敵か味方か、さあどっち?!
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「もえぎさんって本当になんでもできますよね。着付けまで……実は、由緒ある家のお嬢様ですか?」
時は、お正月。地図に載っていないほど山奥にある鬼ヶ里。その近くに神社なんてあるはずもなく、遠くまで初詣に行きたいという者はいない。
しかし、大掃除で着物が出てきたからともえぎが陸と神無に着物を着付けることになったのだ。
「お嬢様だなんて。普通の一般家庭ですよ」
「すごく、きれい・・・・・・私、お着物なんてはじめてです」
「私も! こんな本格的なの初めてだよ」
「だから、うれしいです。ありがとうございます」
「ありがとうございます! もえぎさん」
「どういたしまして。お二人に着ていただけて嬉しいです」
手放しで褒められて少々くすぐったい。現在陸と神無が着ているのはもえぎの持ち物で、年月が経つにつれ忘れられ、箪笥の肥やしになっていた。彼女たちを見ていると自身の若いころを思い出すようで懐かしくなる。
(麗二様たちの前では“お姉さん”と言っているけれど、母親ような気持ちにもなりますね)
「もえぎさんは、着ないんですか?」
「私はいいんですよ。着物も、二着しかありませんし」
「え……っ」
二着しかない。そう聞いた神無が急に申し訳なさそうな表情になったのを見て、すかさずもえぎが付け足す。
「ずっと、着る人がいなかったものです。なので気にすることはありませんよ。……さ、木籐がお待ちです」
「ふふ、行ってらっしゃ~い」
「あ、あのっ……」
渋る神無の背を陸が押して、もえぎと一緒に見送った。
そうして、神無がエレベーターに乗ったのを確認してからぽつりと呟く。
「少し前まで、木籐のところに神無ちゃんを送り出すなんてありえなかったのに。すごいなあ」
「色んなことがありましたから。……あなたも」
「うっ……ごめんなさい」
もえぎの言葉に陸は笑顔が引き攣る。
「冗談です。そんなに構えないでください」
「……思うんですけど、もえぎさんと麗二先生て似てきましたよね。夫婦だからですか?」
「そんなことありませんよ」
(絶対似てる! 黒い笑顔が!!)
有無を言わさぬ笑顔の圧力がある……と言いかけて、やめる。数えきれないほど、陸も光晴も助けられてきた頼もしいひとだから。
「ーーところで陸さん。陸さんは、光晴さんのところへまだ向かわないんですか?」
「えっ?! わ、私は、そんなに急がなくてもいいかな〜なんて」
「そうですか? 光晴さん、すごく楽しみにしているでしょうに」
「い、いや~そんなあ」
(出掛けるでもないのにおめかししてお披露目するなんて、だんだん恥ずかしくなってきちゃった)
「光晴さーん、陸さんの準備整いましたよー」
「わあああもえぎさん!? いつの間に電話っ」
陸が視線を逸らした隙に受話器を手にしていたもえぎは「ごゆっくり」とにこにこ笑っていた。
・
・
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「陸!!」
「きゃーーー!」
心の準備なんてできないまま、目を輝かせた光晴が部屋へ飛び込んでくる。せめてもの抵抗で逃げるけれど、あっという間に目の前は壁だった。
(なんて言うんだっけ、蛇に睨まれたカエル? まな板の上の鯉? ああもう、)
とにかく、逃げられない。
ーーだって、捕まるまであと三秒。
敵か味方か、さぁどっち?!
(もえぎちゃん、ナイス! 陸超かわええわ!)
(ふふふ、ありがとうございます)
※ちなみに、もえぎさんの実家は旧家とあるので「由緒ある家」です(原作サイト情報)
2012.01.01 初稿
2026.01.12 修正
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