唯一の人
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私はどこまでも凡庸な人間だった。
特に秀でた才能もなく、外見も良く見積もって中の下。勉学もさしてできるわけでもない。
どこまでも凡庸な私に両親は昔からこう言っていた。
「貴女は何でも中途半端。」
非凡庸な才を持つ姉と比較され続けるのは慣れていた。だって仕方ない。
凡庸な私と非凡庸で世間様に認められる才を持つ姉のどちらが価値があるかなんて言うまでもないだろう。
そんな私でも、死に方くらい選びたかった。
(慣れない事はするもんじゃないな…)
線路の真ん中で蹲る老婆の背中なんかに感情移入しなきゃよかった。寂しそうな背中を見ると、自然と体が動いてしまっていた。
電車が急停止しようとする音が聞こえるがもう間に合わないだろう。
老婆を線路外へ押し出したその瞬間、私の意識は消え失せた。
(呆気ないなあ。私の人生なんてこんなものか)
あの漫画の続きは読みたかったなとか、クリア途中のゲームがあったのにとか、色々考えもしたが、さしてこの世界に対する執着も、引き留めるような何かもなかった私にはお似合いの結末かもしれない。
でも、叶うのであれば…
「次は必要とされたいなぁ…」
こうして私の人生は幕を閉じた、かと思われた。
特に秀でた才能もなく、外見も良く見積もって中の下。勉学もさしてできるわけでもない。
どこまでも凡庸な私に両親は昔からこう言っていた。
「貴女は何でも中途半端。」
非凡庸な才を持つ姉と比較され続けるのは慣れていた。だって仕方ない。
凡庸な私と非凡庸で世間様に認められる才を持つ姉のどちらが価値があるかなんて言うまでもないだろう。
そんな私でも、死に方くらい選びたかった。
(慣れない事はするもんじゃないな…)
線路の真ん中で蹲る老婆の背中なんかに感情移入しなきゃよかった。寂しそうな背中を見ると、自然と体が動いてしまっていた。
電車が急停止しようとする音が聞こえるがもう間に合わないだろう。
老婆を線路外へ押し出したその瞬間、私の意識は消え失せた。
(呆気ないなあ。私の人生なんてこんなものか)
あの漫画の続きは読みたかったなとか、クリア途中のゲームがあったのにとか、色々考えもしたが、さしてこの世界に対する執着も、引き留めるような何かもなかった私にはお似合いの結末かもしれない。
でも、叶うのであれば…
「次は必要とされたいなぁ…」
こうして私の人生は幕を閉じた、かと思われた。
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