第十七章 うつりゆくもの
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「――あ、いたいた。神無ちゃんっ!」
「え? あ……」
女子寮の通用口付近でうずくまる神無を見つけた陸が走り寄る。
「よかった……無事だね。杏と会ったのは覚えてる?」
「あんず?」
「もしかして自己紹介されてない?――三つ編みおさげの子、いたでしょ。あれが私の親友、三浦杏っていうの」
「あ……!」
三つ編みという外見的特徴でわかったのか、神無がちいさく反応した。
「あの子、『神無さんがいなくなった!』って言ってテンパってるままだから合流して安心させてあげたいの。立てる?」
「はい」
差し出された手を取って、立ち上がろうとした神無だが――
「……すみません、立てない、です」
「腰抜けた? んーじゃあ……光晴っ!」
「どないした、陸……。ああっ、神無ちゃん! こんなトコにおったんか!」
呼んで十秒もしない内に現れた光晴に、神無は呆気にとられる。
「神無ちゃん立てないみたいなの。職棟までお願いしたいんだけど」
「お安いご用じゃ。ちょっとごめんな?」
「わ、っ……!」
一言断りを入れて、光晴は神無を軽々と抱き上げた。
「落とさないでよー」
「トーゼン!」
光晴と陸と職棟に帰る最中、神無の視線は華鬼の消えた森へ向いたが彼が戻って来る様子はなかった。
それからは半泣きの杏と、水羽と合流して職棟に戻り、もえぎの用意してくれた夜食をみんなで食べたのだった。