第十八章 忘れない
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二人だけとなった室内は沈黙に包まれていた。それに耐えられず、陸は小さく声をかける。
「…………あ、あの。光晴?」
「ん?」
「ごめんね」
「何がや?」
「だって光晴、怒ってるじゃん」
「怒ってへんで」
立ち上がり、ぐっと近付いて問い詰める。
「ウソ! 私が話してる間中機嫌悪かったの気付いてるよ。私が光晴の手はたいたこと、怒ってるんでしょ」
「あれはショックやったけど、それだけじゃ。杏ちゃんの出した“陸に触るの禁止”っちゅーんも解かれてへんし、破ろうとした罰や」
「そんなのこじつけじゃん! じゃあ、もう大丈夫だって光晴に一番に言わなかったから?」
「それもちゃう。ほんまに、なーんも怒っとらんよ」
「でも……」
納得のいかないといった表情を浮かべる陸に、光晴はとある提案を持ち掛ける。
「じゃあ、陸からさわって?」
「……へ?」
予想外の提案に思わず声が裏返る。
「言うたやろ? 杏ちゃんの禁止令で俺から陸に触ることはでけん。せやけどその逆もダメやなんてのは聞いてへん。俺の不機嫌はそれで解消や」
「……っ! そんなの、ムリに理由つけなくたってできるじゃない……!」
顔を真っ赤に染めた陸は光晴の首に手を回してぎゅっと抱きついた。
「!!」
「……だ、黙らないでよ。やれっていったのは光晴なんだから」
「いや……陸がこんなダイタンなことしてくれるんやったら、禁止令も悪ないなーー」
言いながら、光晴も陸を包み込むように抱きしめ返す。
「馬鹿じゃないの……杏に言うよ」
「大丈夫大丈夫。そのために杏ちゃん、寮に帰ったんやし」
「そのためって……なんでそんなことわかるの?」
「くく、聞いてるで。俺以外の男は眼中にないんやろーー?」
「なッ!?」
まさかの発言に驚き光晴から離れようとするが、ぽんぽんと頭をたたかれ再び腕の中へおさまる。
「そ、そんなこと……っ」
「ほんまに心当たりないか?」