第二十六章 私の役目
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保健室に突如として現れ、暴れ出した貢 国一と戦い、息つく暇無く桃子ちゃんからの通報を受けて俺と麗ちゃんは刺されたという関根ユナの治療へ向かった。
幸い彼女は軽傷で、一安心と思われた矢先――体力には自信があると話していた杏ちゃんが、息を切らし泣きながら俺の元へ駆けこんできた。
「士都麻せんぱいっ……!!」
たすけて、と。
先程までいた保健室の、裏手の森。そこが現場だった。
郡司は背中をナイフで一突き。急所は避けられているものの紛れもない重傷で、意識は未だ戻っていない。
負傷者はもう一人――透だ。自室で薬物を投与され昏倒しているところを発見。現在処置は終わっていて、こちらは軽傷。
そして陸は、2人を襲ったと思われる何者かに拉致されたとみられている。
目撃者は現場で倒れていた郡司以外になし。一晩中周辺を捜しまわったが、手掛かりは何一つ見つからなかった。
(敵の狙いは明らかに陸ひとり。自室におった透まで襲うあたり、用意周到や)
(しかしここ数日、陸の周囲に異変はなかった。それでどうして狙い打ちできる?)
(昨日、あの時間、あの場所に……陸だけを呼び寄せる何かが、あった?)
「――さん、光晴さん」
「っ! 麗ちゃん」
「少し、休憩をはさまれてはいかがですか? お茶を淹れます」
「いらん」
「そう言わずに。一度肩の力を抜かないと……「できるわけないやろ! 花嫁と庇護翼を狙い打ちされて、俺だけ何も知らずに無傷!! これでなんもせずにいられるわけっ」
「それでも」
「!」
ドッ、と光晴は麗二の手刀を受け倒れる。
「“今”あなたに何が出来ると言うのでしょう。……ただがむしゃらに捜して陸さんが見つかるのなら、私だってそうしていますよ」
「あ、あの……」
呟く声を聞く少女がひとり、おずおずと姿を見せる。
「高槻先生……」
「ああ、すみません。今お茶を淹れますね。――大丈夫、光晴さんならすぐに起きますよ」