第二十三章 祭りのはじまり
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保健室に入って来てから麗二の声しか聞いていなかった二人はてっきり麗二1人なのだと思っていたが――そこには、目を爛々と輝かせながらこちらを見る光晴と、オオカミの着ぐるみと、それに夢中な神無、そしてのんびりお茶を飲む水羽がいた。
「み、みんないたの……」
「……り、陸……? その衣装……」
「え、ああ……。こんなドレス、柄じゃないから恥ずかしいんだけど」
「…………」
「光晴?」
「ごっっつ可愛えぇっ!!」
「きゃ?!」
無言でゆっくり近づいてきたと思えば、がばっと抱きついてきて至近距離で見つめられる。
「これなんの衣装? シンデレラか? ああ……ほんまに、お姫様みたいや……」
「ちょっ、光晴?! みんな見て……」
光晴の甘い空気に焦った陸が体を押し返そうとするが、それが出来るわけもなく。
「たすけて水羽!」
「陸が可愛いのはわかったから、いい加減戻ってきな、よっ」
「ぃだっ!――何すんねん水羽!!」
ばしっ!と背中を叩かれて犯人である水羽を睨む。
「イチャつくのは陸が困らないところでやってよね。今はそんな場合じゃないんだから」
「水羽さんの言うとおりですよ、光晴さん。狩人がシンデレラを襲っているようにしか見えません」
「襲……?!」
「もう……」
「ところで、みなさんは何の衣装なんですか?」
麗二の側に避難していた杏がさり気なく話題を変えると、光晴が「ああ、」と説明を始めた。
「俺と麗ちゃんと神無ちゃんと、そこのオオカミが“赤ずきん”で同じ仲間じゃ。水羽は……ちゃうんやけど」
「うん、大体わかる」
「水羽くん、ぴったりだね!」
水羽の衣装とオプションのお椀を見やれば、正体はすぐにわかった。彼にとっては最悪なチョイスだったのだろう、少し不機嫌だった。
「失礼だな。……ちょっと、陸も哀れみの目で見るのやめてくれる?」
「見てない、見てないよ」
「はあ、仕方ないな。で、陸はわかったけど杏のそれは?」
「魔女だよ。白雪姫の」
「じゃあ、僕と陸と杏はイチから探さないといけないんだね。……あんまり遅いとペナルティ付くらしいからそろそろ行こうか」
そう言って水羽は2人を出入り口の方へ促す。
「じゃあ光晴、またあとでね」
「陸! 男には気を付けるんやで! いくらアイツら(執行部)でも、陸の仲間に変な奴割り振るとは思えんけど……!」
「大丈夫だって! それじゃあ行ってきます」
「はい、行ってらっしゃい」
「ふたりとも、誰か仲間が見つかるまでは僕が傍にいるから平気だよ。光晴は神無のこと任せたからね」
「言われんでも!」
こうして、幕を開けたハロウィンパーティー。
――さあ、仲間はどこだろう?