第十五章 複雑な心境
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「この荷物……まさか、此処に住みつく気?」
「ご名答、さすが陸! やっぱり心配だったからさ。あ、鞄の中身は私の服だから」
「心配」と言われてしまえば陸は強く反論出来ず、諦めたように息を吐いた。
(しょうがない、か)
「杏ちゃん杏ちゃん、さっきのこと……本気で言うてるん?」
ぽん、と杏の肩に手を置き光晴は真顔で訊ねた。
「陸に触るの禁止ーってやつですか? もちろん本気ですよ。見たとこ仲直りは済んだみたいですけど……他の女の子にプロポーズまでして、お咎めなしはダメですよ!」
「う゛、っ……」
グサリと言葉のナイフが刺さる。
「……ていうか、仲直りしたのかな。これで……」
ぼそっと小声で呟く。
「なんなら続きしよか?」
「っ! 禁止だから!」
(杏がもう少し早く入ってこなくてよかった……!)
あの告白を第三者に聞かれていたら恥ずかしくて立ち直れない、と思う陸である。
「私ね、お昼に森園くんと話してて庇護翼ってすごいなーって思ったの。で、私も陸の庇護翼になろう!ってさ」
「「え?」」
陸と光晴が呆気にとられているのを見て、杏は続ける。
「もちろん本当の意味ではないよ、部外者だし。なんていうか、陸の親友でいる覚悟の表れかな!」
「そこまでしなくていいよ。私は杏がいるだけで十分だよ?」
「せや、杏ちゃんはミョーな覚悟決めんでええんやで?」
「べつに行動起こすわけじゃないですよ、士都麻先輩。出来る事って言ったら一緒にいることと、相談に乗ることくらいですし」
「? じゃあ、なんで庇護翼やなんて――」
「カッコ良いから、です!」
「……なにを今更……」
「はは……杏ちゃんは頼もしいなあ」
気持ちは嬉しいけれど考え方に少し難ありで、複雑な陸であった。