第十九章 楽しみの輪
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「はーい、いらっしゃいませ!」
「輪投げ・ダーツ、1回300円でーす!」
あれから急いで着替え(といってもエプロン付けるだけ)、当番を交代した陸と杏は意外に盛況な自分たちのクラスの様子に驚きつつ、接客に勤しんでいた。
「すみませーん、輪投げやりたいんですけどー」
「あ、はい! 1回300円で輪は3つ。この線から出ないようにお願いします」
陸が担当したその生徒は、最初の2つは大ハズレ。しかし最後の一投で狙っていたものに輪をかけることができた。
「よっしゃあ!」
「わぁ、すごーい!」
「おめでとうございまーす!」
営業スマイルで見送ると、後ろから肩を叩かれた。
「陸」
「杏。どしたの」
「なんでうちのクラスこんなに混んでんの」
「んん、みんな懐かしいんじゃない? 私も輪投げなんて小学生の時以来だし」
「童心にかえるって? もっと楽できると思ってたのに~」
「愚痴言わない。あと2時間くらいでしょ」
「わかってるけどー」
それからしばらくして、受付担当の男子生徒から声をかけられる。
「神楽、お前に客来てるぞ」
「え。名指し?」
なぜ名指しなのか疑問に思ったけれど、理由はすぐにわかった。
「光晴! 水羽に、神無ちゃんも!」
「ビックリしたか?」
「うん、すごく」
「だから言ったじゃん。別に呼ばなくてもって」
「いいよ、水羽。ね、神無ちゃん! せっかくだし輪投げやってかない? 景品にぬいぐるみあるよ」
「! はい……っ」
“ぬいぐるみ”と聞いてキラキラと瞳が輝いた神無を陸も笑顔で案内した。
「陸は神無をご指名みたいだね」
「呼んだのは俺やのに……」
「光晴、ほら早く! 水羽も」
「陸……!」
なかなか来ない二人にしびれを切らして、引き返した陸が光晴の手を取って神無の待つところへ進む。水羽は陸たちの後ろを歩きながら、少しだけ羨ましげに見つめた。
(僕も早く、自分だけの花嫁が迎えられるようになればいいな、)
「えーっ、光晴下手!」
「最後惜しかったやん?!」
「光晴は力強すぎなんだよ。こう、軽くでいいの!」
「おお上手い」
「こ、これくらい大したことないよ」
「ちょっと陸ーー! なに自分のクラスで遊んでんの?!」
「あ。ごめん」
「神無はどれがいい?」
「えっと、あの……アヒルさんが」
「わかった」
すぽっ
「お、入った」
「早咲くんすごい……!」
「わ、水羽すごい! じゃ、もう1個何か取ってみてよ」
「なんでもいいの?――あ。」
からん、と音を立てて倒れたのは不気味な表情の人形。
「なにこれ……いらないんだけど」
「水羽くん。それさっき喜々として取ってった男子いたよー」
「え゛」
そんなこんなで賑やかに、文化祭一日目は幕を閉じた。
「輪投げ・ダーツ、1回300円でーす!」
あれから急いで着替え(といってもエプロン付けるだけ)、当番を交代した陸と杏は意外に盛況な自分たちのクラスの様子に驚きつつ、接客に勤しんでいた。
「すみませーん、輪投げやりたいんですけどー」
「あ、はい! 1回300円で輪は3つ。この線から出ないようにお願いします」
陸が担当したその生徒は、最初の2つは大ハズレ。しかし最後の一投で狙っていたものに輪をかけることができた。
「よっしゃあ!」
「わぁ、すごーい!」
「おめでとうございまーす!」
営業スマイルで見送ると、後ろから肩を叩かれた。
「陸」
「杏。どしたの」
「なんでうちのクラスこんなに混んでんの」
「んん、みんな懐かしいんじゃない? 私も輪投げなんて小学生の時以来だし」
「童心にかえるって? もっと楽できると思ってたのに~」
「愚痴言わない。あと2時間くらいでしょ」
「わかってるけどー」
それからしばらくして、受付担当の男子生徒から声をかけられる。
「神楽、お前に客来てるぞ」
「え。名指し?」
なぜ名指しなのか疑問に思ったけれど、理由はすぐにわかった。
「光晴! 水羽に、神無ちゃんも!」
「ビックリしたか?」
「うん、すごく」
「だから言ったじゃん。別に呼ばなくてもって」
「いいよ、水羽。ね、神無ちゃん! せっかくだし輪投げやってかない? 景品にぬいぐるみあるよ」
「! はい……っ」
“ぬいぐるみ”と聞いてキラキラと瞳が輝いた神無を陸も笑顔で案内した。
「陸は神無をご指名みたいだね」
「呼んだのは俺やのに……」
「光晴、ほら早く! 水羽も」
「陸……!」
なかなか来ない二人にしびれを切らして、引き返した陸が光晴の手を取って神無の待つところへ進む。水羽は陸たちの後ろを歩きながら、少しだけ羨ましげに見つめた。
(僕も早く、自分だけの花嫁が迎えられるようになればいいな、)
「えーっ、光晴下手!」
「最後惜しかったやん?!」
「光晴は力強すぎなんだよ。こう、軽くでいいの!」
「おお上手い」
「こ、これくらい大したことないよ」
「ちょっと陸ーー! なに自分のクラスで遊んでんの?!」
「あ。ごめん」
「神無はどれがいい?」
「えっと、あの……アヒルさんが」
「わかった」
すぽっ
「お、入った」
「早咲くんすごい……!」
「わ、水羽すごい! じゃ、もう1個何か取ってみてよ」
「なんでもいいの?――あ。」
からん、と音を立てて倒れたのは不気味な表情の人形。
「なにこれ……いらないんだけど」
「水羽くん。それさっき喜々として取ってった男子いたよー」
「え゛」
そんなこんなで賑やかに、文化祭一日目は幕を閉じた。