第二十章 大切なひとに……
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文化祭二日目。昨年は二日間の日程を友人である杏と過ごしたため、今年……つまり今日は光晴と過ごす初めての文化祭
――なのだが。始まって早々、二人の姿は執行部の部室にあった。
「昨日の夜からなんか変だと思ってたけど……。そっか、神無ちゃんが」
「すまん……」
事の発端は昨日の午後、陸のクラスを出た後だ。
具合の悪そうな神無を心配した光晴の手を振り払い拒絶。それから現在進行形で三翼まとめて避けられているらしい。
「私が言うのもなんだけどさ。光晴、最近女の子から避けられすぎじゃない?」
ケンカ(&禁止令)の件で陸と杏、昨日の出来事から神無。短期間で三人目である。
「いや、もうホンマに……。さすがにキツいわ」
「三翼みんなだし……神無ちゃんのことだから、他に理由があると思うけど。今は水羽がついてるんだよね?」
「遠くから見守ってる、って感じやけどな」
「なら心配いらないね。執行部の方は光晴が元気ないとみんな心配するんだから、少し寝て。私はここにいるから」
「せやけど陸……」
「いいの!」
文化祭の準備に追われていて体力的に疲労が蓄積され、そこへ心労が加われば体調を崩すのは道理だった。そんな状態の光晴を連れ出すなんてことは到底、陸に出来なかった。
「悪いと思ってるならちゃんと休んで、早く元気になってよ」
「ホンマありがとう、陸。……せっかく杏ちゃんに禁止令取ってもらったんに、情けない、な……」
「…………え?」
(今、なんて?)
「ちょっ、禁止令取ったってなに? 聞いてないよ!」
「…………」
「……寝ちゃった」
はあ、と息をついてから部室をぐるりと見やる。大きめの棚を覗いて毛布を発見した陸は、それを光晴にふわりとかけた。
本当は部屋のベッドで眠るのが一番なのだが、部室のソファは大きく、身体の大きい光晴が横になっても窮屈に見えないため寝心地は悪くないのだろう。
(そんなに疲れてるなら、学校休むか訊いたとき頷けばよかったのに。なんて)
頷くはずがないとわかっているけれど。