第二十八章 覆う黒
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(陸、おいで)
(なあに?)
(陸に、プレゼントがあるんだ)
(わあ、リボンだ! ながくて、ひらひら~~)
(気に入ってもらえたかな?)
(うん!)
(良かった。肇や良人と外で遊ぶのもいいけれど、陸は可愛い女の子だからね)
(おとーさん、むすんで!)
(よし――よく似合うよ)
(ありがとう! わたし、いつもつけるね)
「だいすき、おとうさん……」
懐かしくて愛おしい過去の夢が終わる。
ぼやけた視界が次第にクリアになり、自分が見知らぬ場所で寝かされていることに気付く。
(ここ、どこ?)
ゆっくりと起き上がって辺りを見ただけで、今いる場所が普通ではないことがすぐにわかった。
今いるベッドと傍に置かれた椅子、それらを囲う壁は黒で統一されている。纏う衣服もいつの間にか黒いワンピースになっていた。それに対して、丈夫そうな格子で区切られた先では木目調の机や椅子、色とりどりの花で飾られた花瓶、額におさめられた絵画などが置かれた明るい空間があった。
(あの花……すごい香り)
普通じゃないことはわかった。でもそれだけだ。少しでも情報を集めるために直前の記憶を辿る。
(ハロウィンパーティーで仲間を集め終えて、杏と郡司と保健室に向かう途中に誰かに呼ばれて――あの声は)
「ああ、起きたね」
「え?」
「そろそろだと思って食事を持ってきて正解だったよ。お腹すいたでしょう」
ドアの向こうから現れたのは黒を基調としたシンプルな服に身を包んだ30代と思しき男性で、陸はその人物を見た瞬間目を瞠った。