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思いつきの創作怪談など

とある暑い夏の朝。
わたしが散歩をしていると、雲ひとつない快晴の空が急に曇り出す。それはなんとも変な形をした雲で、真下から見ると空へ吹き上がるような形をしていた。なんとなくその雲から目が離せなくてしばらく眺めていると、ぽつぽつと雨が降り出してきた。これはまずい、慌てて手近な屋根の下へ避難する。
雨の勢いは強く、ずいぶん濡れてしまった。ひと息つくと、ぽた、ぽた、黒い雫が頭から垂れてきた。自分の身体に目をやると、まるで頭から墨でも被ったように黒く染まっているようだった。
ーーー真っ黒な雨が降っている。
驚いて瞬きを二、三する。
そのときにはもう普通の雨に戻っていて、身体もただ濡れているだけだった。
なんだったんだ。呆然としているとすぐに雨は止み、もとの快晴に戻った。歩いているうちに濡れた身体も乾いてしまって、わたしはさっきの出来事を早々に頭から追い出し、何事も無かったかのように家に帰った。

あとから今日の日付を見て、納得がいった。
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