第十六章 花の名
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桃子と別れてから数分後、食堂に辿り着いたのはいいが、違和感に首を傾げる。
「なんか騒がしい……って、あれ、神無さん?!」
陸に貰った寝顔の写真と本人を見比べて、やがて確信する。
生徒会副会長と日本人形のような顔立ちの美少女に挟まれ、真っ青になっているのが――木籐華鬼の花嫁である、神無なのだと。
「鬼頭の刻印を持つお前が、どうしてここにいるの?」
「……出て行ってくれない? 鬼頭の花嫁がどんなふうに見られているか知ってる? 花嫁たちは誰ひとり……もちろん、一般生徒もあなたを歓迎なんてしない。――ここにあなたの居場所はないのよ」
「…………」
「そんなことない!」
叫んで、杏は梓と神無の間に割って入る。
「少なくともここにひとりいます。陸も、それにもえぎさんだって! だれも歓迎しないだなんてひどいこと、どうして言えるんですか?!」
「あなた何?」
「神無さんの友人の、親友です! さ、神無さん。陸たちが下で待ってるんで行きましょう!」
「え、あ、あのっ……?」
呆然とする女子寮の面々も、戸惑う神無も全部無視して、杏は掴んだ神無の手を引きながら廊下を突き進む。
「神無さん。つらいことは、いつだって痛がっていいんです。いつか笑い話にできる日まで」
「知ってますか? 陸、今は平気ですけど……昔は男性がとても怖かったんですよ。士都麻先輩も例外じゃありませんでした」
「え?」
杏が突然立ち止まり、繋いでいた手も解ける。
(陸さん、が……?)
神無は俯いて、陸について考え込んでいると――ふと、目の端に見慣れた人物を捉えた。
「か――……」
「……そうなんです。だから、私は陸に――って、あれ? 神無さん?」
物思いにふけっていた杏が振り返るとそこに神無の姿はなく。
「え。嘘、どうしよう……!」
(<どうしよう陸! 神無さんいなくなっちゃった!!>)
(ええ?! どういうこと、何があったの?)
(<わ、わかんない~~っ>)
(とりあえず杏ちゃん、戻って俺らと合流しよか。……電話口じゃラチがあかん)