第十七章 うつりゆくもの
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「誰の女に触っとるんじゃ」
怒気の籠った低い声が聞こえたと思ったら、ふっと息苦しさが消えて――目の前に頼もしい背中と遠くに吹っ飛ばされた人影が見えた。
「っ……光晴……」
「僕もいるよ」
「!」
振り返った先にはもう一人の男を伸し終えた水羽と、神無が立っていた。
「神無ちゃん! 怪我してない?」
「大丈夫です。あの、すみません……」
「なんで神無ちゃんが謝るの、全然悪くないじゃん! 無事でよかった」
神無の無事を確認してほっと息を吐く。それを見た水羽は陸の頭を軽くこづく。
「神無の心配もいいけど、陸は自分の心配が先ね。鬼頭の花嫁と三翼の花嫁のセットなんて、下級の鬼が理性飛ばしてもおかしくないんだから」
「う゛……」
「陸!」
「光晴、ごめ……「そんなんええ! どっか怪我は――」
そう言って伸ばされた光晴の手を――
はたく、音がした。
「えっ、」
「陸?」
「……あ、れ……?」
その場にいた全員が今の行動を理解できない。最も動揺したのは、はたいた張本人である陸だった。
「……なんで……? 光晴なのに、」
「陸? さっきの奴に何かされたんか?」
「ちがう……ごめん。頭、冷やしてくる」
「陸!」
後退り、踵を返して走り去る。その背を追える者は誰もいなかった。
(どうして、なんで? あの人じゃない。状況も違う。わかってる。わかってるのに、あの手が、ダブってみえたなんて)