第十四章 咲いた妖花
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――ブーッ、ブーッ
「ん、電話。職棟……もえぎさん?」
杏に断りを入れて席を立ち、廊下へ移動してから携帯の通話ボタンを押した。
「もしもし」
「<すみません陸さん、休み時間に>」
「いえ、どうしたんですか?」
「<はい。実は今日、神無さんのためにお赤飯を炊くことになりまして。陸さんのご予定を伺っておこうかと>」
「……え? 神無ちゃん、お赤飯って……え?! “そう”なんですか?」
献立を聞いて意味を悟った陸の話す声が小さくなる。
「<私も先程、麗二様から聞いたばかりなんですけれどね>」
「ああ、はい! なら今日は早めに帰ってお手伝いしますね」
「<お願いします。……それともう一つ、食堂へ来る際に、陸さんさえよろしければ持ってきて頂きたいものがあるんですが――>」
もえぎの提案に、陸は二つ返事で答える。
「もちろんです」
「陸ーーもう予鈴鳴るけど、電話まだ?」
「うわっ。……って、もうこんな時間?」
待ちくたびれたのか、ぬっと後ろから現れた杏の言葉を聞いて時計を見ると、予鈴の鳴る1分前だった。
「<あら、杏さんに悪いことをしてしまったみたいですね。――では陸さん、また夕方に>」
「はい、失礼します」
――ピッ。
予想以上に話し込んでしまったと思いつつ振り返ると、そこにはぶさいくな顔をした杏が立っていた。
「……杏、顔ヤバい」
「だーって。学校休んでて、やっと来たと思ったらもえぎさんと電話? 私は都合のいい女なの?!」
「ごめんって。ほら、授業」
「仕方ないなあ。陸、授業遅れてるもんねー」
「はいはい」
自分自身を本能的に守り続けていた神無が女性としての成長をようやくはじめた。その事実は喜ばしいことだが、それが意味することを知る者はまた考えを巡らせることになる。
「ん、電話。職棟……もえぎさん?」
杏に断りを入れて席を立ち、廊下へ移動してから携帯の通話ボタンを押した。
「もしもし」
「<すみません陸さん、休み時間に>」
「いえ、どうしたんですか?」
「<はい。実は今日、神無さんのためにお赤飯を炊くことになりまして。陸さんのご予定を伺っておこうかと>」
「……え? 神無ちゃん、お赤飯って……え?! “そう”なんですか?」
献立を聞いて意味を悟った陸の話す声が小さくなる。
「<私も先程、麗二様から聞いたばかりなんですけれどね>」
「ああ、はい! なら今日は早めに帰ってお手伝いしますね」
「<お願いします。……それともう一つ、食堂へ来る際に、陸さんさえよろしければ持ってきて頂きたいものがあるんですが――>」
もえぎの提案に、陸は二つ返事で答える。
「もちろんです」
「陸ーーもう予鈴鳴るけど、電話まだ?」
「うわっ。……って、もうこんな時間?」
待ちくたびれたのか、ぬっと後ろから現れた杏の言葉を聞いて時計を見ると、予鈴の鳴る1分前だった。
「<あら、杏さんに悪いことをしてしまったみたいですね。――では陸さん、また夕方に>」
「はい、失礼します」
――ピッ。
予想以上に話し込んでしまったと思いつつ振り返ると、そこにはぶさいくな顔をした杏が立っていた。
「……杏、顔ヤバい」
「だーって。学校休んでて、やっと来たと思ったらもえぎさんと電話? 私は都合のいい女なの?!」
「ごめんって。ほら、授業」
「仕方ないなあ。陸、授業遅れてるもんねー」
「はいはい」
自分自身を本能的に守り続けていた神無が女性としての成長をようやくはじめた。その事実は喜ばしいことだが、それが意味することを知る者はまた考えを巡らせることになる。