これからともに
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宝くじが当たって今日で一週間経つ。
当たってからというもの私は毎日まだかまだかと待っていた。
ようやく大学の試験が終わり夏休みになった。大学生も2年目になれば試験も慣れてきていた。
夏休みになったらたくさんバイトして貯金を増やそうと思っていた矢先になんとなく買った宝くじが当たってしまったのだ。
これはと思い急いでバイトを辞めさせてもらったが、店長には申し訳ないことをしてしまった。けれど、あの子一人置いて長時間家を離れるなんてできないので仕方がないことだ。
あれから家を掃除したり洗濯洗剤など重いものを買っておいたりと準備を進めていたが、あの子はまだ来ていなかった。
「今日でもなかったか~、今回当たったのはほんとに偶然だったのかな、また会えるかもと思ったのに……」
もう夜の10時を過ぎてしまった。
そろそろ寝る準備をしなければとテレビを消して座椅子から立ち上がろうとしたとき、目の前に何かが落ちてきた。
「っ!百ちゃん!?……じゃない女の子……ッ!?」
突然現れた民族衣装を着た綺麗な女の子が警戒するように後退しながら弓をつがえた。そんなに何回も経験してるわけじゃないけど武器持って来るパターンは初めてだななどと悠長に考えていれば、綺麗な青い目の女の子は回りに注意を払いながら話しかけてきた。
「お前は誰だ、ここはいったいどこなんだ」
「私は☆☆、○○☆☆。ここは私の家だよ」
「お前の家だと?私は山で狩りをしていたんだ!なぜいきなり……」
私に視線を向けながらもキョロキョロと動く目は、何かを探しているようであり、どうするべきか迷っているようにも見えた。
女の子はこの状況にちょっと混乱してるみたいだ。とりあえず落ち着いてもらって、現状を理解してもらったほうがいいかな。
「大丈夫だよ落ち着いて、この家に危ないことはないよ。不安なら家の中を確認していいよ、私の腕を縛ってもいい」
落ち着いてもらえるようにゆっくりと話しかけ、そのまま腕を揃えて差し出した。これで信じてもらえるだろうか。
すると女の子は少し考える様子を見せたあと弓を降ろした。
「……わかった、☆☆の言うことを信じよう。私は意識を失ってはいなかった。なのに☆☆が私をここまで拐うことはできなかったはずだ。」
「信じてくれてありがとう。えっと…」
「アシリパだ」
「よろしくねアシリパちゃん」
そう言うとアシリパちゃんは笑顔を見せてくれた。
問題はここが未来だと言うことを説明しないといけないことだ。とは言っても電気は付けたままだしテレビもある。少し行けば台所にベランダだ。説明するのに使う道具は十分ある。
そんな事を考えていると、隣の部屋から大きな音がした。
「……もしかして今回は子供だけじゃない……?」
重そうな音だったから大人のような気がする。
どうしよう、アシリパちゃんがいるのに……怖い人だったらどうやって守ったらいいだろうか。話し声も聞こえてきたということは複数人だし男性の声だ。これはやばい、もうおとなしく私が壁になってアシリパちゃんが隠れる時間を稼ぐしかないのでは?と思い小さな声でアシリパちゃんに話しかけた。
「アシリパちゃん危ないかもしれないから隠れ…」
「っ!杉元か!」
「アシリパちゃんそんな大きな声出したら」
「危ないよ」と言おうとしたらものすごい勢いでリビングの隣の部屋の仕切りが開いた。そこにいたのは顔に大きな傷のある男性だった。絶望した。
これは無理じゃない?こんな強そうな人じゃ一瞬で制圧されそう。ていうか今アシリパちゃん杉元って言わなかった?知り合い?これもしかしたらワンチャンあるんじゃない?
「おいお前、アシリパさんに何をした」
ワンチャンありませんでした!すごい低い声だよ。威嚇してるようにしか聞こえない。
鋭い眼光でにらみつけてくる杉元さん(仮)は、アシリパちゃんの隣でしゃがんでいる私のパーカーの襟を掴んで壁に押し付けてきた。足が着かない上に首が絞まって呼吸がうまく出来ない。
「おい杉元やめろ!☆☆は私に何もしていない!」
「アシリパさんは騙されてるんだ。俺たちは山の中にいたはずだ。いきなりこんなところに来れるわけない」
「そうだ、いきなり来れるわけないんだ。お前ほど強い男がここに運ばれるまで気づかないわけがないだろう? ☆☆が何かしたわけではない。落ち着け杉元」
アシリパちゃんが杉元さんを説得してくれたお陰で首を絞める力が少し弱くなった。アシリパちゃんありがとう。
これで話し合いできそうだと思っていると、私の右側にある廊下と繋がる扉が開いた。いきなり現れた拳は杉元さんの頬に決まり「尾形ちゃん!?」という男性の声が聞こえた。
「☆☆姉さん大丈夫か!?」
呼吸を整えようと息を吸う私を心配そうに見つめていたのは、ツーブロックの髪型で両顎に縫った痕と、見覚えのある目をした男性だった。
2019/5/28
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