キミをたべたい
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夢を見た。
それがすぐに夢だと理解できたのは五年前に来ていた青い二年の忍服に身を包んだ幼い自分がいたからだ。小平太はこの日がいつなのかすぐに分かった。長次が大怪我をしたあの日だ。まだ幼い同級生達が目の前にいる。長次と小平太もその中にいた。
「長次!」
叫んでみても聞こえないらしい。幼い長次は幼い小平太と楽しそうに話をしている。2人はそれぞれに武器を手にしている。この日の授業は得意武器を探すことだった。
『長次の武器は…縄?』
『これは"縄鏢"って言うんだ』
縄の先に苦無を付けた飛び道具を持つ長次と苦無を両手に持つ小平太。
『それ、かっこいいな、強いのか?』
『小平太のと違って遠距離だからわかんない』
『手合わせしよう!』
『うん!』
あぁ、ダメだ。
手合わせしたら長次が怪我をする。小平太は必死になるも言葉は2人には届かない。
『いくぞ!』
『おー!』
そうしている間に長次は離れた小平太に向かって縄鏢を投げた。まだ慣れないなりに鋭く歪みなく飛ぶそれは得意武器と言うだけある。
キンッ、と小平太はそれを苦無で弾く。弾かれた縄鏢は真っ直ぐに長次に向かっていき…
ザシュッ
『うわぁぁあっ』
「『長次!』」
肉を切り裂く音と長次の唸り声、小平太と幼い小平太の声が重なる。長次の頬には傷が付き、血がとめどなく流れている。小平太は必死にそれを止めようとしていた。
『いさっくん、いさっくん、長次がぁ』
倒れた長次を抱きしめて小平太は必死に伊作を呼ぶ。長次の脂汗と血の混ざる顔が脳裏に焼き付いて離れない…そこで小平太の意識は闇に沈んで行った。
こへいた、小平太!
誰かに体を揺すられて目を覚ます。目の前には長次の顔が映り込んだ。幼い長次では無い年相応の長次にホッと胸を撫で下ろす。
「魘されていた」
「昔の夢を見ていたんだ」
「大丈夫か?」
「もう平気だ!」
長次の小さな声を拾って会話をするのも慣れたものだ。あの日から五年が経ったし皆の記憶からは薄れかけているだろう。小平太はしかし、その出来事を毎日思い出さない日はなかった。跡が消えない頬を見る度に、引きつって上手く笑えない姿を見る度に、嫌でも思い出すのだ。それと同時に約束を思い出す。
「長次!」
「なんだ?」
「いつまでも、約束は守るぞ!」
「…もそ」
長次が照れたように顔を背けると日が傾き始めた忍術学園の庭を見つめた。
ーーーーー笑えないなら私が変わりに笑ってやる!だから、泣かないでくれ…
ーーーーーわかった、ありがとう。
それがすぐに夢だと理解できたのは五年前に来ていた青い二年の忍服に身を包んだ幼い自分がいたからだ。小平太はこの日がいつなのかすぐに分かった。長次が大怪我をしたあの日だ。まだ幼い同級生達が目の前にいる。長次と小平太もその中にいた。
「長次!」
叫んでみても聞こえないらしい。幼い長次は幼い小平太と楽しそうに話をしている。2人はそれぞれに武器を手にしている。この日の授業は得意武器を探すことだった。
『長次の武器は…縄?』
『これは"縄鏢"って言うんだ』
縄の先に苦無を付けた飛び道具を持つ長次と苦無を両手に持つ小平太。
『それ、かっこいいな、強いのか?』
『小平太のと違って遠距離だからわかんない』
『手合わせしよう!』
『うん!』
あぁ、ダメだ。
手合わせしたら長次が怪我をする。小平太は必死になるも言葉は2人には届かない。
『いくぞ!』
『おー!』
そうしている間に長次は離れた小平太に向かって縄鏢を投げた。まだ慣れないなりに鋭く歪みなく飛ぶそれは得意武器と言うだけある。
キンッ、と小平太はそれを苦無で弾く。弾かれた縄鏢は真っ直ぐに長次に向かっていき…
ザシュッ
『うわぁぁあっ』
「『長次!』」
肉を切り裂く音と長次の唸り声、小平太と幼い小平太の声が重なる。長次の頬には傷が付き、血がとめどなく流れている。小平太は必死にそれを止めようとしていた。
『いさっくん、いさっくん、長次がぁ』
倒れた長次を抱きしめて小平太は必死に伊作を呼ぶ。長次の脂汗と血の混ざる顔が脳裏に焼き付いて離れない…そこで小平太の意識は闇に沈んで行った。
こへいた、小平太!
誰かに体を揺すられて目を覚ます。目の前には長次の顔が映り込んだ。幼い長次では無い年相応の長次にホッと胸を撫で下ろす。
「魘されていた」
「昔の夢を見ていたんだ」
「大丈夫か?」
「もう平気だ!」
長次の小さな声を拾って会話をするのも慣れたものだ。あの日から五年が経ったし皆の記憶からは薄れかけているだろう。小平太はしかし、その出来事を毎日思い出さない日はなかった。跡が消えない頬を見る度に、引きつって上手く笑えない姿を見る度に、嫌でも思い出すのだ。それと同時に約束を思い出す。
「長次!」
「なんだ?」
「いつまでも、約束は守るぞ!」
「…もそ」
長次が照れたように顔を背けると日が傾き始めた忍術学園の庭を見つめた。
ーーーーー笑えないなら私が変わりに笑ってやる!だから、泣かないでくれ…
ーーーーーわかった、ありがとう。