、見えるの?」
「はい~」
ブラッドのご機嫌よりも、この距離からブラッドの様子が見えたというメイドさんに私は驚いてしまう。
ずんずん迫ってくるご機嫌斜めなブラッドに、私たちはそっとため息をついて、持っていた掃除道具をおろす。
私とメイドさんは廊下の端に身を寄せて、主のために道を開けた。
そして、彼がそばまでやってくると静かに頭を下げる。
コツコツと靴音を響かせてブラッドが目の前を通り過ぎていく。
落とした視線に彼のブーツが映った。
と思ったら、そのブーツはぴたりと私の前で止まった。(嫌な予感)
「名無しさん、君は良く働くな」
ブラッドが私に声をかけてきた。
私は頭も視線も下げたまま「おかげさまで」と答える。
「君は私の客だ。働かせるのは本意じゃないんだがね」
「何もしないのは落ち着かないんで……っ!?」
言葉が途中で詰まってしまった。
ブラッドが突然私の顎に触れ顔を上げさせたのだ。
「ちょっ……なんですか!?」
反射的に私は身を引いた。彼の手が宙で留まる。
慌てふためく私に彼はさらりと一言。
「君の顔を見て話したいんだ」
「な!?」
思わぬ言動に一気にカーッと顔が熱くなるのがわかった。
なに言ってんのこの人!
そんな叫びが心の中でこだまする。
しかし、ブラッドは私のそんな反応が満足だったらしい。
動揺する私を見て楽しそうな、でも意地悪な顔で笑う。
「久しぶりに名無しさんに会えたからね。元気そうで何よりだよ」
ほんと、この人は私をおもちゃか何かだと思ってるよね。(いい迷惑!)
「名無しさん、働き者の君にもう一つ仕事を頼もう」
「え゛」
「そんな品のない声を出すのは良くないよ、お嬢さん」
「それは失礼しましたね」
「私は今すぐ茶が飲みたい。用意してくれ」
「……茶って紅茶だよね?」
「当然だろう。私が茶と言えば紅茶だ」
いや、なんだか日本家屋の縁側で飲むような言い方でしたけど。
「確認するけど、外じゃないよね?」
「こんな昼間に外でお茶など飲みたくない。私は疲れているんだ。部屋でゆっくり飲みたい」
「はいはい。わかりました」
わがままな主だわと思ったが、自分もメイドらしからぬ言い方だったことに気づいてしまった私。
まぁいっか。特にブラッドも何も言わないし。
「では頼んだよ、名無しさん」
ブラッドはそう言ってポンと私の頭をたたいて歩き出した。
その後姿を見送る私とメイドさん。
「思いっきり絡まれましたね~名無しさんさん」
「……やっぱり?」
あらあら~と笑うメイドさんに、私は力なく答えた。
なんだかんだと色々ある帽子屋屋敷での生活。
この間双子に迫られた私だけれど、彼らとは相変わらず仲良くしている。
あの日からこれまで以上にスキンシップが増えたように思うけど、決定的な何かを仕掛けてくるようなことはない。
エリオットがディーとダムをたしなめてくれたおかげだと思っている。
「半殺しにする」と爽やかに宣言していたエリオット。
どうやら、本当に半殺しに行ったらしい(怖いよ!)
目撃したメイドさんから聞いたところによると、その時の現場はそれはそれは恐ろしいものだったらしい。
いつもなら怒鳴り散らすエリオットが静かに怒り狂い、双子も相当機嫌が悪かったようで無言。
武器の音だけが響き渡る静かな乱闘をしていた、と聞いた。
なんにしても、私は以前と変わらない帽子屋屋敷生活を送っていた。
そして現在、馴染みのメイドさんと一緒に私は楽しく仕事中。
廊下の掃除を終え、後片付けをしていると時間帯が変わった。
「もうすぐ~ボスがお戻りになるはずですよ~」
明るくなった窓の外を見てメイドさんがのんびりと言った。
昼間が苦手だというブラッドは外出中に明るくなると、それはもうだるそうに帰ってくる。
「だるそうなのはいいけど、機嫌が悪くなるのはちょっと嫌だよね」
「こわいですよねぇ~」
そう言いあって、思わず笑う私たち。
確かに夜の似合う人だとは思うけれど、昼間の不機嫌っぷりは大人としてどうかと思う。(態度に出過ぎです!)
その時、メイドさんが「あ」と小さく声を上げた。
「お戻りですよ~」
彼女がそうささやいたので、私は視線をそっと廊下の先へやる。
すると、外から戻ってきたブラッドが歩いてきた。
最近は外へ出ることが多い彼。
久しぶりにブラッドとあのへんてこな帽子を見た気がする。
だいぶ遠いので私には彼の表情まではよくわからないのだが、メイドさんは眉根を寄せた。
「なんだか~いつもの昼よりも~ご機嫌斜めのようです~」
「え、見えるの?」
「はい~」
ブラッドのご機嫌よりも、この距離からブラッドの様子が見えたというメイドさんに私は驚いてしまう。
ずんずん迫ってくるご機嫌斜めなブラッドに、私たちはそっとため息をついて、持っていた掃除道具をおろす。
私とメイドさんは廊下の端に身を寄せて、主のために道を開けた。
そして、彼がそばまでやってくると静かに頭を下げる。
コツコツと靴音を響かせてブラッドが目の前を通り過ぎていく。
落とした視線に彼のブーツが映った。
と思ったら、そのブーツはぴたりと私の前で止まった。(嫌な予感)
「名無しさん、君は良く働くな」
ブラッドが私に声をかけてきた。
私は頭も視線も下げたまま「おかげさまで」と答える。
「君は私の客だ。働かせるのは本意じゃないんだがね」
「何もしないのは落ち着かないんで……っ!?」
言葉が途中で詰まってしまった。
ブラッドが突然私の顎に触れ顔を上げさせたのだ。
「ちょっ……なんですか!?」
反射的に私は身を引いた。彼の手が宙で留まる。
慌てふためく私に彼はさらりと一言。
「君の顔を見て話したいんだ」
「な!?」
思わぬ言動に一気にカーッと顔が熱くなるのがわかった。
なに言ってんのこの人!
そんな叫びが心の中でこだまする。
しかし、ブラッドは私のそんな反応が満足だったらしい。
動揺する私を見て楽しそうな、でも意地悪な顔で笑う。
「久しぶりに名無しさんに会えたからね。元気そうで何よりだよ」
ほんと、この人は私をおもちゃか何かだと思ってるよね。(いい迷惑!)
「名無しさん、働き者の君にもう一つ仕事を頼もう」
「え゛」
「そんな品のない声を出すのは良くないよ、お嬢さん」
「それは失礼しましたね」
「私は今すぐ茶が飲みたい。用意してくれ」
「……茶って紅茶だよね?」
「当然だろう。私が茶と言えば紅茶だ」
いや、なんだか日本家屋の縁側で飲むような言い方でしたけど。
「確認するけど、外じゃないよね?」
「こんな昼間に外でお茶など飲みたくない。私は疲れているんだ。部屋でゆっくり飲みたい」
「はいはい。わかりました」
わがままな主だわと思ったが、自分もメイドらしからぬ言い方だったことに気づいてしまった私。
まぁいっか。特にブラッドも何も言わないし。
「では頼んだよ、名無しさん」
ブラッドはそう言ってポンと私の頭をたたいて歩き出した。
その後姿を見送る私とメイドさん。
「思いっきり絡まれましたね~名無しさんさん」
「……やっぱり?」
あらあら~と笑うメイドさんに、私は力なく答えた。