3.また会いましたね
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「そういえばお名前、伺っていませんでしたね。僕は安室透といいます」
「司馬、さくらです。あと敬語は要りませんよ?中学生相手に可笑しいでしょう」
「それは追々。よろしくお願いします、さくらさん」
「いきなり名前呼び…」
まあ良いけど…私は目の前のパフェを突く。ふと先程からの違和感の原因が思い浮かんだため、安室さんに話を振ってみた。
「すっごく踏み込んだことを聞いて良いですか?」
「彼女はいませんよ」
「そういうのではなく!口調、以前と違いますよね?」
「口調?」
「一人称も…」
手当てしたあの日。意識の戻った安室さんは、確か「俺」と言っていた。何も繕っていなかったのだろう。
「今、無理してません?」
「そんなことないですよ。今の僕はこんな感じなんです」
「そうなんですか?」
「はい」
笑みを絶やさない安室さん。本人がそう言っていることだし、“そういうこと”にしておこう。聞かれたら嫌なことは誰にでもあるし。パフェの上に乗った苺をクリームと一緒に口に運ぶ。
「さくらさん、写真を数枚撮っても良いですか?」
「へ?」
「言ったじゃないですか。ここに僕が座った理由」
理由…そういえば尾行してるとか言ってた。撮影の邪魔にならないよう、私は窓際に体を寄せる。しかし安室さんは首を横に振った。
「さくらさんは普通通りでいて下さい。あなたを中央にして撮りますが、依頼人に見せる際はトリミングしますので」
「あ、はい」
普通通り、と言われても。写真なんていつぶりだ?
「さくらさん、笑って」
「えぇー…はい」
「引きつってますよ?」
「そう言われましても」
笑う、笑顔…。その時私の脳裏に浮かんだのは、「お姉様!」とこちらに駆け寄る可愛い妹の顔だった。あの時は転ぶんじゃないかとハラハラしたものだ。くすり、と思い出し笑いをすると、シャッター音が聞こえた。
「何を思い出していたのか知りませんが、子供はもっと笑った方がいい」
「確かに安室さんから見たら子供ですけど、なんか嫌です」
「そう言わずに。中学や高校なんて二度と来ないんです。学生時代は謳歌すべきかと」
「それは、まあ、はい」
パフェが食べ終わろうかという頃、少し離れた場所で椅子を引く音がした。安室さんの顔を見ると、レジに視線を配っている。
「追いかけなくて良いんですか?」
「えぇ、現場の写真が撮れましたから、今日の仕事はここまでです。しかし…まだあなたとのデートがあります」
で、でーと?大の大人と、中学生が?
「私、援交とかしたくない」
「何故そこまで話が飛躍しますかね?」
そう言って今度は安室さんがクスッと笑う。普通に、見惚れてしまった。
「不覚…」
「司馬、さくらです。あと敬語は要りませんよ?中学生相手に可笑しいでしょう」
「それは追々。よろしくお願いします、さくらさん」
「いきなり名前呼び…」
まあ良いけど…私は目の前のパフェを突く。ふと先程からの違和感の原因が思い浮かんだため、安室さんに話を振ってみた。
「すっごく踏み込んだことを聞いて良いですか?」
「彼女はいませんよ」
「そういうのではなく!口調、以前と違いますよね?」
「口調?」
「一人称も…」
手当てしたあの日。意識の戻った安室さんは、確か「俺」と言っていた。何も繕っていなかったのだろう。
「今、無理してません?」
「そんなことないですよ。今の僕はこんな感じなんです」
「そうなんですか?」
「はい」
笑みを絶やさない安室さん。本人がそう言っていることだし、“そういうこと”にしておこう。聞かれたら嫌なことは誰にでもあるし。パフェの上に乗った苺をクリームと一緒に口に運ぶ。
「さくらさん、写真を数枚撮っても良いですか?」
「へ?」
「言ったじゃないですか。ここに僕が座った理由」
理由…そういえば尾行してるとか言ってた。撮影の邪魔にならないよう、私は窓際に体を寄せる。しかし安室さんは首を横に振った。
「さくらさんは普通通りでいて下さい。あなたを中央にして撮りますが、依頼人に見せる際はトリミングしますので」
「あ、はい」
普通通り、と言われても。写真なんていつぶりだ?
「さくらさん、笑って」
「えぇー…はい」
「引きつってますよ?」
「そう言われましても」
笑う、笑顔…。その時私の脳裏に浮かんだのは、「お姉様!」とこちらに駆け寄る可愛い妹の顔だった。あの時は転ぶんじゃないかとハラハラしたものだ。くすり、と思い出し笑いをすると、シャッター音が聞こえた。
「何を思い出していたのか知りませんが、子供はもっと笑った方がいい」
「確かに安室さんから見たら子供ですけど、なんか嫌です」
「そう言わずに。中学や高校なんて二度と来ないんです。学生時代は謳歌すべきかと」
「それは、まあ、はい」
パフェが食べ終わろうかという頃、少し離れた場所で椅子を引く音がした。安室さんの顔を見ると、レジに視線を配っている。
「追いかけなくて良いんですか?」
「えぇ、現場の写真が撮れましたから、今日の仕事はここまでです。しかし…まだあなたとのデートがあります」
で、でーと?大の大人と、中学生が?
「私、援交とかしたくない」
「何故そこまで話が飛躍しますかね?」
そう言って今度は安室さんがクスッと笑う。普通に、見惚れてしまった。
「不覚…」