第二十三章 祭りのはじまり
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
神無、水羽と別れた陸が1人、2年の階を進んでいると――8組の前で立ち尽くしている友人を見つけた。
「杏! おはよ」
「あ、陸おはよう! 来てくれて良かったあ~~」
「私も! 教室入るの勇気いるよね」
わかっていたけれど教室内には先程見たデタラメ絵本と大差ない光景が広がっていた。ただひとつ違うのは、女生徒だけという点だ。
黒板にはでかでかと“男子は7組で着替えること!”とのお達しがされてあった。
「ね、コレが衣装?」
「みたい。どうせなら可愛いのがいいなー」
それぞれの机の上に置かれた白い大きな箱。中に入っていた衣装とは――
「うわぁ、いい! 可愛いよ、陸!」
「……可愛いのがいいとは言ったけど、すごくキャラ違う気がする……」
「えー、似合うよ。だって実際、士都麻先輩のお姫様でしょ」
「~~っ」
杏の言葉に、陸は否定できずに口籠る。
陸の格好はアイスブルーのロングドレスに、淡いピンクのストール。頭にはキラキラと輝くティアラが乗せられ、足元にはガラスの靴――いわゆる、シンデレラの衣装だった。
(会長の花嫁である神楽さんの衣装には、よりこだわりました!! BY.執行部)
「あ、ねぇ。金髪のウィッグもあるよ」
「それは本当に似合わないからいやだ」
そう言って陸は自身の赤いリボンを普段とは違う真後ろへ括りつけた。
「それもそうだね、これはいっか」
おもむろに、ウィッグは白い箱へ仕舞われた。
そんな杏の衣装は、黒い帽子に暗色のフレアワンピース。オプションにりんごがあるところから、白雪姫の魔女だろう。
「私、お姫様とはいかなくても、もうちょっと別のが良かったなあ。白雪姫の魔女っておばあさんでしょ?……しかもコレ毒りんご」
「シンデレラの魔女ならよかったのにね」
「ほんとほんと!――っていうか、着替えてなにするの?」
「さぁ……? 光晴を除いた執行部の独断だから、あんまりいい予感はしないかな」
はあ、と溜息が零れる。