第五章 知られざる真実
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
木籐華鬼が鬼頭でいることが納得できない。ふさわしいのは前鬼頭の息子である堀川響のはず。あの男が鬼頭を名乗っているのは狂い咲きの桜に、みなが惑わされたせいだ。
あんな花嫁に九翼ついているのも意味がわからない。なぜ、あんな娘に? 排除するにも、周りの庇護翼が厄介だ。
どうしたら――そう考えを巡らす国一の元に、一人の女が現れる。
「ねえ、手を組まない?」
「誰だ」
「ここへ来たことを、鬼頭の花嫁に後悔させたいの。――ねえあの女、邪魔なんでしょ?」
「……話を聞こうか」
神無たちの知らぬところで、醜悪な笑みがふたつ、生まれた。
―――――――
「いまどき魚を三枚におろせるなんて」
お玉と小皿を持って嬉しそうに笑ってそう言ったのは職棟を切り盛りする女性・もえぎである。
「味付けもいいわ。これからいっしょに食事作りましょうね、神無さん」
神無はこくりとちいさく頷く。
「もえぎさん、さり気なく私のこと貶めてます?」
料理を運んでいた陸はゆっくりと振り返る。
「いえいえ。陸さんも今はちゃんと出来ますものね」
「『今は』、そうですね」
陸は鬼ヶ里に来た当初、まったくと言っていいほど料理が出来なかった。だがそれは経験がなかったという方が正しくて、もえぎに教わった今はかなり上達している。
「新妻とオカンとメイドさんやな」
テーブルに頬杖をついた状態の光晴がぽつりと呟いた。
「三人そろってお持ち帰りしたいですねぇ」
「陸はあかんで」
「おや、二人はいいんですか?」
「それもあかん!」
麗二と光晴が妙な論争をしていると、もえぎは
「幼妻とお姉さんとメイドさんです」
と、訂正を入れていた。
「なんで私はメイドなんです……?」
「僕、手伝おうか?」
大きな皿を持った陸に水羽は近寄る。美少年と呼ばれる容姿の水羽なら、交ざっても違和感はないのだが。
「微妙やな」
「微妙ですねぇ」
「……えっと、」
「麗二! 光晴も!! 食べたいなら手伝ってよ!」
見ているだけの二人が怒鳴りつける。
「手伝いたいけど何すればいいかわからんし。――包丁支えよか?」
いつの間にか神無の後ろに立った光晴はそう訊いた。
「光晴! そんなことしたら神無ちゃん怪我しちゃうでしょ!」
「本気ではせんって」
「怪我は平気です」
神無がちいさく返した言葉の意味を理解した麗二と光晴は一瞬言葉を失った。神無は、怪我は慣れているから平気だと――そう言ったのだ。
「もう怪我は平気なんて言わんでええんや」
「そうですよ。でも――」