短編
名前変換
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
祐介とは最近付き合い始めたのだが、未だにキスをしたことがない。
最近と言っても1ヶ月くらい前からなのだけど。お互い怪盗業で忙しい事もあるし、キスを待てども祐介は奥手そうだから祐介からはキスをしてくる事はまずないだろうなとは思っている。でもキスはしたい。
「…?俺の顔に何か付いてるか?」
「えっ?いや!」
まずいまずい。無意識に祐介のことを見つめていたみたいだ。いやお互い好き合ってるから別にまずいということはないのだけど。
「そうか?」
「んー…、好きだなあと思って」
「なっ、急に……照れるだろう。」
どちらからともなく手を繋いだ。それだけでも全然幸せなのだけれど。結局この日はキスはできなかった。
▼
とある日。集まれるメンバーでルブランで勉強会をしていた。ちなみに祐介は美術の課題で不参加だ。各々集中力が途切れてきた頃、不意に竜司がこんなことを言い出した。
「なぁー、祐介と名前ってぶっちゃけどこまでいったんだよ?」
「えっ」
「ちょっと竜司!女子に聞くな!」
すぐさま杏がたしなめる。奥でリーダーがガジャン!とドリップポットを滑らせる音が聴こえた。
「いや、俺だってさー祐介がここに居たらこっそり聞いてたけどよ!今日アイツいないし、やっぱ気になんじゃん?」
「だからって……、でも確かに気になる、カモ…」
「え…、名前と祐介って…?」
どうやら真は話について行けてなかったみたいで、竜司が「コイツら付き合ってんだよ!」と真に言うと「えー!」と私以上に真のほっぺが紅くなった。
「で、実際どうなんだよ?」
私は手は繋いだことはあるがキスはしたことない、と伝えると竜司と杏が「えーー!!!」と大声を上げる。すぐさま真が「ちょっと!あなた達声が大きいわよ!」と注意を入れる。
結局その後は勉強どころではなく、私と祐介の事を根掘り葉掘り聞かれてリーダーが淹れてくれたコーヒーを飲んで終わった。
▼
私は祐介の部屋に来ていた。学校終わりに渋谷で待ち合わせて何となくお菓子を買ったりしてそのまま「俺の部屋に来ないか?」と誘われたのだ。もちろん断る理由も無く、むしろ嬉しかったので了承した。私の必死さが伝わりすぎてないか心配だ。
「画材しかないが、ゆっくりして行ってくれ」
「ありがとう。なんか緊張しちゃう」
「大丈夫、俺もだ」
私はこの前竜司に言われた事を思い出した。これってもしかしてキスをする絶好のチャンスなのではないか?祐介は先ほど買ったお菓子を棚の上に綺麗に並べ始めた。
祐介はゆっくりしてくれと言ったけど私は緊張してなかなか腰を下ろせないでいた。それと同時に祐介を目で追ってるとやっぱり愛おしいと気持ちがふつふつと湧いてきて止まらなくなってしまったのだ。
「祐介、好き」
「むっ」
すき。ちゅう、と痺れを切らして私から軽いキスをしたけど祐介は嫌がるそぶりをしないのでキス自体は嫌ではなさそうだなと安心する。
すき、好きだよ祐介。
「ん…っ」
はっ、と小さく呼吸が漏れる。なんとなく恥ずかしくなりこちらから唇を離そうとしたら大好きな祐介の手で後頭部を優しく固定されてどきりとした。
「ゆっ…」
「名前…」
唇が軽く離れた隙に名前を呼ばれ、またどきりとする。後頭部を固定されたままちゅう、と今度は祐介から口づけが降ってきた。
「んんっ…ぁ」「は…っ」ぬるり、と祐介の分厚い舌が私の舌を追いかけ口内を舐め回す。祐介の舌と唾液にくらくらしてしまい、頭がすごくふわふわする。祐介の事しか考えられない。気持ちいい。
気持ち良すぎてもっとしていたいけどさすがに苦しくなってきたので祐介の胸をとんとんと叩く。
「あ、すまない。つい夢中になってしまった」
「ゆ、すけ……っ、好き…」
祐介からのキスにとても気持ち良くなってしまったわたしの顔はたぶんすごく真っ赤だ。祐介がじっとわたしの顔を見ている。なんだか恥ずかしい。
「…フム、劣情をそそる」
そう言いながら頬を染める祐介はなかなかレアだと思う。私が軽く放心状態でいると優しく抱きしめられた。
「名前、好きだ」
「ぁっ、」
耳元で祐介の低い声が響き、身体がびくんと反応してしまう。
「ふふ、かわいらしいな」
「祐介…、」
私たちはもう一度見つめ合い、今度はどちらからともなくまた口づけを交わした。