第十二章 温かいひと
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所変わって、鬼頭生家――
未だ生家の中へ潜入中の透は、茂みをかき分け近付いて来る音を聞きつけて意外な人物を見つける。
「あれ、郡司もう戻ったの? 早いな」
「陸を佐原さんに預けて即引き返して……たった今着いたところだ」
(即、ねぇ……)
透は郡司の言い方に若干の違和感を覚えた。
「……陸は?」
「大丈夫……じゃ、ねぇな。あれは精神的にだいぶ参ってる。佐原さんのところで持ち直してくれればいいけど」
ふぅと息をついて、着直した黒スーツのネクタイをきゅっと締める。
「今回のことは光晴に全部責任があるんだから、陸が頑張って持ち直す必要はないんじゃない?――陸は、悪くない」
「どっちが悪い、悪くないじゃねぇよ。……これは、“二人”の問題だ」
「わかってるよ。……で、お前は何があったわけ」
何かがあったこと前提で問う透に郡司はぴくりと反応する。やはり、伊達に長く相棒をやっているわけではないということだ。
「たいしたことじゃない。ただ陸が――『光晴の花嫁にしかなれない』って言っただけで」
「ああ? 陸それ、本気で言ってるんだよな」
「だろうな。実際問題、子どもを望みさえしなければそんなことないんだけど――」
「光晴以外の鬼を望む気持ちさえあれば、絶対離さないのに」
「言うな……」