酒とスルメと男と女

【余談】
過去作『Vergissmeinnicht ~ 勿忘草色のリボン ~』で登場させた酒を、オルシュファン卿の命日になると元・蒼の竜騎士たちがそれぞれどこからともなく忘れられた騎士亭を訪れて合流し、そして二人で飲むという話を書いてみたい。
……という思いはあったものの、ただ単に祈りを捧げて飲んでいる姿だけではつまらない。
そう思いずっと書けずにいたので、漆黒秘話第2話はまさに天啓でした。

漆黒秘話の中ではギャグ担当回だろう、との解釈を時折目にすることがある第2話ですが、あれはエスティニアンが復讐に費やした20年の間で置き去りにしてきた様々な「人らしさ」を取り戻しているうちの一幕なんだと私は思っています。まあ、どう見てもコミカルな展開ではありましたが(笑)。

エスティニアンが金銭に無頓着なのも、考えてみれば当然なんですよ。
ファーンデール時代はお金を使う機会がそもそも無かったでしょうし、竜騎士団時代は神殿騎士団に行けば衣食住全て面倒を見てくれていたんでしょうからね。
第2話で彼が素寒貧になったのはあくまで一時的なもので、イシュガルドに戻りさえすれば今までの貯蓄を引き出すことで現金はいくらでも調達できると思ってます。国の頂点に近い地位に君臨していたわけですから、貯蓄額はとんでもないことになっているでしょうし。
ただ、その手続きを面倒がっているだけなんですきっと(笑)。
しかし、エクスペディションコートとそれに付随する装備が自前だったのには驚きました。
あれはガイウスたちとライトパーティになった後、ガレマルド潜入時に「竜騎士鎧では目立ちすぎる。市街ではこれでも着ておけ」という感じでガイウスから寄越されたものだとばかり思っていたんですよね、私。


拙作の女冒険者がやたらと酒に強いという設定は元々ありまして、快気祝い用に買い込んだ酒がボトルではなく樽だという点も、作中で表現はしていないものの元々ありました。
快気祝い用に酒を買い込んだという話は『双竜の戯れ』でチラリと出しています。

また、エスティニアンが第三者とこの酒を飲む場面を『シャングリラ』に盛り込んでいますので、そちらも楽しんでいただければ幸いです。
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