第二十章 大切なひとに……
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「今日のこと、光晴も楽しみにしてくれてるっていうのは私も知ってたよ。でも、そのために無理してほしいなんて思ってないんだからね」
(だから今は、ゆっくり休んで――)
その想いを込めて、光晴の額にそっと口付ける。
――ガチャ。
「あ。」
「!!?」
ドアの開く音が聞こえてからばっ!と離れたのだが――ばっちり見られた。その事実に、陸は一瞬で赤面し顔を逸らした。
入って来たのは見知った執行部の男子生徒。
「いやー、すみません。悪気はないんですが」
「う、うん。だいじょうぶ、わかってる」
「忘れ物を取りに来ただけなんで、すぐ出ます。ついでに必要そうなものも持ってっときますから」
思う存分イチャついてください。――言っていないが、彼の言葉にはそんな意味が含まれているように感じた。
「あのね、今のはついっていうか、なんていうか――!」
「会長の具合、どうですか?」
問われたことに、言い訳をする言葉がぴたりと止まる。
「あ……うん。疲れが溜まってるだけだから、休めば良くなると思う」
「それはよかった。今朝の会長の顔色、悪過ぎて……。そんな状態で仕事するもんだから、おかげでこっちまで真っ青でしたよ」
「執行部のみんなに、大丈夫だって伝えてくれる?」
「はい。今年の文化祭は神楽さんといられるからって、すごく張り切ってたんですよ。……まあ、その反動が当日に来るなんてさすが会長、って感じですけど」
「あはは……」
「じゃあ、俺はもう行くのでごゆっくり」
にっこりと笑って彼は部屋を出て行った。
(「今年の文化祭は神楽さんといれるから――」)
先程の言葉を思い出して、陸はちらりと光晴を見て顔を赤くする。
「…………ほんと、バカ」