第二十七章 檻の崩壊
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「経緯は理解(わか)りました、ありがとうございます。それでは、浦嶺さんは今一度お休みください」
「は?」
「鬼の治癒力を以ってしても貴方は重傷。これ以上は医者として看過出来ません」
「俺の体は放っておいていい! 陸が攫われたのは俺の責任だ。のんびり寝てなんていられるわけ、っ!」
「い、い、で、す、ね?」
郡司は麗二の言葉に一度は反論するものの、大声が傷にひびき押し黙る。
「……情けねえ」
「自身が危険な状態にあったことを理解してください。杏さんがすぐに発見して報せてくれなければ貴方は」
「惜しまないさ、陸のためだ」
「郡司、今は麗ちゃんの言うこと聞いて休んどき。お前になにかあったら、それこそ陸に顔向けできん」
「……はい」
「まったく。光晴さんといい、浦嶺さんといい、手のかかる人たちですね」
「光晴と郡司は良い方でしょ」
ぽつりと呟かれた言葉に郡司はすかさず反応する。
「『良い』ってなにがだよ」
「……べつに」
(今回一番の役立たずは俺だ。現場に駆けつけることも直後に捜索に出ることもできず、薬盛られて寝てたなんて。最悪だ)
透は人知れず、拳をきつく握り締めた。