3.また会いましたね
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月日は流れ、私は黒羽家に来て二度目の春を迎えた。身長も少し伸び、制服も道着も以前より似合うようになった。
剣道部では先輩たちと楽しくやっている。剣道の練習のみならず、最近物騒だからと顧問の先生から護衛術も習っており、前の記憶のこともあって…現在中二の私は部内一の体術使いだ。そして前と同様、困っている人を助けてしまう性格は変わらず、買い物袋を重たそうに持つおばあさんのお手伝いをしたり、逃走中の引ったくり犯を転ばせて警察に引き渡したり…何だかんだ二度目の学生生活をエンジョイしている今日この頃である。
ずっと前にハーフっぽいお兄さんを勝手に介抱したが、あれから私は周りを警戒していた。だって傷口が完全に銃によるものだったし、奥の方は見ていないけど恐らく何人か死んでたし。お兄さんがお仲間に私のことを言って、最悪裏社会だったり悪の組織だったり誰かしらに消される可能性は、全くないわけではない。しかし一週間、一ヶ月と警戒を続けていた結果、それは徒労に終わった。誰かに尾けられたり怪我させられたり巻き込まれたり、そんなことは一切起こらなかったのだ。今は完全にストレスフリーである。…お兄さん、元気だといいなぁ。
ーside Fー
青い傘の女の子と出会った日から一年が経とうとしていた。私立探偵として外を歩く時、あるいは車で移動している時、ふと女生徒の姿を探す自分がいる。あの時二人へ「悪いようにはしない」とは言ったものの、仮の姿で探偵を名乗っているからなのか…どうも気になってしまい、少し調べさせてもらった。
司馬さくら、杯戸町の公立中学に通う当時一年生の女子。小学校低学年までは山梨の学校に通っていた。両親共働きで家におらず、兄と二人で幼少期を過ごす。彼女が九歳の時に両親が離婚し、母親と共に東京へ引っ越してきた。しかし小学生最後の冬、母親が急死。母親の友人である黒羽千影に引き取られ現在に至る。
今彼女のいる黒羽家はマジックを生業にしているというくらいで、特に危険な要素はなかった。しかし違和感がある。
「中学生になったばかりだというのに、あの落ち着き様」
そう。脇腹を真っ赤に染めた男性を目の前にして、彼女は救急車を呼ぶのではなく、恐れることなく自分で手当てをすることを選んだ。そして手当ては適切で、後で診た医者も感心する程だった。明らかに血に見慣れていた、医療知識も一般人としては十分あった方だと考えざるを得ない。
「傘、返さないとな」
街中で会ったら、渡そう。お礼にお茶でも誘って…ああでも尋問なりそうだな。
自分の頭の中の展開に苦笑して、はたと我に帰る。何を考えているんだ俺は。関わって情報が得られるのなら関係を持つべきだが、相手は一般人。必要以上の関心は自分の首を締めることになる。
それでも、負傷した俺を助けてくれたセーラー服の女の子はクリミアの天使と謳われたナイチンゲールさながら。お大事にと言った彼女は少し微笑んでいた。あぁ、
「また会いたい」
剣道部では先輩たちと楽しくやっている。剣道の練習のみならず、最近物騒だからと顧問の先生から護衛術も習っており、前の記憶のこともあって…現在中二の私は部内一の体術使いだ。そして前と同様、困っている人を助けてしまう性格は変わらず、買い物袋を重たそうに持つおばあさんのお手伝いをしたり、逃走中の引ったくり犯を転ばせて警察に引き渡したり…何だかんだ二度目の学生生活をエンジョイしている今日この頃である。
ずっと前にハーフっぽいお兄さんを勝手に介抱したが、あれから私は周りを警戒していた。だって傷口が完全に銃によるものだったし、奥の方は見ていないけど恐らく何人か死んでたし。お兄さんがお仲間に私のことを言って、最悪裏社会だったり悪の組織だったり誰かしらに消される可能性は、全くないわけではない。しかし一週間、一ヶ月と警戒を続けていた結果、それは徒労に終わった。誰かに尾けられたり怪我させられたり巻き込まれたり、そんなことは一切起こらなかったのだ。今は完全にストレスフリーである。…お兄さん、元気だといいなぁ。
ーside Fー
青い傘の女の子と出会った日から一年が経とうとしていた。私立探偵として外を歩く時、あるいは車で移動している時、ふと女生徒の姿を探す自分がいる。あの時二人へ「悪いようにはしない」とは言ったものの、仮の姿で探偵を名乗っているからなのか…どうも気になってしまい、少し調べさせてもらった。
司馬さくら、杯戸町の公立中学に通う当時一年生の女子。小学校低学年までは山梨の学校に通っていた。両親共働きで家におらず、兄と二人で幼少期を過ごす。彼女が九歳の時に両親が離婚し、母親と共に東京へ引っ越してきた。しかし小学生最後の冬、母親が急死。母親の友人である黒羽千影に引き取られ現在に至る。
今彼女のいる黒羽家はマジックを生業にしているというくらいで、特に危険な要素はなかった。しかし違和感がある。
「中学生になったばかりだというのに、あの落ち着き様」
そう。脇腹を真っ赤に染めた男性を目の前にして、彼女は救急車を呼ぶのではなく、恐れることなく自分で手当てをすることを選んだ。そして手当ては適切で、後で診た医者も感心する程だった。明らかに血に見慣れていた、医療知識も一般人としては十分あった方だと考えざるを得ない。
「傘、返さないとな」
街中で会ったら、渡そう。お礼にお茶でも誘って…ああでも尋問なりそうだな。
自分の頭の中の展開に苦笑して、はたと我に帰る。何を考えているんだ俺は。関わって情報が得られるのなら関係を持つべきだが、相手は一般人。必要以上の関心は自分の首を締めることになる。
それでも、負傷した俺を助けてくれたセーラー服の女の子はクリミアの天使と謳われたナイチンゲールさながら。お大事にと言った彼女は少し微笑んでいた。あぁ、
「また会いたい」