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共に見る、春

 深く沈んだ意識の底、夢と現の狭間で微睡む。ふわふわ、ふわふわと降下と浮上を繰り返す意識の中で、夢よりも美しい景色を見た。

 ピピピピ、ピピピピ……
 規則正しい電子音に目を開く。二、三度もぞもぞ寝返りを打って、布団の中から腕を伸ばすと、音が止まった。
 布団を畳んで、ふわふわとする頭を覚まそうと私室に備え付けられた洗面所に足を向ける。つめたっ、と小さく呟きながら顔を洗うと、鏡の向こう、自分と同じ顔をした女と目が合った。
 支度を終えて、部屋を出る前に壁に手を伸ばす。二月二十七日。青いペンで丸印をつけた日が、今日だ。
 
 この本丸の、始まりの日。
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