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一章

「ぐっ……」

強い。
何だコイツ。

仕事を終わらせ,俺たちは今,ゲームをやっている。
初めにやったのはカートゲーム。
俺は攻撃アイテムをぶつけられまくり,秒で川に落ちてゲームオーバー。
コイツは圧倒的運転センスでぶっちぎり一位でゴールした。

次はパズルゲーム。
コイツは器用にブロックを消していく。
87コンボ。
……ちょっとキモい。

そして現在。
1対1の格闘ゲーム。
はい。
秒で死にました。

「お前にこんな特技があったなんて……」

「ふっふっふ。
 当然ですよ!
 坊ちゃんのメイドですから」

「なあばあや!
 コイツ強すぎ!
 どんだけゲームやってんだ?!」

「ではこのばあや,お相手いたしましょうか?」

……。

え?

ばあやゲーム出来んの?

しかもゲーム無双のコイツと?

「良いですよ。
 よろしくお願いします!」

コイツのぐるぐる眼鏡の奥の目が,言葉とは裏腹に,鋭く光った。
……ように見えた。
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