第三章 花嫁の宴
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職員宿舎には入口がふたつ存在する。ひとつは職員用。そこからずいぶん離れた場所にあるちいさな玄関――神無は、そこに案内された。
「ここから先は、神無ひとりで」
「あ、待って。私も行く」
「陸?」
「もえぎさんにちゃんと許可は取るよ。それならいいでしょ?」
ちらりと水羽が麗二を見れば、小さく頷いた。それに微笑んだ陸がドアノブをひねる。
「いらっしゃいませ。あら、陸さん?」
「もえぎさん、私もお手伝いしていいですか?」
「ふふ、もう仲良しなんですね。わかりました」
「ありがとうございます」
もえぎ、と呼ばれたのは四十歳前後と思しき上品な女性。全体的に丸みを帯びているその体つきがおおらかな印象を神無に与えた。
すると、もえぎは神無に向けて深々とお辞儀をした。
「お待ちしてました」
「もえぎさん、あとはお願いします」
「はい、お任せください」
そのまま三人で中へ進み、職員宿舎内の説明を神無にしていると、どこからともなく女たちの陰口が聞こえ出した。
もえぎの鋭い声による一喝で耳障りな囁きは途切れるが、居心地の悪い空気は変わらない。
「体を清めます。用意を」
指示を受けた女たちは目配せをしながら奥へ歩き出す。すれ違いざまに神無を見下したような笑みを浮かべながら。
「なにあれ、感じ悪い」
「あの……」
「申し訳ありません。不愉快な思いをさせました」
「いえ……ここは?」
「大浴場です。個人の部屋にも浴室はございますが、皆様はよくこちらを利用します」
大浴場。その名の通り、個人で所有するには十分すぎる広さを持ち、ジャグジーやサウナなどの設備も整っていて神無は驚きしきりだった。
「陸さん、少しよろしいですか?」
「はい」
陸がもえぎに呼ばれてその場を離れれば、すぐさま薄い着物一枚になった女たちが神無をとり囲む。
「恥ずかしがらなくてもいいでしょ。女同士じゃない」
それは、美しい娘を好む異形の者たちにはまるで相応しくない少女が、花嫁の頂点である“鬼頭の花嫁”であることを妬んでいる者ばかりだった。
女たちは神無から服を剥ぎ取っていく。
「あら、なんて醜いのかしら」
「お前、幸せな花嫁になれると思ってるの?」
「みっともない。さっさと――」
「ここから先は、神無ひとりで」
「あ、待って。私も行く」
「陸?」
「もえぎさんにちゃんと許可は取るよ。それならいいでしょ?」
ちらりと水羽が麗二を見れば、小さく頷いた。それに微笑んだ陸がドアノブをひねる。
「いらっしゃいませ。あら、陸さん?」
「もえぎさん、私もお手伝いしていいですか?」
「ふふ、もう仲良しなんですね。わかりました」
「ありがとうございます」
もえぎ、と呼ばれたのは四十歳前後と思しき上品な女性。全体的に丸みを帯びているその体つきがおおらかな印象を神無に与えた。
すると、もえぎは神無に向けて深々とお辞儀をした。
「お待ちしてました」
「もえぎさん、あとはお願いします」
「はい、お任せください」
そのまま三人で中へ進み、職員宿舎内の説明を神無にしていると、どこからともなく女たちの陰口が聞こえ出した。
もえぎの鋭い声による一喝で耳障りな囁きは途切れるが、居心地の悪い空気は変わらない。
「体を清めます。用意を」
指示を受けた女たちは目配せをしながら奥へ歩き出す。すれ違いざまに神無を見下したような笑みを浮かべながら。
「なにあれ、感じ悪い」
「あの……」
「申し訳ありません。不愉快な思いをさせました」
「いえ……ここは?」
「大浴場です。個人の部屋にも浴室はございますが、皆様はよくこちらを利用します」
大浴場。その名の通り、個人で所有するには十分すぎる広さを持ち、ジャグジーやサウナなどの設備も整っていて神無は驚きしきりだった。
「陸さん、少しよろしいですか?」
「はい」
陸がもえぎに呼ばれてその場を離れれば、すぐさま薄い着物一枚になった女たちが神無をとり囲む。
「恥ずかしがらなくてもいいでしょ。女同士じゃない」
それは、美しい娘を好む異形の者たちにはまるで相応しくない少女が、花嫁の頂点である“鬼頭の花嫁”であることを妬んでいる者ばかりだった。
女たちは神無から服を剥ぎ取っていく。
「あら、なんて醜いのかしら」
「お前、幸せな花嫁になれると思ってるの?」
「みっともない。さっさと――」