第十三章 格好いいひと
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「え……そ、そう?」
合点のいかないような表情を見せる陸に、ベッドから起き上がった杏はビシッと陸の顔を指差す。
「そう! 納得いかないっていうんなら訊くけど、ここに来てから士都麻先輩以外で“ああ、格好いいなあ”って思ったことある人、いる?」
「……」
悩むこと、数10秒。
「いない、かも」
「ほーら」
「むー……」
(確かに“ああ、格好いいなあ”なんて思った人いないけど、その言い方じゃあまるで、光晴に依存してるみたいだ。違う、とも言い切れないけど)
「ね、陸」
「ん?」
「士都麻先輩たちが帰って来たら、付き合うからさ」
「へ……」
「話し合おうよ。その、神無さんと……士都麻先輩と」
「うん。ありがとう」
「いーえ。私も早く陸と一緒に学校行きたいからさっ」
ぱっと笑う杏につられて笑う。この時、陸は久々に心からの笑みを浮かべられた気がした。
――杏は知らない。私が、何度杏の笑顔に救われたか。もえぎさんとはまた違う優しさを、杏はいつも無償でくれる。
“ああ、格好いいなあ”――そう思う人がいるならそれは、杏。……あなただと、私は思う。