1.夢の続き
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「魔法、ねぇ…」
私がこれまでの司馬さくらとは別人であることを分かってもらうため、まず私の生い立ちから始まり、以前自分が生きた日本や世界の情勢などを自分の知る範囲でお話しした。以前の日本と今の日本と1世紀近く差があることから、もしかして…とは思ったが。ここではまだ魔法が認知、理論化されていないという。
「理解しようにも、ここではサイオンの存在もまだ証明されていませんので…そうですね、超能力だと考えていただければ」
「さくらちゃんは使えるの?」
「以前の、死ぬ前の私はもちろん使ってました。でも今は…どうでしょう?まだ試してないもので」
「ここでやってみる?」
確かにここで使えば、この世界の人間でないと証明はできる。が、ひとつ問題があった。
「CADが無いんですよねぇ…」
「シーエーディー?」
「魔法を起動するのに必要な行程を短縮してくれる優れものです。CAD無しでも魔法は発動できなくはないんですが」
「難しい、ってことね?」
そうなります。というか試したことない。流石四葉のポンコツ魔法師(自称)。
とりあえず魔法の件は保留にして、これからのことを相談した。中身が18歳でも身体は、というかこの世界で生きてきたわたしはまだ義務教育中である。高校生からはアルバイトをしながら一人暮らしを始めることを(千影さんはあまり良い顔をしなかったが)約束して。それまで、つまり中学校卒業まで千影さんのお宅、黒羽家で暮らすことになった。
ここで生活したら?と千影さんから提案されたわけだが、私の証明不可能な不思議体験を聞いた上での進言だったので、いいんですか?と聞くと、
「病院に行ったら解離性同一性障害疑いってことで色々検査されるんだろうけれど、さくらちゃんはさくらちゃんでしょ?」
と、私を肯定してくれた。返事のない私を見て、千影さんは優しく笑う。
「子どものことを大人が信じなくて、誰が信じるの?」
「いや、私は18歳でして」
「私から見たらまだまだ子どもよ。千影お姉さんのこと、どーんと頼ってちょうだい」
そう言って私の頭をゆっくり撫でてくれた。手の中のティーカップとは違う温かさが、今の私にじんわり広がる。目頭が熱くなった気がした。
こうして新たな司馬さくらが始まった次の日の朝。息子さんの快斗くんに、しばらくお世話になることを簡単に説明すると「よろしくね、さくら姉ちゃん」と手を出された。あれ?面識何回かあったはずだよね?何故に握手?
「だって、前と違ってお姉ちゃんみたいだから」
「ヨ、ヨロシクね…」
この子中身が違うって気付いてる?!「流石、私の快斗」って納得しないで下さい千影さん!
(補足)
サイオン(想子)…超心理現象の次元に属する非物質粒子で、認識や思考結果を記録する情報素子のこと
CAD…魔法を発動する為の起動式を魔法師に提供する補助装置で、感応石と呼ばれるサイオン信号と電気信号を相互変換する合成物質によって魔法師と疎通する
私がこれまでの司馬さくらとは別人であることを分かってもらうため、まず私の生い立ちから始まり、以前自分が生きた日本や世界の情勢などを自分の知る範囲でお話しした。以前の日本と今の日本と1世紀近く差があることから、もしかして…とは思ったが。ここではまだ魔法が認知、理論化されていないという。
「理解しようにも、ここではサイオンの存在もまだ証明されていませんので…そうですね、超能力だと考えていただければ」
「さくらちゃんは使えるの?」
「以前の、死ぬ前の私はもちろん使ってました。でも今は…どうでしょう?まだ試してないもので」
「ここでやってみる?」
確かにここで使えば、この世界の人間でないと証明はできる。が、ひとつ問題があった。
「CADが無いんですよねぇ…」
「シーエーディー?」
「魔法を起動するのに必要な行程を短縮してくれる優れものです。CAD無しでも魔法は発動できなくはないんですが」
「難しい、ってことね?」
そうなります。というか試したことない。流石四葉のポンコツ魔法師(自称)。
とりあえず魔法の件は保留にして、これからのことを相談した。中身が18歳でも身体は、というかこの世界で生きてきたわたしはまだ義務教育中である。高校生からはアルバイトをしながら一人暮らしを始めることを(千影さんはあまり良い顔をしなかったが)約束して。それまで、つまり中学校卒業まで千影さんのお宅、黒羽家で暮らすことになった。
ここで生活したら?と千影さんから提案されたわけだが、私の証明不可能な不思議体験を聞いた上での進言だったので、いいんですか?と聞くと、
「病院に行ったら解離性同一性障害疑いってことで色々検査されるんだろうけれど、さくらちゃんはさくらちゃんでしょ?」
と、私を肯定してくれた。返事のない私を見て、千影さんは優しく笑う。
「子どものことを大人が信じなくて、誰が信じるの?」
「いや、私は18歳でして」
「私から見たらまだまだ子どもよ。千影お姉さんのこと、どーんと頼ってちょうだい」
そう言って私の頭をゆっくり撫でてくれた。手の中のティーカップとは違う温かさが、今の私にじんわり広がる。目頭が熱くなった気がした。
こうして新たな司馬さくらが始まった次の日の朝。息子さんの快斗くんに、しばらくお世話になることを簡単に説明すると「よろしくね、さくら姉ちゃん」と手を出された。あれ?面識何回かあったはずだよね?何故に握手?
「だって、前と違ってお姉ちゃんみたいだから」
「ヨ、ヨロシクね…」
この子中身が違うって気付いてる?!「流石、私の快斗」って納得しないで下さい千影さん!
(補足)
サイオン(想子)…超心理現象の次元に属する非物質粒子で、認識や思考結果を記録する情報素子のこと
CAD…魔法を発動する為の起動式を魔法師に提供する補助装置で、感応石と呼ばれるサイオン信号と電気信号を相互変換する合成物質によって魔法師と疎通する