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一章

時は現在。
あの時小さかった俺も今となっては三十路手前。
親父に『そろそろ社長の座を譲るか』と言われる年齢になった。

「ほらほらゲームやりましょやりましょ!」
……現在進行形でゲーム機を俺の頰にぐいぐい押し付けてくるこのメイドも、俺と同い年……いや、ひとつ年上なのだが。色白で虚弱そうなのはあの頃と変わらないが、何せもう立派な大人だ。

「誕プレでばあやさんに新しいソフト貰ったんですよ、折角なんで一緒にやりましょうよぉ」
大人になってからの誕プレがゲームのソフトなんて、呆れることしかできない。

「この仕事終わらせてからな」
「やったー流石坊ちゃん!」

ゲームのやりすぎなのか、めちゃくちゃ目が悪いらしいこいつのぐるぐる眼鏡がキラリと光った。

「誕プレにゲームあげるばあやもばあやだけどな……」
こいつに甘いんだよな、ばあや。
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