逆◯◯


久しぶりに訪れたデパ地下。
女性たちが群がる中、190センチの男が1人紛れ込む。

「これ、1つください」

こんな時こそ、この身長は役に立つ。
上から品定めをし、楽々とお気に入りの物を見つけ、支払いをすませる。
アイツが喜びそうなのが見つかった。
それは、子供時代に好きだったというキャラクターもの。
前にチラッと聞いただけなのだが、アイツのことならバスケより忘れない。
さてと、後はこれを所定の場所へ忍ばせるだけ。
放課後が楽しみだな。


「仙道ーっ!」

こちらへ走ってくるその手の中には、幾つかの包み紙が見えている。

「お前、何個もらった?」

去年と変わらず今年もこの会話。
こちらの成果を見せてやると、降参した様子で自分の物を並べた。

「それよりさ、見てくれよ!」

嬉しそうに、並べた内の一つを見せびらかした。

「これっ!"○×レンジャー"なんだ。ははは、懐かしいだろ?」

今年はこれが一番のお気に入りだ、と満面の笑みを浮かべ眺めている。

そう、その笑顔が見たかったんだよね……。

「なあ越野。ソレ、もったいなくて食べれないだろ?」