第十五章 複雑な心境
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「……あ、っ……」
(いま、とんでもないことを言った気がする。どうしよう、光晴も固まってるし……!)
自分の発言に青ざめた陸は、ローラーの付いている椅子でじりじりと後退する。
「…………陸、」
「は、はいっ?!」
思わず声が裏返る。
「今の、もっかい言うてくれん?」
「……はい?」
「せやからもう一回! 録音して永久保存せんと!!」
輝く瞳を見て悟る。どうやら押してはいけないスイッチを押してしまったらしい。迫りくる光晴にいやな予感がして後ろに下がるも、どうやらもう限界だった。
「待って光晴! ちょっと落ち着こう? ちょっ……無理! こっち来ないで! あ、あああ杏ーーっ!!」
助けを呼ぶべく携帯を握り締め叫べば、電話の相手はすぐに出た。
「<陸? どうかしたー?>」
「み、み、み、光晴に襲われる! 助けて!」
「え、杏ちゃん?!」
「<ちょっと、電話スピーカーにして!>」
少しの操作の後、陸は光晴へ携帯を向ける。
「よし、いいよ!」
「<えー、おほん。士都麻先輩、聞こえます?>」
「お、おお。杏ちゃん、久しぶりやな」
「<木籐先輩の実家であったことは大体陸から聞きました。鬼の常識なんて知らない私が言うことじゃないかもですけど……士都麻先輩には、陸だけを見てて欲しかったです。だから陸が許して、仲直りしても――しばらくは陸に触るの禁止!で、お願いします>」
「んな殺生な!!」
「「<それくらいトーゼンです!>」」
声が二重に聞こえたと思ったその時、部屋のドアがバタンと大きな音を立てて開いた。
「「杏(ちゃん)!!」」
「お邪魔しまーす」
「ちょ、ちょっと杏!? 助けてとは言ったけど、なんで此処に?」
「陸に呼ばれた気がしたから。来ちゃった!」
ぼすん、と床に置かれたのは大きな鞄。
(まさか――)
二度目のいやな予感がした陸が杏を見やれば、彼女はにっこりと笑みを浮かべる。