第二十四・五章 姫の王子と桃の犬
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着替えてからは陸の気配を探るように歩き始めたが、全校生徒が入り乱れるこの状況ではさすがにやり辛い。名前を呼ばれれば一発で居場所が割り出せるが、人探しのためだけに呼ぶことは陸の性格上有り得ない。
今現在陸が誰といるかわからない以上悠長に構えていられないし、この広い校内を虱潰しに探すのは時間の無駄だろう。
「一度、クラスに戻ってみるか……」
俺と同じように陸も探しているのであれば、すれ違いの可能性は充分にある。そう思って向かった3年2組の手前で、ようやく陸を視界に捉えた。
「……なんだ、水羽がいたのか」
無意識に呟いた言葉に、はっとして口元を押さえる。
(今なんて言った?)
あの心配性の光晴が陸を一人きりにするはずがないというのに、俺は期待していたというのか?
「……あほらし」
気持ちを切り替えて2人に話し掛ければ、思いきり笑われるのだから何とも遣る瀬無い。
「では、行きましょうか? シンデレラ」
「はい、王子様」
――それでも、“今”だけは。俺が陸の王子だと思うことを許して欲しい。