1.黄色い耳飾りの鬼
俺がお前と出会った夜、
それはお前にとって最悪な夜だっただろう。
「僕を殺して。」
「っ、僕は…」
自ら首を差し出す鬼と、刀を下に向ける同世代であろう隊士。
任務として向かった先で見たその光景に、
俺は戸惑いが隠せなかった。
「なんで来ないの?そんなんじゃすぐ食われちゃうよ、」
「、でもっ、」
「でもじゃない。目の前に鬼がいるんだよ?」
二人の間に、俺は入れなかった。
殺気立っていたわけでもなく、かといって緊張感が無かったわけでもない。
その場で俺だけが切り取られているような、不思議な感覚があった。
鬼がため息をついたその時、隊士越しに目が合ったのが分かった。
「蘭、いい加減にして。」
首に爪が突きつけられる。
耳元で聞こえた鬼の声は、怒りと軽蔑がこもっていた。
こちらを向いた青年の顔。
それは言葉では表しようがない程に壊れている。
「…本当に、鬼なんですか。」
「最初からそう言ってる。」
「ならどうしてこんな事、」
「…もういい。」
鬼は冷たくそう言い放ち、爪を食い込ませた。
くそ、なんであんな奴が鬼殺隊に居る、
自ら動けば死ぬ。そう分かっていた俺は目の前の隊士を恨んだ。
「…蘭、ありがとう。」
目の前で刀を振るった奴は、”蘭”という名前らしい。
俺はお前を許さない。
それはお前にとって最悪な夜だっただろう。
「僕を殺して。」
「っ、僕は…」
自ら首を差し出す鬼と、刀を下に向ける同世代であろう隊士。
任務として向かった先で見たその光景に、
俺は戸惑いが隠せなかった。
「なんで来ないの?そんなんじゃすぐ食われちゃうよ、」
「、でもっ、」
「でもじゃない。目の前に鬼がいるんだよ?」
二人の間に、俺は入れなかった。
殺気立っていたわけでもなく、かといって緊張感が無かったわけでもない。
その場で俺だけが切り取られているような、不思議な感覚があった。
鬼がため息をついたその時、隊士越しに目が合ったのが分かった。
「蘭、いい加減にして。」
首に爪が突きつけられる。
耳元で聞こえた鬼の声は、怒りと軽蔑がこもっていた。
こちらを向いた青年の顔。
それは言葉では表しようがない程に壊れている。
「…本当に、鬼なんですか。」
「最初からそう言ってる。」
「ならどうしてこんな事、」
「…もういい。」
鬼は冷たくそう言い放ち、爪を食い込ませた。
くそ、なんであんな奴が鬼殺隊に居る、
自ら動けば死ぬ。そう分かっていた俺は目の前の隊士を恨んだ。
「…蘭、ありがとう。」
目の前で刀を振るった奴は、”蘭”という名前らしい。
俺はお前を許さない。
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