第十三章 格好いいひと
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「<もしもし! 陸っ?!>」
電話をかけて1コール目。掛けたこちら側が驚く速さで彼女は応答した。
「うん……。ごめんね杏」
「<本当だよ! 保健室に行ったきり戻ってこなくて。士都麻先輩や浦嶺先輩たちもいなかったから、一緒なんだろうとは思ってたけど……今どこにいるの?!>」
「色々あってさ、今は職棟にいるの。もえぎさんは気を遣ってくれたの。……杏、これからもう一回職棟に来れる?」
「<うんもちろん!――あ、外出許可もらって今日はそっちに泊まるから!>」
「わかった。待ってるね」
――ピ。
「……。あ、もえぎさんにも伝えないと」
通話が終わってからしばしぼうっとしていた陸だが、思い出したようにもえぎに連絡を入れた。
「――そっか。士都麻先輩とそんなことが……。士都麻先輩たちはいつ帰って来るの?」
「わかんない。向こうは山奥だから電波悪いし、木籐の生家の番号も知らないし」
「帰って来ても、仲直り出来てないと学校来にくいね」
事の顛末を聞いた杏はぼふん。とベッドに背を預ける。陸はその言葉に苦笑するしかなかった。確かに、今のままでは守られる側も守る側も、やり辛い。
「仲直り……か」
(光晴、今頃何してるんだろ……)
「それにしても――陸ってほんっと、士都麻先輩のこと好きだよねー」
「え」
「だってさ? いくら士都麻先輩が16年の間陸を待ってた鬼って言っても、自由恋愛なわけでしょ? 出会ってまだたったの1年だし、周りにイケメンだっていっぱいいるし。それこそ、浦嶺先輩や織部先輩とか?……でも陸は鬼ヶ里(ここ)に来てからずっと――士都麻先輩しか見てないじゃん」