– ×海藻 ⚪︎回想–


〜回想〜

モブ「心操の個性って？」

「【洗脳】かな。」

モブ「えー、【洗脳】なの！？私操られたくない。」

モブ「ヴィラン向きの個性だよな。」

「……うん。」

この言葉にも慣れた。

“ヴィラン向き”

俺はヒーローになりたいのに。

雪「そうかな？別にヴィラン向きの個性なんかじゃないと私は思うよ？」

え？

モブ「は？」

雪「だってさ、ヴィランを洗脳すれば捕まえることだって容易いんだよ？人質取られた時に最高じゃん。」

そんなことを言われたのは、初めてだった。
誰だって、ヴィラン向きだって言うのに。

モブ「だったらお前の個性はなんなんだよ。」

雪「私？私は【影】。」

モブ「お前だってヴィラン向きの個性じゃねぇか。」

雪「へえ？じゃあさ…」

次の瞬間、あいつに突っかかってきたやつを一瞬で拘束していた。

モブ「な！？」

雪「こうやってさ、捕まえることだってできるんだよ。人の個性をよく知らないのにとやかく言うのはやめたほうが身のためだよ。」

その時、クラスの空気は固まった。
俺も、別の意味で固まった。

こんな堂々といられるのか、と。

雪「まぁ？別に人の個性を悪く言う奴らがどうなろうと私には知ったこっちゃないけど。」

あいつに興味を持った。
そんな出来事だった。

〜回想終〜

まさかあの後、仲良くなってあいつの‘秘密‘まで知ることになるとは、思わなかったけどな。

「あんま、無茶し過ぎんなよ。」

そんな願いは届かない。