1.夢の続き
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
夢を見た。
自分は赤ん坊で、周りに母親と思われる人はおらず、代わりに少年がひとり積み木で遊んでいた。わたしが泣くと、少年は外に出て大人を呼んでくる。連れてきた人はやはり母親でも、おそらく父親でもなかった。分かったのは、少年が自分の兄だということ。そして両親の愛を見て未だ感じられないことだった。
かちり、と場面が変わる。
少女は自分の足で歩けるまで成長していた。兄とわたしは追いかけっこをして、運動が苦手な兄は小石につまずき転んだ。膝からじんわりと赤い血がにじむ。痛い?少しだけ。
「痛いの痛いの飛んでいけー」
かざした幼い手の下には、血しか残っていなかった。見上げると兄の顔は青ざめていた。
かちり、また場面が変わる。
小学校に通い始めようかという頃、1人の女性が訪ねてきた。少女の母親だという。両親の離婚が決まり、少女は母親と共に都内へ引っ越すらしい。まだ見ぬ父と、施設で一緒だった兄はこのまま残る。少女は兄の元へ駆け寄った。さよなら、だね。うん。また会える?
「俺はもう会いたくない」
かちり、変わる。
背丈の伸びた女の子は写真を抱え、お墓の前に立っていた。さくらちゃん、おばさん達は中に戻ってるわね?そう声をかけてくれたのは、千影さん。母の古い友人だという。こくんと首を縦に動かす。足音が遠ざかっていく。わたしは写真を見る。そこには母の顔があった。お墓の前に座り込み、手を合わせていると、バシャバシャ音が近づく。
「よお、久し振りだな」
お久しぶりです、兄さん。
「これからどうすんだ?」
さあ?千影さんに聞いてみないと、なんとも。
「一緒に来ないか?父さんもいる」
何を今更。もう会いたくないと言ったのは誰ですか?
「俺だな」
あの日から、わたしにとっての家族はお母さんだけです。すみませんが、お断りします。
「なら、お前なんて要らない」
頭にがつんと衝撃を受ける。物理的ではない。心がきしむ。女の子の目から光が徐々に消える。兄は少し遠ざかり、こちらを振り返ってまた一言。
「お前なんて消えちまえ!」
あぁ、なんて酷い。私の意識は暗転した。
ぱちり、目を覚ます。
お墓の前で、母親の遺影を持ちながら、私は雨に打たれていた。…私が?
「ああ、さくらちゃん!早く中に入りましょう?風邪を引いちゃうわ」
「千影さん…?」
「そうよ。さ、息子も待ってる」
繋がれた彼女の手はしっかりと温かい。ああどうしよう。
「さくらちゃん?」
「千影さん、わたし、死んだみたいです」
自分は赤ん坊で、周りに母親と思われる人はおらず、代わりに少年がひとり積み木で遊んでいた。わたしが泣くと、少年は外に出て大人を呼んでくる。連れてきた人はやはり母親でも、おそらく父親でもなかった。分かったのは、少年が自分の兄だということ。そして両親の愛を見て未だ感じられないことだった。
かちり、と場面が変わる。
少女は自分の足で歩けるまで成長していた。兄とわたしは追いかけっこをして、運動が苦手な兄は小石につまずき転んだ。膝からじんわりと赤い血がにじむ。痛い?少しだけ。
「痛いの痛いの飛んでいけー」
かざした幼い手の下には、血しか残っていなかった。見上げると兄の顔は青ざめていた。
かちり、また場面が変わる。
小学校に通い始めようかという頃、1人の女性が訪ねてきた。少女の母親だという。両親の離婚が決まり、少女は母親と共に都内へ引っ越すらしい。まだ見ぬ父と、施設で一緒だった兄はこのまま残る。少女は兄の元へ駆け寄った。さよなら、だね。うん。また会える?
「俺はもう会いたくない」
かちり、変わる。
背丈の伸びた女の子は写真を抱え、お墓の前に立っていた。さくらちゃん、おばさん達は中に戻ってるわね?そう声をかけてくれたのは、千影さん。母の古い友人だという。こくんと首を縦に動かす。足音が遠ざかっていく。わたしは写真を見る。そこには母の顔があった。お墓の前に座り込み、手を合わせていると、バシャバシャ音が近づく。
「よお、久し振りだな」
お久しぶりです、兄さん。
「これからどうすんだ?」
さあ?千影さんに聞いてみないと、なんとも。
「一緒に来ないか?父さんもいる」
何を今更。もう会いたくないと言ったのは誰ですか?
「俺だな」
あの日から、わたしにとっての家族はお母さんだけです。すみませんが、お断りします。
「なら、お前なんて要らない」
頭にがつんと衝撃を受ける。物理的ではない。心がきしむ。女の子の目から光が徐々に消える。兄は少し遠ざかり、こちらを振り返ってまた一言。
「お前なんて消えちまえ!」
あぁ、なんて酷い。私の意識は暗転した。
ぱちり、目を覚ます。
お墓の前で、母親の遺影を持ちながら、私は雨に打たれていた。…私が?
「ああ、さくらちゃん!早く中に入りましょう?風邪を引いちゃうわ」
「千影さん…?」
「そうよ。さ、息子も待ってる」
繋がれた彼女の手はしっかりと温かい。ああどうしよう。
「さくらちゃん?」
「千影さん、わたし、死んだみたいです」
1/3ページ