第八章 黒い使者
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「おはよー!陸ー!」
「おはよ、杏」
「昨日よく眠れた? 雷すごかったらしいじゃん。……私もう寝てたけど」
「雷は少しの時間だけだったよ。でも寝てたとは、さすが杏」
運動神経はやけにいいクセに頭を使うことになるとめっきりダメ。でも、それが杏のいい所であり、それが陸の好きな三浦杏という人間だ。
「だってさぁ……陸全然構ってくれないし、することないんだもん」
「あーーそうしたら、しばらくは不眠知らずになれるよ」
「そんな!?」
神無に平穏が訪れない限り、三翼のひとりである光晴にも――その隣にいる陸にも平穏は訪れないだろう。
チャイムが鳴り、生徒が少しずつ席に着き始めた頃――ふいに陸に声が掛かった。
「神楽さん、神楽さん!」
「?」
「来て! 朝霧さんが!」
「神無ちゃん!?」
声を掛けた人物・森園兄弟に呼ばれた時は首を傾げたが「神無」の名前が出た途端、二人のいる窓側の席へ移動した。見たのは、神無が、ひとりで――。
「杏……やっぱりよく眠れるよ。羨ましいね。――行くよ! 森園くん! 保健室!!」
「「うん!!」」
(……なんで私が仕切ってるんだろう?――光晴っ!)
そんなことを考えつつ陸は、心の中で自分の鬼を呼んだ。
そうして三人が保健室に着いてしばらくして、水羽もやって来た。
「なんで風太と雷太……それに陸がここにいるの?」
水羽に低い声で問われた瞬間、双子は顔を強張らせ、陸もびくりと反応した。
「――神無、どこにもいないんだけど、まさか昨日の今日でまた失態繰り返して……他の花嫁まで巻き込んだなんて、言わないでよ?」
本来なら体をはって主人の花嫁を守るはずの庇護翼が、華鬼に恐れをなして三翼を呼びに行った――それが、昨日の彼らの失態である。
「待って!」